黒い何か
投稿遅れてすいません!
投稿設定の日付間違えてて、今日の夜に投稿にしてて慌てて投稿してますm(_ _)m
改めまして、今回も読んでくれてありがとうございます!
お爺さんは宿の奥に行き一つの広々とした執務室のような場所に私たちを通した。
私は一応まだフードを深く被って顔を見られないようにしている。
でも、バナじぃのお師匠様だし、きっと向こうも私が女性であることはバレていることだろう。
私はそう思って椅子に座るとフードを外してまっすぐとお爺さんを見た。
「ほう。やはり、女子だったか」
「しかも、とても良い子で働き者で頭が良くて可愛い子なのじゃよ」
「そんなにか。まぁ、小僧と居る時点でそうじゃろうな。先ほどの行動を見てあからもわかるがな」
さっき私がやろうとしていたことまで見ていたとは。
さすがバナじぃのお師匠様である。
「初めまして。スゥと申します。数日だけここに滞在させていただきますので、しばらくの間よろしくお願いします」
「これは丁寧に。わしはこの里の長のベガと言う。気軽にベガ様と呼んでくれ。ようこそ、ラメルへ。我らはお嬢さん方を歓迎するぞ」
クシャっと笑うその姿はお爺ちゃんそのもの。
可愛いと思ったのも束の間。
ベガ様はバナじぃに鋭い視線を向けて、私と話した時と比べ物にならないくらい低い声で話しかける。
「それにしても、小僧。わしが見ないうちに弱くなっているのは何故じゃ?魔力量は増えているが、均等に全身に使われていないようじゃ」
バナじぃは見たこともないくらい引きつった顔をする。
「わしとてもう60になったのじゃ。年じゃよ」
「ほう?1367年生きて居るわしは全盛期の頃よりは落ちておるが、まだまだ動けるぞ?」
「それはお師匠様がエルフだからで」
「言い訳は聞かん。せっかく来たのじゃから、久しぶりにわしが直々に手直ししてやろうて」
この言葉を聞いたバナじぃはがっくりと肩を落とし、しぶしぶと言ったように了承した。
ベガ様は今度はマークさんたちを見て、良いことを思いついたというように彼らもその修行への参加を提案した。
いつもバナじぃの特訓を受けている彼らは、目の前で師匠と呼べるバナじぃが小さくなっている姿を見て遠慮するが、ベガ様とバナじぃに向かって強く断ることができず、結局は参加することとなった。
幼いように見えたクロとシロはベガ様が気を使って誘わなかったのだが、その2人は自らお願いして修行をつけてもらうことにしたようだ。
私はその間一人になってしまうので、修行には参加しないが見学として皆に同行することになった。
「スゥはわしが連れて行こう。わしとたくさん話そうな」
終止ニコニコと笑いかけてくれるベガ様は、バナじぃと同じで私を甘やかす。
対して、男性陣は今からどんなことが待ち受けているのかと溜息をついていたり、楽しみだと浮かれていたりだ。
「ベガ様、どこで修行をするのですか?」
「最近、ドラゴンの巣の近くに魔力溜まりができたらしいからそこじゃな。修行がてら魔物退治も行う」
魔力溜まりは文字通り魔力が過剰に発生したために溜まっている場所のことだ。
自然から魔力が出る場所から発生することが多く、魔力だまりができた場合、魔力を求めて魔物がその場に集まりやすくなる。
魔力溜まりを消すには魔力を含んでいない保有量が多い石を使って吸収するしかないのだ。
「さて、行くぞ。お主等は全身に均等に魔力を循環させることを意識しながら魔法を使わずにわしらについてこい。武器を忘れるでないぞ。その場についたら、そのまま魔物との戦闘が待っていると思え。そして、今回は魔法が得意な者は剣を、剣が得意な者は魔法を使って倒すのじゃ。できなければ、わしの魔法がお主等に飛ぶから注意せい。以上、説明は終わりじゃ」
さすが剣も魔法も上位スキルを持っているバナじぃのお師匠様。
容赦がない。
魔力の循環は想像以上に集中力を必要とする。
そんな中で苦手な分野で魔物を倒し、ダメだった場合攻撃が飛んでくるのだから大変だろうと思っていると、横でベガ様がチョンチョンと私を呼ぶ。
「どうかしましたか?」
「スゥはテイマーを見たことはあるか?」
「いえ、私の知り合いにはいないので見たことはないです」
「ふむ、そうなのか?なら、教えておこう。テイマーとは周囲にいる生物に魔力を介して協力してもらう者のことじゃ。基本的にはその場で協力してもらって終わりなのじゃが、最大5匹まで固定で呼ぶことができるんじゃがサイズや強さがあるほど魔力が必要になるし、固定保有数が多いほどその分も必要になるんじゃよ」
