返事
今回も読んでくださりありがとうございます!
楽しんでもらえるように精一杯頑張ったつもりです!
『スゥが好きだ』
熱い視線を受け止め私は、どうすれば良いのか返答に迷っていた。
イケメンと結婚することは私の前世の夢ではあった。
生きる希望をくれたイケメンといたい。
温かい家庭を築いて幸せになりたい。
ちぃと語り合った事を実現させたい。
でも、両親のようにはなりたくは無かった。
きっと2人も互いを好きでいた頃はあったのだろう。
でなければ、私は産まれていなかったはずなのだから。
だけど、2人は別れてしまった。
実際には、母の言った通り私のせいではあったのだが。
だからだろうか?
私は恋愛感情というものが理解できていない。
ちぃから借りた恋愛物の漫画や小説、DVD、ドラマ、映画の何を見てもそれは同じだった。
こうしてゼノール様が私なんかを好きだと言ってくれるのは本当に嬉しいけど、自分の気持ちが分からない以上、下手にイケメンだからという理由だけで受け入れても失礼だろう。
「…お気持ちは大変嬉しいですが私達は会って間もなく、私はゼノール様のことをよく知りませんし、ゼノール様も私のことをよくは知らないですよね?」
「…あぁ、だが俺はどんなスゥでもずっと愛し続ける自信がある」
「っ!!」
イケメンが真剣な顔で私に伝えてくる。
顔から熱を発しているかのように熱くなる。
私は咄嗟に顔を逸らす。
「えっと…ありがとうございます…。でも、私は…。」
「もう既に恋人達や気に入った奴らがいるのか?」
「えっ!?」
この世界の概念では当たり前のことだが、どうしても「恋人達」や「気に入った奴ら」の複数形に違和感があり、まるで私が浮気者のように聞こえてついフリーズしてしまった。
そんな私を見て、ゼノール様は苦しそうに目線を下げ、自虐的な笑みを浮かべる。
「当たり前か…スゥなら美しい者達からも引く手数多だろう。俺のような男が側にいて守らなくてもお前は、お前が好きな奴がいてくれるし、守ってくれるか…。」
どうやら私のせいで変な勘違いをさせてしまったらしい。
焦った私は誤解を解こうと話しかける。
「ゼノール様、「良いんだ、気にするな」」
「でも「大丈夫だ」」
いくら話かけても、頑なに聞こうとせず、遂には、体ごと反対を向いて立ち上がってしまう。
「これは俺の最初で最後のわがままだ…スゥが俺を受け入れられないとしても、お前を愛し続けさせてくれ、頼む」
この人はどうしてここまでできるの?
勘違いだが、私が断っても私を好きでいてくれるというの?
ただただ真っ直ぐなその愛情が堪らなく嬉しかった。
「頼む」と悲痛な表情を浮かべ立ち尽くすその背中は大きくも小さかった。
今にも逃げてしまいそうな背中を捕まえようと私はベッドから出て後ろから抱きしめた。
「なっ!!?」
「聞いて下さい!聞いてくれないのなら、ずっとこのままですからね!?」
「は!?」
離れようとする背中に必死になってしがみついた。
離れまいとどんどんと回した腕に力を入れ密着する。
「っ!!分かった!分かったから!!取りあえず離れろ!」
何故か酷く慌てながらも、聞いてくれるという言質は取れたので、体をそっと離した。
「…この服を掴んでいる手は何だ?」
「逃げないようにするためです」
「…はぁぁぁ」
スゴく深い溜息をされたが、今の私には知ったことではない。
「ゼノール様は誤解をしています」
「何をだ?」
「…私には、いません」
「ん?何がだ?」
「恋人や気になっている人です」
「「え」」
ん?何やら2人分の声が聞こえたが気のせいだろうか。
しかし、獣人であるゼノール様も聞こえたらしく扉を睨み付ける。
「途中から分かってはいたが、盗み聞きは止めろ」
ゼノール様がそう言うとゆっくりと扉が開く。
ルノマリア様だった。
「ちょうどスゥの検査をしに来たら聞こえただけだ。人聞きの悪いこと言うな、ゼノール」
ルノマリア様が居たことと、2人が普通に話しているこに驚いた。
今日一日、2人で一緒に居て心境の変化でもあったのかもしれない。
そんなことを思っていると、ルノマリア様が私のすぐ近くまで近寄ってきた。
美形すぎて思わず後ずさってしまうが、また距離を詰められる。
「スゥ、今の話本当?」
「え?」
「誰も恋人達とか気になっている人達とかいないのかい?」
「はい、そうですが?」
再び、2人とも驚愕といった表情をする。
何か変なことでも言ってしまったのだろうか?
