サプライズプレゼント
最強バナじぃ投入です。
2日後にバナじぃを迎え入れることになった私は上機嫌であった。
(これで全員のレベルアップ出来るし、受講料を設定すれば、お金も手に入るだろうし、一石二鳥だよ~)
バナじぃを向かい入れるに当たって、やらなければならないことがあった私は、暗くなる前に急いで宿に戻る。
「ただいま~」
「お、おかえり!」
「お帰りなさい」
「「おかえり~」」
「オーナー!お帰りなさい!」
うん、やっぱり家があるって良いことだと思う。
「皆、今ちょっと時間もらっても良いかな?話があるんだけど」
私が招集をかけると、すぐに近くの部屋のラウンジに座って話を聞く態勢をする。
だから、私も姿勢を正してオーナーとして皆に話をした。
「急ですが、従業員をもう1人増やすことにしました。なぜなら、私達の宿のモットーは"どんな方でも"受け入れる事です。つまりは、人族よりも強い他種族を受け入れるということです。基本的には、善人な方しか泊まらないとは思いますが、万が一、攻撃された場合、私達人族では為す術が無いでしょう。その為、私達自身のレベルアップを図る必要があるのです。その為に、先生として従業員を増やすことにしましたが、意見がある人はいますか?」
私の考えを聞いた皆は何も言わず、頷いてくれた。
取りあえず、受け入れてくれたことにホッとした。
「では、2日後に従業員専用棟に越してきますので皆さん、仲良くして下さい。私からの話は以上です。…話を聞いてくれて、ありがとう」
私のいつもの話し方に、皆、力を抜いて気軽に話し始めた。
「ふぅ、そうか、今日、出てたのはそれが理由だったんだな」
「んー、そんなつもりは無かったんだけど、偶然、良い人材を見つけてね、スカウトしたの」
「そういう事でしたか。その方は、何に秀でているのですか?先生と言うからには、何かしら素晴らしいものがあるのでしょう?」
「…一言で言えば、最強だね。剣も武術も魔法も出来て、人族では片手で数えるくらいしか倒せる人いないんじゃないかな?」
「うそ、そ、そんなにですか…」
「断言出来るね。どんな人かは当日のお楽しみって事で」
皆は賑やかに話し終えた後、食堂に向かっていく中、私はクロとシロだけを呼び止める。
「クロ、シロ。話があるの。ちょっと来てくれる?」
「「うん、分かった~」」
私は、近くの個室に場所を移して2人に説明した。
「クロとシロには話すけど、私がスカウトした人はバナじぃなの」
「「え?」」
2人は困惑していた。
勿論、私は2人とバナじぃが会わないようにしているのは分かってる。
だから、私は2人に渡す物があったのだ。
「だからね、2人の髪色と、ついでに目の色も変えちゃおうと思うの。良いかな?」
「「どうやって?」」
「これを付けてくれれば変えることが出来るよ」
バナじぃをスカウトした後、森でシロとクロのイヤーカフを作った物を取り出した。
これには、偽装を付与している。
これなら、髪も目の色も変えられるので、バナじぃが2人をしっかりと見ることが出来るのだ。
「これを耳に着ければ、髪と目の色を変えれるようになってるの。2人はどんな色が良いとかある?」
「「無いよ」」
「そう?じゃあ勝手に決めるよ?」
2人は私の言葉に素直に頷く。
私はどんな色が2人に合うのか考えていた。
そして、ふと良い色が思いうかんだ。
「ふふっ、髪色は決めたよ。じゃあ、おまけに2人の目の色も悪く言われないように変えましょ。これも、色の指定は無いの?」
これにも素直に頷くので、私はまた悩んでいた。
2人をじーっと見ながら考えていると、片目の赤色ばかりに気が取られていたが、2人のもう1つの目の色は深い緑色のエメラルドのようで綺麗だった。
「2人とも綺麗な目をしているのね…」
「「赤と緑って気持ち悪くないの?」」
「まさか!そんなこと無いよ。私は綺麗な目だから好きよ」
「「じゃあ、片目と同じ色にしてくれる?」」
「ふふっ、分かった。じゃあ、決まりね」
イヤーカフに決めたイメージを込めて、2人にそれぞれ着けてあげた。
