第六感
ちょっと上手く出来たと思ってます!
宿チームが2勝し、残すはあと1勝となり、冒険者チームも焦ったような声が私達の所まで聞こえてきた。
私達は、次に双子を出した。
1番強いであろうタンザさんを最後に持ってくると皆が考えた結果だった。
しかし、双子の前に現れたのはその本人、タンザさんであった。
「うわ、副団長出てきたぞ」
「これはマズいかもですね」
「だ、大丈夫、なんでしょうか…」
私は2人を見る。
すると、一瞬だが目が合ったような気がした。
まるで、見ていてと言わんばかりに。
「第4試合…始め!」
バナじぃが開始の合図をするも、どちらも動かない。
それにより、さらに緊張感が高まっていく。
風の音、草木が揺れる音、鳥たちが鳴く声しか聞こえなかった。
しかし、次の瞬間。
クロがタンザさんに攻撃を仕掛けた。
タンザさんはクロの攻撃を右に躱す。
しかし、右に躱した瞬間、シロの風魔法がタンザさんに襲いかかる。
タンザさんは突然の風に目を細めた。
しかし、その瞬間をクロが狙いに掛かる。
これはノースさんがやった戦法だった。
絶妙なタイミング。
これは、双子ならではの戦い方で、他の人ではここまで綺麗にはハマらないだろう。
だが、1度やられたのを見ていたせいか簡単にクロの攻撃は避けられてしまった。
「ここまでの連携は素晴らしい。だけど、それは1度見ました」
「うん、分かってる」
「じゃあ、次いくよ」
そう言うと、今度は2人が剣を持ちタンザさんに向かって走り出す。
そして、反対方向に二手に分かれて攻撃を仕掛けていく。
クロが攻撃してタンザさんが躱すと、それを狙ってシロが攻撃する。
そして、それを躱したタンザさんを今度はクロが攻撃する。
それをかなり速いスピードで攻撃をした。
だが、タンザさんはいとも簡単に避ける。
全てが見えているかのように。
これは瞬発力が高い人ほど、早い展開についていくことが出来る。
だから、私は見えている。
タンザさんが双子達のちょっとした動きを見てから動いている事が。
さすがは副団長を名乗るだけはある。
かなりの実力者だ。
バナじぃを見ても、感心しながら戦いを見ていた。
双子達も今のままではダメだと気づいたのか、距離を取った。
「?もう終わりですか?では、私の番ですね」
そう言ったタンザさんは早かった。
さっきまで試合に出た皆も早い方だと思っていたが、タンザさんはそれを上回っていた。
すぐに2人の背後をとって、土魔法で岩を地面から作り出し2人を攻撃する。
見えてなかった場所から、魔法で攻撃され慌てながら回避を繰り返す。
そして、2人ははっとした。
そう、この状況は真似をしたノースさんの戦法。
さっき、自分たちが真似たように、タンザさんも真似たのだ。
だとすると、このままでは逃げ場が無くなってしまう。
だから2人は逃げるのではなく、タンザさんに直接攻撃に行ったのだ。
しかし、それこそタンザさんの思う壺であった。
近づいてきた2人の足をひっかけて倒し、2人に剣を向けたのだ。
「…第4試合、勝者、冒険者チーム!」
バナじぃの声で団員達はかなり盛り上がっていた。
2人は下を向いたまま、私の元にやって来る。
「「レイさん、すいません」」
「?何故、私に謝るのですか?」
「良いところ」
「見せようと思って」
成る程、でも負けてしまったということか。
「謝る必要はありません。良い戦いぶりだったと思いますよ。次、頑張って下さい」
「「はい、次こそは勝ちます!」」
この試合をきっかけに成長していくこの子達を見て、嬉しい気持ちになった。
しかし、次は私の番なのだ。
しっかりさせないと。
私は皆の成長ぶりを見て、私も成長しなければ、皆に顔向けできないと思った。
だから、私はこの試合で出せるなら本気を出すと決めたのだった。
私は広場の中央に移動した。
団員達からは、見たことも無い男が出てきたことでじろじろと私は見られた。
「お主、あの子らが言っておった、レイかの?」
バナじぃが話しかけてきた。
話しかけてきたことで、この姿で会うのは、今回でこれが初めてだったと気づいた。
「はい、副オーナーをしております。レイと申します。以後、お見知りおきを」
「…うむ」
