モヤモヤ
誤字脱字報告ありがとうございます!
変な日本語になっているところは、どんどん教えて下さい!
基本的、訂正しますので。
私はゼノ様とルノ様との試合で勝利し、宿チームが冒険者チームに勝つという結果となった。
私が皆の所に戻ると、まず双子に尊敬の眼差しを向けられ、大人組は唖然。
バナじぃには、私の肩を痛いくらいにバシバシと叩きながら褒められる。
「ほっほっほっ!お主、よう全ての攻撃を避け、相手のステータスを見て相手の得意な攻撃パターンを使えないように防ぎ、しかも、あれだけの魔法を使えたもんじゃ。…お主、今代の4大騎士をも倒せるかものぉ」
かなりの高評価である。
初めてこんな風に戦ったので、不安だったがバナじぃのその言葉で自信を持つことが出来た。
皆と話していると、タンザさんやゼノ様、ルノ様がやって来た。
「まさか、この2人を倒すとは驚きました。ぜひ、うちに入って欲しいのですが、どうですか?」
「すみません、有難い話ですが、ご遠慮致します」
「そうですか。残念です。ぜひ、教えを請いたかったのですが」
全く残念そうな顔をせず、タンザさんは笑う。
「私なんてまだまだです。私はここへ毎日来ることは出来ませんが、バーナードさんなら毎日いらっしゃるので、ぜひそちらに教えてもらって下さい。別途料金はかかりますが、元4大騎士から教えてもらえる事なんて、そうそうないですよ?いかがですか?」
「何と!教えてもらえるのですか!?それは是非、お願いしたいですね。バーナードさん、宜しいでしょうか?」
「良いぞい。その為に雇われたからのぉ。ただ、わしは厳しいのでそのつもりでの」
「はい!よろしくお願いします!」
何とか売り込みには成功した。
これで、金銭面は安心だろう。
楽しそうに話しているバナじぃとタンザさんを傍観していると、今度はゼノ様とルノ様がやって来た。
「お前、強いな」
「私達の完敗だった」
「いえいえ、お2人も強かったですよ」
勝っといてこんな事を言っても、嫌味を言ってるように聞こえるかもしれないが、実際にそうなのだから仕方が無い。
あの最初の攻撃は、本当にヤバかった。
あと、ルノ様が植物魔法を使った檻は火に強い植物で作られていたから、強めの火力でなかったら燃やすことも出来なかっただろう。
「それはどうも」
「お前、どうやったらあれ程強くなれるんだ?」
「すみません、詳しく教えるわけにはいかないのです」
「そうか」
まさか、戦ったのがあれが初めてで、知識で知ってるだけだなんて夢にも思わないだろう。
「では、私はこれで失礼します」
「もう、行くのか?」
「はい、所用があるので。またいつか、お会いしましょう」
私はゼノ様とルノ様にに挨拶をしてから、広場を離れ、辺りに人がいないか確認してからいつもの姿へと変身した。
今回の試合は、朝から夕方まで通して行われたため夕飯はまだ。
そのまま夕飯を作るため戻ろうとしたが、私は朝食を作るときに食材が少し心許ない気がしたので、気分転換がてら買いものをするため、また街に降りた。
街の市場に行き、お肉や前世でなかった調味料などを買いそろえていく。
女だからということで優しく接してくれるおじさん達から安く食材を貰えて嬉しくて、私はおじさん達と話しているうちに仲良くなっていた。
「お嬢さん良い子だし、頭も良いなぁ。パッと計算とか出来てよ」
「ああ、早いよな。字も書けるんだろ?」
「はい、書けますよ」
「スゴいな。ここらは、学があるもんが集まっては来るから、大半は書けるし字も分かるけどよ、よそ者は殆どが分からねぇからな。商売してる側に説明を求めてくるから、大変なんだよな」
「そうそう、あと働かせてほしいって言ってくるけど、計算も字も分からねぇとかな。それじゃあ、働かせてあげたくても働かせてやれねぇんだよな」
「そうなんですね」
「ああ、人族はまだましだが、他種族は特に酷い」
「何でですか?」
「んー、戦闘派が多すぎるんじゃねぇか?そのせいで、教える人も少ないって聞いた気がするぞ」
じゃあ、働きたいのに働けない人達はどうするのだろうか。