「そうなのですね。どんなに遠くても呼ぶことができるのですか?」
「いや、距離には限りがあってな。指定した合図の声や音が聞こえる範囲でなければ無理じゃな」
「なるほど。…ところで、どうして私にそんな話を?」
「わしがテイマーじゃからちょいと自慢したかっただけじゃよ」
そういうと「ピーーーっ!!」と甲高い音のする笛をベガ様は吹いた。
すると、少しして木の間をすり抜けるようにして颯爽と大きな生き物が私の前に現れた。
現れたのは大きさは2mはあるだろう銀色の狼だった。
サラサラとした毛並み。
鋭い眼光。
そして、目が金色に輝いている。
その姿は威厳があって凛々しくも美しい。
「こいつはわしと契約を結んでいるアルジェントウルフのヨル。昔からの相棒じゃ」
「わぁ、綺麗ですね!」
私は初めて見るアルジェントウルフに目が釘付けになる。
そんな私をヨルもじーっと見つめる。
すると、頭の中に声が流れてきた。
『天使の加護とを持つ者とは珍しい』
「え」
頭の中に声が流れてきただけでなく、その相手が今私の目の前にいるヨルが話したのだ。
パクパクと口を動かしている私を不審に思ったベガ様は心配そうに声をかけてくれる。
どうしたんだと言うように。
私は今の声はベガ様にも聞こえていないのではないかと思い、何もなかったかのように振舞った。
動揺を隠しつつ、今度は私から思念を送ってみる。
『私のステータスが見えるの?』
私から視線をそらしていたヨルはゆっくりと私の方へと振り返った。
『お主、思念ができるのか?』
『そうみたい。それより、どうして天使の加護があると分かったの?』
『簡単なこと。そんな称号の気配がする。まぁ、これは魔物にしか分からないがな』
魔物にしか分からないなら良いけど、もし、私のように思念ができる人なら私の事がバレてしまうのでは?
『バレないためにはどうしたらいいの?』
『意識を向けて称号の効果を無効化するだけだ』
あぁ、オンオフのやつね。
だから、ヨルは「神の愛し子」と言わずに「天使の加護を持つ者」と言ったのか。
『これに気づかれたらどうなる?』
『珍しいからと様々な種族から襲われるだろうな』
怖いのですが。
『そもそも思念をできる人物など世界中探しても片手で数える程度だから大丈夫だろう。それにベガが教えるこいつらはお主の仲間だろ?守ってもらえ。こいつらは下手な奴らじゃ倒せないから気にするだけ無駄だ』
だが万が一ということもある。
これは帰ってからまた対策を練るとしよう。
『わかった。ありがとう、ヨル』
『我も人族と話したのは何百年ぶりだったから、思いのほか楽しかったぞ。また、後でゆっくり話そうぞ、スゥ』
ヨルと話し終えた私は、ベガ様の下へ移動して次の行動に移る。
ベガ様は私をヨルの背中に乗せると、すごい勢いで走り始める。
かなりの速度が出ているにも関わらず、スルスルと木の間を駆け抜けていく。
私は森の香りと風を感じているこの感覚が面白く感じる。
流れる景色を眺めていると、ヨルが速度を落として止まった。
ベガ様は後ろを見て、誰も来ていないことを確認するとやれやれと言いたげな視線を送る。
「全く仕方がない奴らじゃ。このスピードにもついて来れぬとは。スゥは怖くなかったかの?」
「はい!とても楽しかったです!」
「そうかそうか。ならば、良かった。また、連れてきてあげたいところじゃがすぐには難しいな」
「何か問題があるのですか?」
「理由はわからぬが最近、普段は大人しいはずのドラゴンたちの活動が活発になっておる。ただでさえ、自分より強い者にしか仕えないような気難しい性格だというのに今は産卵の時期で気が張っておる。そんな中、ドラゴンたちに近づけば敵と判断されて攻撃を受けるやもしれん。ここまで危険な状態は初めてじゃから、今は用事がない限りは森に立ち入らぬようにしておるのじゃ」
生物最強のドラゴンに攻撃なんてされたらひとたまりもないだろう。
…たぶん、私なら大丈夫な気もしなくもないが。
なら、ヨルに乗っての移動する機会は少なくなるな。
と、考えているとふとラメルに来た時の男たちを思い出す。
まさかね…。
でも、こういった時は大抵、フラグ回収が鉄板である。
というわけで、全知全能を使いました。
そしたら、案の定でしたよね。
彼らは宿に来た令嬢の影の護衛だったが、追い出された令嬢はドラゴンの話を聞いてドラゴンをペットにしたいと言い出し、卵を取ってこいと命令していたのだ。
逆らえるわけもなく、死を覚悟して彼らは任務を遂行することにしたらしい。
馬鹿らしい。
最悪の場合を想定していないのだろうか?
