仲間
完全に名前を間違えたので訂正してます。
ジュードではなくトニーでした。
混乱させて、すいません。
あと、誤字脱字報告ありがとうございます!
今後も、皆様のご協力の下、投稿していきたいと思います!
「マークさん」
「は、はい!」
「貴方は率先して皆をまとめ、指示を出してくれました。そして、皆からの信頼も厚い。よって、そんな貴方を主任に任命します。これから、よろしくお願いしますね」
マークさんの誰でも優しく接するその心は、この宿においてとても大切なことだ。
私が、行動を見ていて決めたことだった。
「わ、私なんかが、よ、宜しいのでしょうか?」
「嫌なら辞退しても大丈夫よ?無理強いをするつもりは無いから。でも、私はマークさんにやって欲しいと思ってる。どうしたいかは、マークさんが決めて?」
私はこれから仲間になる人に強制はしたくない。
仲間とは家族だとすら思ってる。
そんな大切な存在を傷つけることはしたくないのだ。
「…いいえ、やらせて下さい。私を採用したことを自慢できるくらいまで働きます!よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いしますね」
大人組のやる気は十分に理解した。
最後に、双子の方を向いた。
「おいで、可愛い双子さん」
少し距離を取っていた2人は、私を見て目を丸くした。
そして、小さな足取りで私の手の届く距離にやって来た。
「2人のことはバーナードのお爺ちゃんに聞いてたよ」
「「え?」」
「とっても良い子がいるんだって自慢げに話してくるのよ。だからね、2人に会いたかったんだぁ」
もじもじとしている2人を見て、もう我慢できなくなった私は、2人の小さな体をぎゅっと抱きしめた。
誰にもされたことはなかったのか、腕の中でモゴモゴとしていた。
「バナじぃの話は本当だった。こんなに可愛くて良い子だったなんて。これからは、ずっと一緒よ。ヨロシクね、クロ、シロ」
抱きしめながら左手はクロの頭を、右手はシロの頭を撫でた。
すると、2人は次第に大きく声を上げながら泣きじゃくり始める。
まだ成長しきっていない小さな手はしっかりと私の服を掴んでいた。
ずっと寂しかったのだろう。
2人以外の誰かの存在を探していたのかもしれない。
誰にも守られず辛かっただろうに。
でも、これからは私や仲間達がいる。
この生きづらい世界から、私が生きやすい笑って過ごせる場所を作って守ってあげる。
「よくここまで頑張ったね。ここに来てくれてありがとう」
私は2人をしっかり抱きしめて、泣き止むのを待った。
泣き止んだ2人は、服を濡らしてしまったことを謝りながらも私に笑顔を向けてくれた。
レイの時よりもずっと無邪気な笑顔を。
そして、2人と手をつないでまずは食堂に向かった。
「皆、お腹空いたでしょ?料理作ったからぜひ食べてみて!これでも料理は好評だから!」
「「「え、オーナーが作ったの?」」」
「もちろん、他に誰がいるの?」
事前に作っておいたオムライスだ。
ソースは2種類でホワイトソースとデミグラスソースをかけておいた。
まだ温かいから美味しいはず。
「あ、クロとシロには子供向けの特製メニューよ」
2人の席に用意したのは、お子様ランチだ。
ミニオムライス、ミニハンバーグ、サラダにスープと一般的な物を作った。
2人を見ると目をキラキラとさせて、既に座って大人達をまだかまだかと待ちわびていた。
「手を洗ったら、皆で食べるよ」
クロシロは風のごとく走ってキッチンへ手を洗いに行った。
「マークさん、トニーさん、ノースさん。冷めないうちに食べないと、美味しくないですよ?」
硬直している彼らには悪いが、早く双子の食べてるところが見たいのだ。
急かすように3人を動かして、やっと食事を始めた。
6人テーブルに反対側に大人組が、私の方には左右に双子に挟まれる形で座っている。