見る見るうちに、髪と目の色が変わっていき、イメージ通りの色に変化した。
2人はお互いを見て、驚いていた。
そして、嬉しそうにはにかみながら笑った。
「「僕たちも、この色大好き。ありがとう」」
「どういたしまして」
こうして、色を変えた2人を見て大人組は驚いていたが、何故かまた悟りを開いていた。
2日後。
私は、バナじぃの家にお迎えに来ていた。
「バナじぃ、荷物確認はちゃんとした?」
「ちゃんとしたぞ?それにしても、荷物を女の子に持たせて、スマンのぉ」
「良いよ、バナじぃだからね。気にしないで」
「何と良い子なんじゃ。うぅっ…!泣けてくるわい」
「もう!泣かないでよ。ほら行くよ。話すことも沢山あるんだからね」
「ゆっくり頼むぞ、せっかくのスゥとの散歩なんじゃから」
私達はゆっくりと宿に歩き出した。
森を通るので、バナじぃが心配だったがそこはさすがバナじぃ。
私より元気に歩いていた。
私は歩きながら、鍵であるネックレスを渡して、宿の説明をした。
話を聞いたバナじぃは、目をパチクリしていた。
「…スゥ、わしは宿に向かっておるんじゃよな?」
「そうよ?」
「このネックレスのことも信じがたいが、聞く限り宿にしては、ちと豪華過ぎんか?」
「まぁまぁ、慣れれば大丈夫だから」
「…そうじゃな」
バナじぃも悟りを開いたような目をし始めるので、バナじぃに関しては仙人かなと思ってしまった。
沢山話をしている間に、宿に到着した。
皆にしたように、宿の中と従業員専用棟の中を案内すると、さすがのバナじぃでも、疲れたようだった。
「疑ってはおらなんだが、本当だったとは…世の中には知らんことがいっぱいあるのぉ」
「ふふっ、楽しかったでしょ?」
「ああ、久し振りだったわい。誘ってくれてありがとうのぉ、スゥや」
「どういたしまして。…バナじぃ、まだ話したいことあるから、そこに座って?」
私はソファにバナじぃを勧めて、あの話を切り出した。
「実はね、クロとシロはうちで働いているの」
「!!!」
バナじぃはパッと顔を上げて私を見る。
「…何故、わしを誘ったのじゃ?スゥにはわしがあの子達に目を合わせられんことを教えたはずじゃが?」
「うん、知ってる。でも、本当はバナじぃ、あの子達と前みたいになりたいんでしょ?」
「そりゃ、勿論じゃとも。しかしな、わしは…」
「だから、バナじぃがあの子達と前みたいに過ごせるように、髪色を変えてあげたの」
「何と!!?」
「おいで、クロ、シロ」
2人は不安そうに、私の横まで来てバナじぃを見る。
そんな2人をバナじぃは、目に大きな涙を浮かべていた。
「このことも秘密なんだけどね、色を変える魔法が付与された耳飾りを2人に着けたの、どう?似合うでしょ?」
「あぁ…ああっ!わしと同じ髪色は似合うのぉ!ありがとう、スゥ!本当にっ!ありがとうっ…!!」
そう言いながら、2人を抱きしめるバナじぃは2人の本当のお爺ちゃんのようだった。
念願が叶ったバナじぃは泣きながら謝っていた。
ひたすら「スマンかった」と言うバナじぃに対して2人は涙を浮かべながらも笑顔でバナじぃを慰めていた。
「お爺ちゃんは悪くないよ」と言うとまたおいおいとバナじぃは泣き始めてしまっていた。
私は2人の髪色をミルクティ色にしたのだ。
前にバナじぃと話したときバナじぃが2人を『孫』と言っていたのを思い出したので、同じ色にさせてもらったのだ。
暫くして泣き止んだバナじぃは、本当に嬉しそうだった。
何度も感謝された。
「またこの子達を抱きしめることが出来る日が来るとは思わなんだわい。わしを誘ってくれて、本当にありがとうのぉ。誠心誠意、働かせてもらうわい」
バナじぃへのサプライズプレゼントは、大成功を収め、仲間としてこれから一緒に働くことになったのだった。
最近、ストーリー展開がありきたりな王道ばっかりでどうなのかなと思い始めてきました。
でも、これが私の理想だったので許してくださいね、すいません笑
これからも妄想フィーバー全開で突っ走っていきます!
応援、よろしくお願いします!