圧倒的に頭が足りていない。
卵を取れたとして、その後は?
被害を受けるのは自分たちだけでなく関係のない周囲の人も巻き込むことがわからないの?
ベガ様の様子からしてベガ様ですらドラゴンと関わることは難しそうだ。
長だから他の人よりは友好関係にあるが、他の人なら言うまでもなくアウトだろう。
私の大切な人たちに火の粉が掛からないように、私が動くしかないか。
ベガ様にバレないように小さくため息をついたとき、ちょうど皆が私たちに追いついた。
「や、やっと追いついた~っ!!」
「早すぎるでしょう…はぁはぁ…」
「さすがに俺もきつい」
「「疲れたよ~っ」」
バナじぃ以外の皆はその場にへたり込み、息を整えるのに必死そうだ。
バナじぃはというと、疲れているが文句も何も言わずすぐに持ち直す。
それを見たベガ様は呆れたように
「男が弱音を吐くとは何事か。それに小僧も含め息を整えるのも遅いし、魔力も均等に回っておらんぞ。意識せんと強くなれんぞ。さぁ、準備運動も終わったのだから本題に取り掛かるぞ。…ほら、来たぞ」
ベガ様が指をさした方向から10を超えるほどの集団の魔物が現れる。
ベガ様は私を安全な場所へ移し、皆に指示を出していった。
これが日が暮れるまで続いた。
魔物を全て倒したころには皆話せない程疲れ切っていた。
ベガ様はそんな皆を仕方ないといったように魔法で宿まで連れ帰る。
「小僧。情けないぞ。明日も朝から特訓をつけてやる」
「…ありがとうございます、お師匠様」
バナじぃでこの有様。
他の皆は言わずもがな、食事ものどを通らないようでそのまま部屋で眠りに行った。
ベガ様、恐るべし。
私はベガ様と一緒に楽しく会話をしながら食事をした。
ベガ様の武勇伝や奥様のこと、息子さんの事、いろんな話をして大いに盛り上がった。
楽しい時間はすぐに終わりを迎え、そのままベガ様と別れた私は部屋に戻って準備を始める。
今回は前回同様とはいかない。
なぜなら、私を守ってくれているのはベガ様だ。
薄く魔力を広げ、私や皆の位置を把握して、それに近づいてくる人を警戒している。
直接聞いてはいないが、宿全体にベガ様の魔力が充満しているのがその証拠だ。
だから、幻影では私の実態を捉えることができない。
そこで私は、石を作り出しその石にベガ様が感じている私の魔力量と同じ分だけ注ぎ込み、それを幻影の核する。
すると、もう一人のちゃんと魔力を持った私が出来上がった。
さすがに触られると実体がないから偽物だとバレてしまうけど、ベガ様が守ってくれている中で夜に女性の部屋に入ってくる人などこの世界にはなかなかいないだろう。
私はまたレイに変身してから、転移で朝の男たちの下へ移動した。
ドラゴンの巣の前に転移した私は、すぐに男たちの気配を辿って巣の中を進んでいく。
ドラゴンの巣には、たくさんのドラゴンたちが群れを成して卵を守っている。しかし、眠っている間はどうしたって無防備になってしまう。
だから、夜はエルフが警備をしているはずだが今回はエルフ対策に魔力軽減が付与された手錠を使ったようで、私がエルフたちの下へ着いた頃には既に倒れていた。
簡単に治癒を施してから、急いで男たちの後を追った。
すると、ちょうど男たちが一つのドラゴンの卵を見つけて盗もうとしているところだった。
「やったぜ。ドラゴンの卵ゲット~!」
「さっさとここから離るぞ。攻撃されたら、死ぬぞ俺ら」
「これでお嬢様も褒めてくれるだろうよ」
自分の利益しか考えていないただのバカ。
私は男たちにすら気づかれないくらいの速さで背後を取り、気絶させる。
これで、お仕事終了だ。
