ドワーフとの関わり
楽しみにしてくださってた方々、長い間お待たせして本当にすいません!!m(_ _)m
10月に投稿予定とか言っておきながら4月になってしまったこと、深く謝罪させていただきます。
理由は投稿記事に記載しております通りです。
こんな作者ではありますが、これからも長い目で読んでいただけると幸いです。
今日は旅行初日の朝。
前よりも冷たくなった風が頬をかすめる中、私は宿に休業中の看板を掛け、窓と扉の鍵を閉めたことを確認してから私達はエントランスに集まった。
私は以前に作った偽の転移指輪をはめて、皆を見渡す。
「皆、準備は大丈夫?準備できたら、手を繋いで~」
「「はーい」」
私の指示通り、円になるようにして左右の人と手を繋いだ。
私の右手はクロ、左手はシロが私よりも少し小さい手に握られる。
2人ともニコニコしていて大変可愛らしい。
バナじぃが2人を溺愛する気持ちも理解できる。
「流石に人に転移を見られるわけにはいかないから、街から少し離れるけど許してね」
「それは仕方が無いの。先にどっちから行くのかの?」
「んー、特に理由は無いけどテヒン行ってからラメルに行こうかな?」
「私もそれで構いません」
「俺もだ」
「わ、私もです」
「「僕たちも~!」」
「よし、じゃあ最初の目的地、テヒンへ!」
私は転移を使った。
ついでに、転移した先に偶然人がいて見つかる可能性も考えて、皆にもバレないように隠蔽も使用しておく。
大先生を駆使してテヒンの近くにある鉱山に私達は転移した。
転移したことにより、風景がガラリと変わる。
そこは人気のない、ほんのりと硫黄の匂いがする川が流れている鉱山の麓だった。
川からは薄らと湯気が立ち上っており、そこに太陽の光が雲と雲の間から零れ落ちるように降り注がれる。
湯気が動く度、光はその形をより鮮明に見せていく。
川の向こう岸には目的地のテヒンの街が見えている。
同じ国だというのにまるで川から先の景色は、時代や文化が違う別の世界に来たのかのようだった。
その光景がとても幻想的なものに感じて私達は魅入っていた。
鉱山なので様々な鉱石が発掘される山だ。
だが、この鉱山は他の鉱山とは違い地下深くにマグマだまりがあるので、鉱山でもあり火山でもある。
そして、そのマグマだまりの近くを通った水が温められ、温泉が湧き出るようになったのだ。
その温泉が何処からか川に繋がっているため、湯気が出ているようだ。
幻想的な光景に心奪われていると、ノースさんがいつものように冷静に私達に話しかける。
「本当に一瞬で移動しましたね…。さぁ、皆さん、テヒンは目と鼻の先です。行きましょう」
私達に声をかけてすぐに歩き始める。
「もしかして、温泉とかあまり興味が無かったかな?」
「…あー、いや、あれは今までに無いくらい上機嫌だぜ?…ほら、ノースが持ってる本、よく見てみろよ」
「…んー?」
トニーさんに言われたように持っている本をよく見ると、本のページが揃っていない。
これは…本に紙を挟んでる?
「ノースは知識欲の塊だからな。本は普段から持ち歩いてるが、その中でも楽しみなことがあるとあーやって本に自分なりに調べた情報を書いた紙を挟んで現地に持って行く癖があるんだよ。昔と変わらねーな、あいつ」
トニーさんは呆れたように言って、穏やかな笑顔を浮かべてノースさんの歩いて行く後ろ姿を眺める。
そんな表情や言動からもトニーさんがどれ程、ノースさんが大切な存在なのか全てとは言わないが、分かるようだった。
羨ましい。
そんな感情が私の心を支配する。
私もちぃといたときは、こんな風に皆に思われてたりしたのかなと懐かしい気持ちだ。
今の私は昔ほど孤独では無い。
宿屋を始めてゼノ様やルノ様、クロ、シロ、バナじぃ、マークさん、トニーさん、ノースさんと沢山の人が私の側にいてくれる。
それでも、トニーさんやノースさんを見ていると、私も早くちぃに会いたいと願ってしまう。
「…さすが幼なじみね」
「そりゃ、赤ん坊の頃からの付き合いだ。これからも一緒に働くなら、嫌でも分かるようになるさ」
トニーさんは明るく屈託のない笑顔で私の頭を軽くポンポンとして、ノースさんの後を追いかける。
トニーさんがノースさんの肩に腕に回す。