全ての人に力があって冒険者が出来るわけでもないだろう。
なれたとしても、下のランクじゃ少ししか貰えない。
それに、子ども達がもし勉強が必要な仕事に就きたいと夢を持っていたら諦めなければならないのだろうか。
そんなモヤモヤとした気持ちを抱きながら、おじさん達とは別れ、宿へと戻った。
私が宿に着く頃には、日が暮れかかっていた。
少し予定より遅くなってしまったことに慌てながら、宿の玄関から入る。
すると、音が鳴ったことにいち早く気づいたマークさんがお出迎えしてくれた。
「あ、オーナー!お帰りなさい!待ってましたよ!」
「ただいま。どうしたの?」
「「スゥ~!!」」
「わっ」
マークさんに話を聞こうとしたところに、双子が勢い良く腰に飛びついてきたのだ。
驚いた私は、少し蹌踉めいたものの片足でぐっと堪える。
「2人ともどうしたの?」
「「試合で僕たちが勝ったよ!」」
「あぁ、レイから聞いたよ。おめでとう。2人もスゴく頑張ったんだね」
よしよしと頭を撫でるが、負けたことを気にしているのか不服そうだった。
「僕たちは負けちゃった」
「精一杯やったけどダメだった」
「…そう。じゃあ、これからもっと強くなれるね。良かったね」
「「…うん!」」
私はどちらかというとネガティブ思考だったが、ちぃが励ましてくれると前向きな気持ちになれた。
それを双子にもちぃ風に言ってみたのだが、やっぱり効果はあったようで笑顔で返事をする。
「皆頑張ったんだね。よし!約束通り、皆で旅行に行こう」
「「やった~!」」
「楽しみですね!」
「行き先はまた後で、皆で決めよう」
わいわいとしながら、食堂で夕飯を食べた。
夕飯では、試合で対決した同士で食べたり、その人達を囲んで団員達が話していたりととても楽しそうだった。
「スゥ」
「一緒に食べよう?」
どこで食べようか悩んでいると、私にゼノ様とルノ様が声をかけてくれた。
「はい!喜んで」
私達は3人でまた食堂の角の6人テーブルに、片側の3席だけを使って食べ始める。
私はこの状況を、もう気にしないことにしたのだ。
「スゥは何処に行ってたんだ?」
「食材の買い足しに。本当はもっと早く帰ってきて、皆さんの料理を作ろうと思ってたんですけど、話し込んじゃって」
「誰と?」
「市場のおじさん達です」
それを聞いて2人は溜息をつく。
何故だ。
「スゥ、買い出しには1人で行くものではないよ?」
「そうだぞ。何かあったらどうする」
2人とも、まるで父親である。
「大丈夫ですよ。何もなかったんですから」
「それでも、心配だから誰かにお願いして?」
ルノ様が困った子を見るような目で首を傾げている。
美人にそんなことをされて、拒否できるような強靱な心は持ち合わせてはいなかった。
「…はい」
「うん、ありがとう」
私はイケメンにはとことん弱いのである。
「2人は試合してみてどうでしたか?」
「負けた」
「あんなに強い人に会ったのは初めてだったよ」
「え、そんなにですか?」
「ああ、勝てる気がしない」
…本気を出し切れていなかったことは、秘密にしておこう。
「彼を冒険者に副団長が勧誘していたけど、ダメだったみたい」
「だろうな。俺は冒険者以外に向いていないから良いが、あいつは冒険者じゃなくても食っていけるだろ」
「…やっぱり勉強が出来るからですか?」
「そうだな。あと、言葉遣いにしても戦闘力にしても、引く手数多だろうな」
「あと、かなり頭が働くところとかね」
それは頭を働かせてないと、攻撃されて痛そうだったので仕方が無いのでは?
「まぁ、勉強が出来るなら選べる職場も少しは増える。だが、俺達のような醜い男達は勉強を教えてもらおうにも、教えたくない奴が大半だ。運良く教えて貰えたとしても、採用してくれる所が少ないな」
何故、この世界では美醜だけでそんなにも差別されなければいけないのだろうか。
彼らが何をしたというのだろうか。
私は心の中で、モヤモヤがイライラに変わっていくのが分かったのだった。
これから毎日更新は出来なくなるかもしれませんが、なるべく頑張りますのでご了承下さい。