卵を元の場所に戻して男たちを、さっきの倒れているエルフと同じ場所に魔法軽減の手錠をつけて縄で縛ってから転移させた。
これで皆に危害は及ばなくなったので転移しようとしたとき、大きな影が私の背後にゆっくりと覆いかぶさる。
まさかと思い、後ろを振り向くと周りで寝ているドラゴンの数倍は大きい黒い鱗を持ったドラゴンがいた。
ドラゴンにおいて鱗の色は階級を表している。
黒に近ければ近いほど上位のドラゴンで、薄い色はまだ子どものドラゴンなのだ。
目の前にいるのは全ての鱗が漆黒に染まっているドラゴン。
つまり、間違いなくこのドラゴンがドラゴンたちのリーダーだ。
そのドラゴンは私を見るなり、口を開いて喋った。
「人の子よ。卵を守ってくれて感謝する」
ドラゴンはその長い首を少し下げる。
呆気にとられた私もすぐに頭を下げる。
「いえ。私はただ怒った親ドラゴンが私たちを攻撃するのが怖かっただけですので」
「正直であるな」
ドラゴンは面白そうに私を見つめる。
「お礼に何か望むものはあるか?ただし、簡単にできることだけだ。眠いのでな」
お礼という割に雑である。
口が裂けても言えないが。
「…でしたら、最近、ドラゴンたちが活発化している理由を教えてくれませんか?」
「良いが人の子がどうこうできる問題ではないぞ?」
「構いません」
「よかろう。話してやろう。最近起こっておる事件は知っているか?」
「いえ」
「それは」
そのドラゴンが話そうとしたとき、異質な気配を感じた私たちは話を止めてその気配の方へ戦闘態勢を取る。
ドス…ドス…ドス…ドス…
ズズッ…ズズッ…ズズッ…ズズッ…
大きな何かの足音と、重いものを引きずっているような音がどんどん近づいてくる。
木をなぎ倒し、静かだった夜は不気味な気配に包まれる。
ようやく私たちの目の前に現れ止まる。
夜の陰に隠れた姿を月明かりが照らす。
それを見たドラゴンは威嚇するようにうなり声をあげる。
それは私より少し大きいくらいの子どもの白いドラゴンだった。
白いドラゴンは目に光がなく、取りつかれているようにフラフラしていてどこか不気味だった。
「さっきの話だが、最近、生物が白くなって急に年を取って死んでしまう事件が起こっている。…それがここでも起こっていてな。皆、怯えておったのだ。その原因を調べていたのだが…どうやらこれのせいだな」
ドラゴンは魔力を高めていると、子どものドラゴンから出てきたグニャグニャの黒い何かがその黒いドラゴンに覆いかぶさる。
黒い何かを剥がそうとドラゴンの下へ助けに行こうとすると
「人の子よ!来るでない!!!」
私を来させないようにしっぽで行く手の邪魔をする。
「!?」
「くっ!こやつ、精神攻撃を仕掛けてくるぞ…!ひとたび飲まれれば自我を失う!…吾輩はドラゴンの長。耐性はあるから…うっ…良い。人の身では…はぁはぁ…危険だ」
「どうすれば良いのですか!?」
「…こいつを触れずに隔離して攻撃すれば、力は弱まるだろう。人の子よ。そなたにそれができるのか?できないのでば、…くっ!…はぁはぁ吾輩は死ぬだけだ…うっ」
ドラゴンは黒い何かに少しづつ浸食されていく。
精神攻撃耐性があるから進行は遅いが、ゆっくりと体を蝕んでいる。
私はこの世界に来て初めて本気を出すために本来の姿に戻して魔力の消費を減らした。
いつもは変身しているだけで魔力が減っていくが、この姿なら減ることもない。
私はスキルに空間魔法を創造魔法で付け加えた。
空間魔法で亜空間を作り出し、さらに触れないように黒い何かだけをその亜空間に向かうように、私はその亜空間に向かう強力な重力を創造魔法で生み出した。