いきなり回された腕にノースさんが迷惑そうな顔をしているが、その腕を振り払おうとはしなかった。
ちぃが素っ気ない態度の私をひたすら追いかけてきていた、あの光景を思い出す。
ぼんやりと2人を見ていると、クロとシロが私の手を掴む。
「スゥ、どうしたの?」
「元気ない?大丈夫?」
私より背の低い2人が私の顔を見上げて心配する。
「うん、大丈夫よ。ありがとうね」
クロとシロの優しさが嬉しくて2人の頭を撫でる。
それを「えへへっ」と頬を少し赤に染めて嬉しそうに笑う。
2人は気を良くしたようで私の手を引っ張りながら、先に歩いていた皆の元へと走ると、追いついた私達を笑顔で軽口を叩きながら迎えてくれる。
そうだよ。
ちぃのことも大切だけど、皆は既に私にとってかけがえのない仲間であり家族のような存在なんだから。
今は今の私のこの居場所を、皆と過ごす時間を大切にしていこう。
私はそのまま皆と笑い合いながらテヒンへ向かった。
テヒンへ着くとそこはいつもの中世ヨーロッパのような町並みはなく、手先が器用なドワーフの国というだけあって建物はしっかりとした作りの鉄や銅、加工された岩で作られている。
歩いているのは、人間と変わらない姿をしているがドワーフの男性ばかり。
人間と違う所があるとするならば、髪は上から下に向かって色が薄くグラデーションになっていることと、身長が男性は150㎝以下と低く顔と体が丸いので雪だるまにしか見えない事ぐらいだ。
このドワーフの国において男性はより低く、より丸顔で体も丸いほどモテるのだとか。
不思議に感じている私をよそに
「「うわぁ…!こんな建物見たこと無いよ!」」
「わしもテヒンに来るのは初めてかもしれんのぉ」
「人間の国とは全く違いますね!」
双子とバナじぃ、マークさんはキラキラと目を輝かせて辺りを見回す。
今にも走り出しそうな勢いだ。
「ふふ、また後で各自自由行動するから先に宿を確保しておこうね」
獣人ではないはずだけど、4人の尻尾が千切れそうなほど揺れて見えてとても面白い。
知識欲の塊のノースさんは建物や売られている小物に
THE武闘派のトニーさんは武器や防具に
4人と違って2人が静かだったのはじーっと目についたものを観察していたからだった。
(これじゃあ、一向に宿に着かないかな?)
苦笑しながら私は何とか5人を大先生が事前に調べてくれていた様々な他種族を受け入れてくれる宿へと誘導する事が出来た。
私達が入ると、受付には丸々としたドワーフの男性がいた。
「いらっしゃ…いっ!?!」
店員の男性は人間を見てとか、双子やノースさんの顔を見て、ではなく私を見て驚愕の色を浮かべていた。
何で?とも考えたがそれは大先生によってすぐに解決した。
そもそもドワーフの国では温泉は女性に人気ではあるが、同時に武器製造の本場でもあるため男性にも人気の国だ。
武器を求める人の中には誠実な騎士達もいるが、それを遙かに超えて荒くれ者が多くいる冒険者が来ることが多い。
もちろん"大地の剣"は含まれないが。
そんな危険がある場所に甘やかされて育った女性たちは好んで来ようとはしない。
来たとしても温泉の近くに女性専用の強固な建物があり、皆、そこに泊まるのだ。
さらに、手先が器用なドワーフの女性たちは家で雑貨を作っているので家からは殆どでない。
結果、他国よりも女性と出逢える機会が少ない国としても知られていたのだった。
「えと、彼女も含めた7人なんですけど泊まれますか?」
「は、はいっ!!」
代表として私が言うべきではあったが、この状況で私が話しかける事は出来ないのでマークさんが代わりに受付をしてくれた。
男性は慌ただしく奥へと走って行き、すぐに人の良さそうな雰囲気のオーナーらしき男性を連れて帰ってきた。
「この度は数多くの宿の中からこちらの宿をご利用頂きありがとうございます。この宿のオーナーのザリウスです」
丁寧にやうやうしく私達に頭を下げる。
少しばかり値は張るがこの庶民向けの宿には似つかわしくないほど洗練された動きは、まるで執事のようだった。
オーナーは私に目を向けさらに深々と頭を下げる。