ちなみに、私もお子様ランチにしたのは、決して食べたことがなくて憧れていたとか、そんなことは無いのだ。
それはともかく、誰1人として食べないのは流石に気になる。
「何か嫌いな物でも入ってた?」
「いや、そーゆーことじゃなくだな…」
「…私達は女性が作った食べ物を食べるのが初めてで勿体なくて食べられないのですよ」
「…私の元妻でも作ったことはありませんよ」
「まぁまぁ、これからは何度も食べられるものなのでしっかり食べてください」
(((何と贅沢な)))
可笑しな事を言う3人をよそに、双子はスプーンすら持とうとしない。
もしかして…。
1つの仮説を立てた私は、スプーンを持って、オムライスをすくって食べて見せた。
「うん、我ながら良く出来たかな?2人も良かったら食べてみて?」
私の真似をするようにスプーンでオムライスをすくってパクリと食べた。
すると、どうだろうか。
ほわぁ~っと周りに花でも出ているかのような、幸せそうな顔をするではないか。
それがまた何とも言えないくらいに可愛い。
2人はパッと私の方に勢いよく顔を向ける。
「「スゥ、スゴく美味しいよ!ありがとう!!」」
何て良い子なんでしょうか。
可愛すぎるでしょ、もううちの子認定しても良いかな?
「良かった、口に合うようで。お替わりならあるから、ゆっくりどんどん食べてね」
私はそう言いながら、2人の頭を撫でる。
2人は気持ち良さそうに目を閉じて、幸せそうだ。
私は食べる2人を見ながら考えていた。
(やっぱり、スプーンとかフォークの使い方が分からなかったんだ。本当に、基本的なことを誰も教えてくれなかったのね)
きっと他のことも全部そうなのだろう。
私がこの子達にしてあげられる事って何だろう。
もしかして、この子達のように教育が行き届いていない子供達が他にもいるんじゃないだろうか。
物思いにふけっていると、両方の腕をツンツンとされた。
「「大丈夫?」」
不安そうに私を見る。
そうだ、今はこの子達の事を考えなきゃ。
他のことはまた後にしよう。
「…うん、心配してくれてありがとう。大丈夫よ」
2人ばかりに気を取られていたが、大人達はこの料理をどう思ったのだろう。
そう思って見ると、さすが男性。
ガツガツと食べて、あっという間に食べ終わってしまっていた。
そして、私のお子様ランチを見て羨ましそうにしていた。
「ふふっ、これ子供用ですけど味見してみますか?」
「「「!!はい!!お願いします!!」」」
大の大人がお子様ランチって。
私は席を立って、3人分のお子様ランチを新たに作ってあげた。
双子よりも子供だと感じてしまったのは秘密である。
大人達の相手をした後、席に戻ってみると、双子が頬をぷっくりとして怒っていた。
ごめん、可愛すぎる。
「シロ、それ頂戴」
「嫌、じゃあ、クロもそれ頂戴」
「嫌」
「どうしたの?クロ、シロ?」
話しを聞くとクロもシロもハンバーグが欲しかったらしく、お互いのを取り合っていたのだ。
「そうなのね、なら、私のをあげる」
そう言って私のハンバーグを半分にして、2人にあげた。
「「良いの?」」
「うん、実は私、皆が来るまで少し食べちゃってもうお腹いっぱいなんだよね」
味見って恐ろしい。
そんな私を見てパァっと笑顔になって
「「ありがとう!」」
もう、天使ではなかろうか。
まぁ、本物の天使はもっと残念なのだが。
~天界にて~
「ハックション!んー?また風邪かなぁ?頑張るぞ~!おーー!」
はい、今回も呑気な天使くんでした。
皆が食べ終わったのでそろそろ次にいこう。
「食べ終わったら、案内するからね」
こうして5人を、大浴場、キッチン、ラウンジ、フロント、お客様用の部屋と場所とそれぞれの使い方を説明した。
これもいつも通り、驚いてもらった所で、最後に従業員用の建物に向かったのだった。
双子大好きです。
可愛いはやっぱり正義だなと改めて感じてました。




