真っ白な世界
拙い表現ですよね…。
頑張りますので温かい眼差しで見てくだい!
気づくと真っ白な世界にいた。
私は考えていた。
どこまでも白く、先が見えないこの空間は何なのだろうかと。
分からないことが多い中で分かることはただ1つ。
自分はやっと死んだんだなということのみ。
ちぃを喪った悲しみからなのかあの日から何も意欲が湧かなかった。
体は動くが、もう気力が湧いてこずのんびりとした動きしかできなかった。
勉強をしても本を読んでもオシャレをしても何をしてもちぃを思い出した。
そして夜に声を押し殺して泣いた。
同情されても余計にちぃを思い出してしまうから。
だから、感情を押し殺した。
そしたら、また昔の無表情に近くなっていった。
だというのに今はどうだろうか。
自然と心穏やかになり自然と感情が溢れて、歩いても疲れを感じない。
不思議だなと感じこのだだっ広い空間をひたすらウロウロしていた。
「…あのぉ…?」
ふと、声をかけてくる人がいることに気づいた。
声の持ち主を探すため後ろを振り向くと…天使がいた。
ぴしっと私はフリーズした。
なぜなら、彼は正しく天使だった。
いや、頭の上にリングがあって、背中に羽があるとかそんなことじゃなく。
私より背が少し低いが金髪のサラサラした艶のある髪、垂れ目気味の大きなサファイアのような瞳を潤ませ上目遣いで私を見て、服の大きさが合っていないのか袖で手が隠れるくらい長い。
イケメンの萌え袖+ウルウルぱっちりお目々で上目遣い。
(可愛いかよ!!尊い…っ!)
死んでるとは思うけど生きてることに心から感謝して、さすがに目の前で実際に拝むと痛いヤツだと思われるため、心の中で拝み倒した。
(はぁ…かわいい…このイケメンはあざとい犬系かな?)
「えーっと…僕の話を聞いてほしいのですが…」
「…はっ、そうでした。すいません。それで私に話とは何でしょうか?」
すると、この犬系天使くんは、その小さな唇を震わせながら申し訳なさそうに言った。
「…本当に申し訳ないのですが…僕たちのせいであなたを死なせてしまいました…」
……うん?どゆこと?
「…その…僕、見た目通り天使です。天使の役割は、それぞれの世界の人々の心に光を与える事なんです。そうして、人々は希望や夢を持って前に進めるように、生きていけるようになってるんです。そして、その光は平等に分け与えられるものなのです。もし、平等に与えられなかった場合、体が弱かったり、その子の周りの環境が悪かったり、生きる気力を失ったりしてしまい、最悪の場合、死に至ります…」
……天使くんや、私、とっても心当たりがあるのだが?なんなら、歩んできた人生そのものなんだが?
「はい、お察しの通り、貴方は他の人に比べ光が与えられなかったのです。寧ろ、よくここまで生きてこられたと思うべきなのです」
天使くんいわく、私は全くと言って良いほど光を受け取れていなかったと。
本来、私の状態までいくと年が二桁に到達する前に亡くなるのが普通なのだとか。
ならば、なぜと疑問を抱いた。
「じゃあ、どうして私はここまで生きられたの?」
正直、何度も死を覚悟した。
それなのに、いつも寸前に助けられていた。
だから死ぬことも出来ずここまで生きてしまったのだから。
「…とある子が天使達に愛され他の子よりも光を受け取っていたからです。余りにも多すぎる光を体が受け取りきれず周りに光が宿ったのです。光はその人が近くを通るだけでも他の人に宿ります。それが何の偶然か、貴方の周りに現れここまで生きてこられたのでしょう」
その子がいるだけで周りに希望や夢を与える…。私にとってのそれは…。
「ちぃ…?」
震える声で天使くんに訪ねた。
そして天使くんは優しい目でゆっくりと答えてくれた「はい」と。
もう泣くしかなかった。やっぱりそうだったんだね、ちぃ。
ちぃに出逢ってから私は笑えたよ。
ちぃのお陰で本当に幸せだったんだよ。
感謝してもしきれないよ、ちぃ。
「天使くん」
「はい、何でしょう?」
「…ありがとう」
久しぶりにちぃの話を聞けた。それがどれほど嬉しかったか。
ちぃが居なくなってから周りは私を腫れ物に触れるように接した。
ちぃの話は絶対にしなかった。
そのことも私にとっては本当にちぃが居なくなったのだと証明しているようで苦しかった。
だから、久しぶり心からの笑顔で話してくれた天使くんに感謝をした。
天使くんは目を見開いて驚いた。
彼からしてみれば天使である彼がもっと気をつけていれば彼女が死ぬこともなかった。
もっと言えば、あんな家庭や施設で生活することもなかったのだ。
苦しい思いをした原因は彼ら天使にあるのだから。
だから、怒鳴られることも恨まれることも当たり前だと思っていたのだ。
しかし、彼女はその憎むべき天使を前に綺麗な笑顔で感謝をしたのだ。
驚かないはずがなかった。
そして同時に、どうしてこの子を僕は救えなかったのだろうかと自分を責める気持ちと後悔の気持ちが彼の心でせめぎ合ったのだった。
そして、彼は決心した。
せめて次こそは彼女を幸せにしてあげようと。
そんな気持ちを持ちながら
「どういたしまして」と返事をした。
心美しいこの人が今度こそいつでも心からの笑顔でいられるように。
祈りを込めて。
ちょっとした小話
天使くんは心優しいのですが優しすぎるが故に自分の意思をしっかり伝えられないのです。
だから、決意できるほどの気持ちを持てる事が出来て、師である神様も嬉しい気持ちでいっぱいなのでした。