「本日は数ある宿の中、うちの宿を選んでいただけたこと深く感謝申し上げます。選んでいただいた以上、僭越ながら、私ザリウスが安全に過ごすことが出来るように責任を持って貴方様を御守りさせていただきます。何卒、よろしくお願いいたします」
さすがは大先生が勧める宿のオーナー。
私からすれば大袈裟で堅苦し過ぎるのではと思うが、この世界の女性たちからすれば下手な宿よりも安心して過ごせると思えるだろう。
何より甘やかされて育ったこの世界の女性達は、気性が荒いと聞く。
さっきの従業員を見る限り、あれでは粗相をして問題を起こしかねない。
そういった意味も含め、交代したのは最善の選択だと言える。
私はマークさんに了承の意を込めた目線を送った。
それを見たマークさん達はザリウスさんに話しかける。
「こちらこそ、よ、よろしくお願いします」
それを聞いたザリウスさんは小さくホッと胸をなで下ろし、また優しそうな笑みを浮かべて私達を部屋へと案内した。
今回の部屋割は
ノースさん・トニーさん・マークさん
バナじぃ・クロ・シロ
私
の3部屋に分けられそれぞれが部屋に移動した。
私は部屋に荷物を置いてすぐに観光するつもりだったのだが、皆が「安全な店を先に調べておくから、今日はお留守番してて」と言われてしまい部屋で待機となった。
残念な気持ちと罪悪感を感じながら私は部屋へと向かう。
正直、私だけが1人部屋を使うのは気が引ける。
それでも、この世界ではこれが当たり前なのだから、受け入れるしかないと割り切るが、1番残念だったのは建物まで分けられていることだった。
そして当然、男性は何があろうと女性専用の建物には入る事が出来ず、逆もまた然り。
それは護衛であろうとその建物には入れない。
では、どうやって女性を守るのか。
男性専用の建物の近くに幾つか舎がある。
その中には訓練された小型のワイバーンがいて、私の部屋にある特殊な笛を吹けば飛んで守ってくれると言う仕組みだ。
護衛は舎にいるためそのワイバーンが飛んだら、すぐに護衛は来る。
襲われた場合はその護衛のワイバーンに乗って逃げるらしい。
これがこの世界の通常なのだ。
慣れないといけないとは思う。
でも、それ以上に私にはとても窮屈なものに感じられたのだった。
唯一、窮屈さを感じさせないのは部屋から見える景色だろう。
女性部屋は外から見られないようにするために建物の最上階にある。
私達が泊まった宿は貴族向けではないから、街から近い場所にあり人々の様子がよく見える。
肩を組み合いながら笑顔で歩く人
目を輝かせて雑貨を見る子ども
屋台で作られる食べ物
前世も含めこのような光景を実際に見る事は無かった私はそれに飽きることはない。
「よし、今日は人間、いやドワーフ観察でもするか」と開き直って隅々まで見ていると、街から離れた場所にギリギリ家と呼べるような建物が幾つか並んでいる荒れ果てている土地を見つけた。
遠視のスキルを作り見てみると、そこはスラム街のような場所だった。
栄養不足で痩せ細った白い身体。
ボロボロの色褪せた服。
子供からお年寄りまで年齢は様々だ。
たが、前世と1つだけ違うとすれば、住んでいる人は皆ドワーフにしてはかなり高い165センチ以上の男性と言うことだ。
まさかと思い私は大先生を使った。
結果は言うまでも無く差別によるものだった。
人族は男性への美醜差別が激しい。
それと同じようにドワーフにおいては高身長差別が激しく、多くからは呪いや病気として扱われているのだ。
そして街から迫害された人達はほぼ産まれたときから捨てられることが多い。
高身長になる子供には決まって胸元に形は様々だが花の模様が現れるらしい。
これを呪華病と人々は呼ぶ。
呪いが移ると信じている彼らに近づこうとする人が居るわけもなく、食料も買うことは少ない。
ましてや川は硫黄で魚も取れず、それを食べる生き物を捕ることは出来ない。
そんなことをしてしまえば、間違いなく体に異常がでてしまうのだ。
だから彼らは川からかなり離れた場所へ食べられる野菜や果物を取りに行かなくてはならない。
こうして徐々に痩せて、結局、美醜差別が起こるという悪循環だった。
私は知っている。
あのひもじい思いをする事を。
親から捨てられた悲しみを。
労働がどれだけ大変かを。
生きることの絶望を。