大先生で調べても、この世界の女性は気に入った男性がいない限り、この年になっても恋人や好きな人が居ない人は極稀にだがいるとなっている。
珍しいかもしれないが可笑しくは無いはずだ、うん。
「…そう、なら良かった。なら、私にもチャンスはあるのかな」
「え?」
「おい!」
距離が近かった私達を引き離したゼノール様は、私をゼノール様の後ろへと移動させた。
途端に、ルノマリア様が機嫌が悪くなったのが分かった。
「お前はもう話が終わっただろう。なら、次は私の番だ」
「俺はまだスゥの話を聞き終えてない」
「それはお前のせいだろう。私には関係ない」
ルノマリア様は睨み付けるようにゼノール様を見た後、いつもの優しい表情で一瞬私を見る。
そして、ポケットから一粒の種を取り出して目線を手元に移し、魔力を丁寧に優しく込めていく。
やがて種は、成長して可愛らしい綺麗な一輪の小さな赤い花になった。
その花の茎を丸め小さな指輪を作ると、ゼノール様を避けて、ルノマリア様は絵本で見たことのある王子様のように膝着いて、私をゼノール様と同じまたあの熱を帯びた目で見る。
「私もスゥを愛しているよ。ゼノールにだって君を想う気持ちは負けない。人を信じれなくなった私を救ってくれた。私の世界に色を与えてくれた。私に心から笑いかけてくれたのはスゥしかいないんだ。そんな君の笑顔をこれからずっと私が与える許可をくれないかい?」
そう言って私の左手を取り、さっき作った花の指輪を私の薬指にはめ指先にキスを落とした。
(本物のお姫様への王子様のプロポーズみたい…)
2人のイケメンからの突然の告白に顔から火を噴きそうなほど熱くなる。
頭が爆発しそうだった。
「ルノマリア、俺はお前よりもスゥを想う気持ちは負けない」
「いいや、私の方がスゥを愛している」
さらには、私を想う気持ちの強さで争ってしまった。
あまりに恥ずかしすぎて、どうにかなってしまいそうだった。
こんなにも私を好きでいてくれるなんて、前世では考えられなかった。
今でも何処か夢を見ているのでは無いかと疑ってしまう。
2人の気持ちは本当に…泣きそうなくらい嬉しかった。
でも、だからこそ、曖昧な気持ちじゃ失礼だと思った。
その為の覚悟はもう決めていた。
「ゼノール様、ルノマリア様」
私が名前を呼ぶと2人は言い争いを止め私を見つめた。
既に2人には覚悟が出来ているらしい。
「…まだ、2人に会って日が短くよく知らないですし、私は恋愛感情というものがまだよく分かりません。だから、2人の想いには応える事が出来ないんです。…本当にごめんなさい」
こんなにも私を想ってくれているのに、返してあげることが出来ない。
彼らの方がツラいはずなのに、頭を下げていると自然と大粒の涙が零れ始める。
必死になって涙を止めようと目を擦っても溢れ出る。
それも悔しくて目を擦っていると手を掴まれてしまう。
「こんなに目を擦っていると赤くなってしまうよ?それと、恋愛感情が分からないと言うなら、理解できるまで私達は待つよ」
下を向いている私の顔を覗き込むようにして体を屈め、ルノマリア様は困ったように私の目を袖で涙を拭ってくれた。
すると、次に頭に大きな手がポンポンと慰めるように撫でられた。
「そうだぞ。だから、そんなに悪く思うな。それに、日が浅くてよく知らないならこれから知っていけば良い。可能性があるなら、俺達はお前が好きになってもらえるように頑張れば良いだけだ」
見上げるとゼノール様が「だろ?」と苦笑しながら笑いかけてくれる。
その2人の様子にさらに涙が溢れ出て止まらなかった。
どこまでも優しい2人に罪悪感を抱きながらも、これ以上無いくらいに幸福感にも包まれていた。
読者様方に少しは悶えてもらえるように色々私の理想を詰め込ませてもらいました笑
今回も感想等お待ちしております!