難しい顔をしてバナじぃは私を見ていた。
変装には自信があったのだが、バレたのではと冷や汗が出てしまう。
「…お前、見たこと無いな。ここの従業員か?」
話しかけてきたのは、ゼノ様だった。
しかも、ここに出てきているということは私と戦う相手だということになる。
正直、気が重い。
「はい、副オーナーのレイです。よろしくお願いいたします」
「ああ、よろしく」
「あー、ちょっと良いかの?」
どの試合でも何も言わなかったバナじぃがここで初めて何か言ってきた。
「お主らが良ければ、冒険者チームからもう1人出して2対1にせんかの?」
ここに来てまさかの提案である。
「…理由をお聞かせ願えますか?」
「うむ、わしの称号スキルの第六感がの、お主の相手は2人以上が良いと言っておるでの」
第六感め、何てことを。
2人以上って。
きっと、気を使って2人と言ってくれたのだろう。
「…さすがにそれは、不平等じゃないか?」
「じゃがの、わしはこの第六感に従って悪いようになった覚えはないぞ?…じゃが、決めるのはお主らじゃ。どちらでも構わんぞ?」
2人がこちらを向く。
本当ならここは断るべきなんだろうけど、自分が何処までできるのか知りたい。
そんな欲求に私は抗うことが出来なかった。
「…分かりました。2対1でやりましょう」
「よし、決まりじゃな」
「…良いのか?」
「ええ、その代わり本気でいかせてもらいますので、ケガをさせてしまったらすいません」
「いや、それは良いが…まぁ、良いと言うのなら遠慮無くいかせてもらおう」
「お相手させて頂きます」
そして、話し合いの結果出てきたもう1人は…。
「ルノマリアだ。よろしく頼む」
「…副オーナー、レイです。よろしくお願いいたします」
どうしてこうも私の時だけ、面白いようになるのだろうか。
もう、こうなればやけくそである。
「第5試合…始め!」
言った瞬間に私は称号スキル未来予知を発動させた。
始めにゼノ様がものすごいスピードで剣を振るう。
これには、身体強化と神速をかけ、元々の瞬発力を生かした攻撃だ。
きっとここで普通の人、いや、タンザさんですら、やられていただろうが事前に見えている私はそれをスルッと避ける。
「「!!?」」
次にルノ様が植物魔法で私の動きを止めようとする。
この間、ゼノ様は私と一騎打ち状態だ。
ゼノ様は私が強いと、さっきの攻撃を躱したことで認識してしまい、かなり本気だ。
ゼノ様は剣も扱えるが、何よりの強みはその身体能力だ。
獣人なのだから、瞬発力が人並み外れている。
瞬発力は私よりも優れているが、未来予知で何処で何処に攻撃をするのか分かっているため、躱すことが出来ているにすぎない。
それを知るはずもないゼノ様は、剣も振い、蹴る殴るといった武術も織り交ぜながらの怒濤の攻撃だ。
本当に恐ろしい。
しかし、それでも私は全てを躱す。
「ゼノール!」
ルノ様がゼノ様に合図をしてその場から引き離す。
ルノ様は、植物の檻で私を捕まえた。
次の瞬間、私は植物の檻を炎で燃やした。
そして、また植物魔法を使われないように地面に氷を張った。
これも前もって分かっていたので、地面に水を多めに含ませてから氷を張った。
そのため、もう根っこさえも凍っているはずだ。
さらには、地面を凍らせたのでゼノ様の瞬発力もここでは生かすことは出来ない。
すると、ゼノ様は炎魔法を、ルノ様は水魔法をそれぞれ同じ威力をぶつけ合った。
そして、水が熱せられたことで水蒸気となり辺り一面が霧に包まれた。
そして、いつの間にか背後からゼノ様が私に剣を振り、目の前からルノ様が水魔法を放とうとしていた。
が、それも分かっていたので剣と魔法攻撃を躱し、近くにいたゼノ様には後ろ蹴りをして、遠くにいたルノ様には氷の檻を作って閉じ込めた。
ゼノ様は動けない、ルノ様も氷の檻を壊すことも出ることも出来ない状況となった。
しかし、唖然としているバナじぃが言う気配もない。
「…あの、宣言をお願いします」
「…はっ、そうじゃった。第5試合、勝者、宿チーム!」
こうして、3勝をしたので宿チームが勝利となったのだった。
バトル展開は楽しんでもらえたでしょうか?
そうだといいなと、願ってます。
レイモード最強です笑