私にはちぃがいた。
だから彼らほどの長い経験ではない。
全て分かっているとは言えない。
助けてあげられる確証もない。
でも、それでも。
彼らを助けたい。
ちぃが私に生きる意味を与えてくれたように。
私が彼らに生きる意味を与えたい。
会うことを決めた私は早速行動に移した。
まず幻影でさっき私がしていたように外を眺めている私を作り出す。
私の部屋に誰か来ることも見られることもほぼ有り得ないことだが、念には念を入れておき、私自身は偽装を使ってレイへと変身した。
位置は把握したのですぐに隠密と転移を使って、目的の土地へと向かった。
移動した瞬間、私は息を飲んでしまい、その場から動くことが出来なかった。
遠視では分からなかったが、彼らはほぼ全ての人がイケメンだったのだ。
子供からお年寄りまで、一瞬、私は死んで天国に転移したかと思ってしまった。
(…はっ!しっかりしろ!私!とにかく、誰かに話しかけてみないと)
誰にも見つからない場所へ移動して隠密を解く。
そして、目の前に見える彼らに話しかけようとしたとき少し先の薄暗い建物の間の路地に倒れている人が目に付いて止まる。
よく見ると彼はボロボロの籠の入れ物を大事そうに抱えながら倒れていた。
急いで彼の側に近づくと彼は骨が若干浮き出ているほど飢餓状態で、さらに暑いわけでもないのに異常な量の発汗症状、つまり重度の脱水症を起こしている。
私は急いで隠密と転移を発動し、少し離れた森に移動した。
彼の身体は既に限界ギリギリであったので治癒で脱水症を打ち消す。
あとは飢餓状態をどうにかすることだけだ。
意識が戻れば食べさせてあげることが出来るが、今はそんなことを言っている場合ではなかった。
魔法で取りあえず水とおにぎりを作り、朦朧としている彼の目の前にそれらを突き出す。
「しっかりして下さい。起きられますか?これは安全な食料です。食べてください」
ピクッと動いた彼はそれを薄ら見て驚くが、また目を閉じた。
まるで、今更そんなことをしても無駄だと言うように。
それに対して私はイラッとしてしまう。
「食べなさい。でないと貴方、死にますよ」
それでも彼は反応しない。
その態度にさらに私は憤りを感じ始める。
「貴方、死にたいんですか?死ぬのは貴方の勝手ですが、貴方を必要としている人が居るんじゃないんですか?その人達のためにその籠を大事そうに抱えているのではないのですが?」
またピクッと反応し初めて私に目を向けた。
籠から少し見えたのは沢山の果物だった。
自分が死にそうなのにも関わらず、それらを食べなかったのは何故か。
きっと彼は他の人に分け与えようとしていたのではないだろうか。
わざわざ遠い土地へ赴き、仲間のために食料を調達する。
彼はグラデーションのような緑の髪と目を持ち、顔はゼノ様やルノ様達に引けを取ることは無いほどイケメンだった。
前世で言う塩顔イケメンだ。
その彼がそれをすることがどれだけの苦労があったのか計り知れない。
困惑したような瞳を見ながら私は表情を緩める。
「さぁ、食べなさい。自分のためではなく、その人達のために」
そしてやっと目の前のおにぎりをゆっくり食べ始め、食べ終わった瞬間、安心したのかまた眠ってしまった。
その姿を見てホッとする。
この世界に来て何度も感じるのは、私と同じような体験をしている人が多く居ると言うことだ。
その人達に会う度、私は自分と重ねてしまい他人事のようには感じられない。
余計なお世話だと感じられても、私はやっぱり希望を持って生きてほしい。
私のように「生きている意味なんてない」なんて思ってほしくないんだ。
前世の私と重ねてしまった彼に怒ってしまったことを申し訳なく思いつつ、創造魔法で広々とした木の家を作る。
中も人が暮らせる程度の簡素な物を作って、風魔法で運び寝かせ私は外へ出て、この後のことを考える。
今日は1日誰とも会わないとしても、明日は皆で観光の約束があるし、明後日にはここを出る予定だが、あの状態の人を放置する事は出来ない。
かと言ってずっと彼の看病をするのは無理だ。
そこでふと、彼の持っていた籠を思い出す。
(そうだ!彼には仲間が居るはず!その人達を探して看病してもらえばいいんだ!)