少しずつ亜空間に取り込まれていくが完全には剥がせない。
そこで私はドラゴンと取りついている何かの小さな隙間に風を発生させて浮かせて亜空間に閉じ込めた。
空間に雷を何度も打ち込んだ。
先ほどの異質な気配が無くなったことを確認して私は亜空間を消した。
魔力が桁違いに多い私でも魔力欠乏症ギリギリまで魔力を消費してその場に座り込む。
魔力が回復するまで宿には戻れないなと思っていると後ろからドラゴンが話しかけてきた。
「そなた、一体何者だ?人…ではないな?」
ドラゴンも精神攻撃を受けて疲れているものの体を起こして、私を見つめる。
「私はスゥ。ただ楽しく生きたいだけの女の子です」
この世界からしたら異質な存在であるのは私も変わらない。
でもそれは私の個性だ。
それ以外はただの女の子だ。
そういうとドラゴンは礼を言われたときよりも頭を低くした。
「2度も我らを助けてもらい本当に感謝する。あれは吾輩でも倒すことができなかった。下手をしていたら死んでいたであろう。これは感謝の気持ちだ。受け取ってほしい」
そういうとドラゴンの体から光る玉のような物が出てきて、私の体に吸い込まれるように消えていった。
「えと、これは?」
「今のは吾輩との絆だ。吾輩の魂の欠片を送ったからそなたはいつでもどこでも吾輩を召喚することができるぞ」
「私はあなたをテイムしたってこと?」
「いや違う。テイムは距離や数に限りがあるが、召喚はそれに限りがない。それに絆を結んだ生物の配下なら何匹でも召喚することができるぞ」
ん?
つまり、私が絆を結んだのはドラゴンの長だから、ドラゴンならどこでも何匹でも呼び出すことができると?
私はステータスの称号を確認する。
すると、また追加されていました。
召喚者:生物から絆を受け取った証
この称号を持つ者は、魔力を介すことなく絆を結んだ生物とその配下を召喚することができ、すべての生物と会話することができる思念伝達の力が宿る。
そして、テイムも可能になる。
テイマーはこの世界には山のように存在する。
召喚者は多くはいないが、少し珍しい程度で済む。
でも、絆を結んだ相手が悪かった。
生物最強のドラゴンである。
しかも、その長と結んだのだ。
こうして、私はある意味での生物最強になってしまったのだった。
~???視点~
異常なほどの攻撃を受け小さくなってしまった何かは広い空間の中で粉々にバラけてしまった体を少しづつ集めた。
亜空間は箱のような形で魔力を多く詰め込まれていた。
何かは体を薄く壁に沿って広げて、亜空間自体を取り込んだ。
亜空間の魔力を取り込んだ何かは、他の生物の魔力や生気を取り込むよりもその強く綺麗な魔力による影響が大きく体はドロドロとしていたのに丸い球体に変化した。
そして、亜空間の中に魔力が無くなるとその亜空間を破壊して、他の空間の魔力を取り込んでいく。
だが、亜空間の魔力ほどの大きな変化をもたらすほどのものではなかった。
そこで球体は取り込んだ亜空間の魔力の持ち主に向かって空間を渡り続ける。
球体は魔力をどんどん溜め込んだ。
そして、その魔力で何度もその持ち主のいる世界へ繋がる空間を探し続けた。
数えきれないほどの回数をした球体は、やっとその世界へ繋がる空間を見つけてしまった。
球体はその世界に入るとまた周囲の生気を取り込み始めた。
解き放たれた当初より強くより凶悪な存在に成長しているのを知っているものは誰一人としていない。
ただ球体は一人の少女を求め、移動をし続けるのだった。
今回も誤字脱字、感想お待ちしています!