そうと決めた私はまたあの街に戻った。
人々は私を見るなり驚いた顔をしたり、嫌悪感丸出しの顔をしたりと様々だった。
外部の人が出入りする事は滅多に無いから皆興味深々のようだ。
取りあえず誰に話しかけようかと思ってキョロキョロしていると、恐る恐るというようにバナじぃよりも少し痩せているシワシワのちょいイケお爺さんが話しかけてきた。
「旅人か?こんな所にやって来て何を探しておる。ここはお前が来るような場所ではないぞ。冷やかしなら早々に帰ってくれ」
「いえ、用事があって参りました。緑の目と髪をした高身長のドワーフ男性を何方かご存じないかと思いまして」
すると、そのお爺さんは目を丸くする。
「もしかして、そやつは籠を持っていなかったか?」
「はい、持っていますね」
「…わしに着いてこい」
そう言うと、私に背を向けて何処かへ歩き出した。
少し歩くとお爺さんは他の家よりは広いが古く汚れた家に入っていく。
私もお爺さんの後から扉を開けるとそこには大勢の子供達がいた。
年端もいかない赤ちゃんも居れば、中学生くらいの年齢の子もいる。
その子達はお爺さんを見るなり一斉に周囲に駆け寄った。
どうやらこのお爺さんは子供達からとても人気があるようだった。
その中でも年長であろう男の子がお爺さんに話しかける。
「村長、どうしたんだ?食料ならこの前貰ったばかりだが?」
「今回は違う用事があってな。珍しいが客人だ」
「はぁ?客人?」
そう言うと怪訝に私を凝視した。
そして溜息をして面倒くさそうに頭をかく。
「悪いが帰ってくれ。生憎とうちは見世物じゃ無いんでね」
「こら、やめんか」
「どうせこいつも同情するふりだけして俺らを見下して、優越感に浸ってる其処らの野郎と変わらねぇんだろ」
「カイッ!!」
この男の子はカイというらしい。
そして、彼の言い方からして過去にそういった事があったのだろう。
いや、今もなお起こっていることか。
「確かにそういう人も居ますが、今回はそれは一先ず置いといて、聞きたいことがあって来たのです」
「…何だよ」
「緑の髪と目をした高身長の方をご存じありませんか?」
「なっ!!?」
先程、私に鋭い視線を飛ばしていたとは思えないほど瞳が弱々しく揺らめく。
「大きめの籠を持っている方なのですが」
「…あぁ、よく知っている。俺らは家族だ」
「そうでしたか。ご家族が見つかって良かったです。実はこの近くで倒れているのを見つけて、今、家で看病をしているところだったのです」
「倒れた!?今、どこに居るんだ!?アル兄は!?無事なのか!?」
「落ち着いてください。今、私の家で寝ています。大丈夫です」
「そうか…アル兄を助けてくれて、ありがとうございます」
アル兄と呼ばれる彼はこの男の子にとても慕われているようで、プライドの高そうな男の子は丁寧に私に頭を下げる。
男の子以外にも彼を慕う子供達は多く、私の元へ来るなり「ありがとう!お兄さん!」と笑顔で言う。
これを見て私はやっぱり彼を助けられて良かったと嬉しくなった。
「どういたしまして。そこで貴方にお願いがあるのです」
私は考えていた設定を話した。
私は旅をしていて今日はたまたま知人から譲り受けた家に居るが、忙しい身なので家に寝かせている彼を看病するのは難しい。
2日後にはここを発たねばならない。
さらに彼は身体の状態が良くないためしばらくは安静にして貰う必要があり、それには時間がかかること。
そこで元気になるまでの間、彼の看病をお願いしたいのだと。
それを聞いて男の子不安そうな顔をする。
「…やりたいのは山々だが、このチビ供を放っておくことなんて出来ねぇ。それに安全な食料すら俺らにはねぇぞ」
「大丈夫です。家はここに居る人数くらいなら何とか住める広さですし、食料も此方から提供しましょう。旅をしていて稼いだ手持ちがあるので」
「…どうしてそこまでしてくれる。俺らにしかメリットなんて無いじゃねぇか」
「んー、そうですね。強いて言うなら自己満足でしょうか?助けた人が死なれると後味悪いので」
まぁ、不純な動機があるとすればイケメンには優しくしたいからだが、ここは格好つけさせて貰おう。
「ふっ…そうかよ。まぁ、何にせよありがとな。今更だが俺はカイ。お前は?」
「私はレイと申します。よろしくお願いします」
私が手を出すとカイはしっかり握り返してくれた。
「変なやつ」と苦笑しながら。
これが彼らドワーフと私との関わりだった。
今回は久しぶりの投稿でとても緊張しました。
前より拙くなってる気がして…(T^T)
内容も薄くなってないかとか不安いっぱいです。
皆様の応援メッセージを見てやる気を出して頑張ったつもりなので、温かい目でぜひよろしくお願いします。




