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告白

連続投稿頑張り中です!

 

 コンコン


 かなり楽にはなったが倦怠感のせいか睡眠が浅かった私は、ノック音が聞こえたので目が覚めた。

 覚醒はしてないから、まだぼーっとしてしまう。


「…どーぞ?」


 入ってきたのは耳と尻尾を垂らしたゼノール様だった。

 完全に寝起きの私はじーっと耳を見てしまう。


「スゥ?大丈夫か?夕食を持ってきたが食べられそうか?」


 食事を机に置いて、不安そうにベッドの近くまでオロオロと来てくれるゼノール様は、何だか可愛らしい。

 思わず手がゼノール様の頭にポンと乗っけてなでなでしてしまう。


「だいじょーぶ、だいじょーぶ」


 頭から生えた耳はフワフワでいつまでも撫でてしまう心地よさである。

 だからつい私はゼノール様の頭を私の胸の中に寄せて閉じ込めてギューッとしてしまった。


「んー、いっしょにねましょ?」


 新たな温もりにまたウトウトし始めていると、腕の中のゼノール様が真っ赤な顔で暴れて逃げてしまった。

 流石、獣人。

 素晴らしい身体能力とスピードで離れていった。

 そして、かなり距離を取られ部屋の隅に蹲ってしまった。


「何なんだ、あれ。可愛すぎるだろ」


 何か言っているようだが部屋の隅で壁に向かって言っているので、モゴモゴとしか聞こえなかった。

 だが、尻尾は丸見えで千切れるのではと思うほどブンブンと振っていたのが見えた。

 その間、私は徐々に意識が覚醒してきて、状況がわかり始め青ざめる。


「…ゼノール様」

「…何だ」

「…」

「…」

「本っ当に!すいませんでした!」


 この世界に来て、いや、前世を含めてもこれ以上無いくらいの渾身の土下座をベッド上でした。


「いや、あの、寝ぼけてしまったんです。ゼノール様を殺そうとか思ってないですからね!?あれはちょっと、抱き枕が欲しいとちょっぴり思っちゃっただけで、本当に!他意は無かったんです~!」


 顔が赤くなるほど、首を絞めてしまうなんてっ!

 若干、半泣きになりながら謝り倒す私を見て深いため息をつくゼノール様。


「…はぁ、いや、もう大丈夫だ。俺も悪かった。気にせず、食事を食べよう」


 ぐったりと疲れたようにイスに座るゼノール様を見て、申し訳なかったが、取りあえず勧められるがまま持ってきてもらったスープを貰った。


「ゼノール様、今日、出立でしたよね?もしかして、私のせいで…?」

「いや、違う。俺が勝手に心配しただけだ。気にするな」


 やはり、私のせいで1日延長したらしい。


「すいません、代わりに本日分の代金はなしにさせてください」

「それは遠慮しておく、俺が勝手に延長したのだから払う」

「でも!」

「良いんだ。気にするな」


 絶対に引き下がろうとはしないゼノール様。

 どうしてここまでしてくれるのか。

 分からないがこれだけは言わないととゼノール様に向き合った。


「ゼノール様、ありがとうございます」


 ただの宿屋のオーナーの私にここまで気にかけてくれて、嬉しくないわけが無い。

 きっとたくさん心配をかけたのだろう。

 この優しいゼノール様はたぶん、私のために今日一日を費やしてくれたのではないだろうか。

 それを考えるだけで胸がいっぱいで精一杯の笑顔で感謝を伝えた。


「…それでいい」


 優しい目で美しく微笑むゼノール様は、芸術作品のようにも感じられた。


 こうして雑談をしながら食事をしていく。


「今日は何をしてらしたんですか?」

「食材取って、掃除して、料理だな」

「え、まさか私の仕事を代わりにやってくれたんですか?」

「ああ、ここに泊まっている連中全員でな」

「え!?」


 この宿はかなり広い。

 それに今は大所帯で仕事も多くなるはず。

 それをやってくれたのは有難いが絶対に…。


「やってみてよく分かったが、この広さを1人では無理があるんじゃないのか?」


 ですよね。

 まぁ、そう思うのが普通だよね。

 でも、1人の方が何かと都合が良いんだよね…。


「ま、まぁ、少し大変ですけどやりがい有りますし…」

「それで倒れたら元も子もないんじゃないか?」

「うっ…」

「それに俺はそんな無理してほしくない。今回みたいに倒れられたら心臓に悪い」


 …何このすっごい罪悪感。

 イケメンが、悲しい顔で、耳と尻尾を垂らして目を伏せつつもちらりと私を見て心配してる。

 可愛すぎるよ、天然ゼノール様。


「ううっ、善処します」

「ああ、ぜひそうしてくれ」


 これは、本格的に誰か人を雇わないとだなぁ。

 そんなことを考えているとゼノール様が私に今日あった細かい出来事を教えてくれた。

 驚くことに今日一日ずっとルノマリア様と一緒に行動していたのだと言う。

 食事調達のためにクエストを受けたこと。

 1人で行ってしまって怒られたこと。

 ルノマリア様が代わりに支えてくれたこと。

 洗濯物も掃除する範囲も多くて大変だったこと。

 タンザさんに怒鳴られたこと。

 料理が上手く作れたこと。

 どれも嬉しそうに楽しそうに話していた。


「ふふっ、今日だけでそんなことがあったんですね。楽しそうです。でも、ゼノール様も新しい居場所が出来て良かったですね」

「居場所…?」


 コテンと首を横に傾げて私を見る。


「はい。ゼノール様楽しそうですもん。せっかくタンザさんやルノマリア様と仲良くなられたんだから"大地の剣"に入団してみてはどうですか?」

「…それは既に誘われている」


 きっと昨夜タンザさんと話していたときだろう。


「そうなんですね!じゃあ、入団するんですか!?」

「いや、分からない」


 目を伏せてしまっていた。

 でも、とても迷っているようだった。


「…どうして悩んでいるんですか?」

「…」


 何と悩んでいるかは分からない。

 それでも、この機会を逃したらダメだとも思った。

 なら、私が背中を押そう。

 そう考えた私は自分の考えをそのままゼノール様に伝えた。


「ゼノール様、人の出会いというものは有限です。その有限の中であんなに素晴らしい方々との出会いは滅多にありません。なら、あの方々と共に行った方が良いのではないですか?少なくとも、私はそう思いますよ?」


 私は前世では随分と不幸な巡り合わせしかなかった。

 でも、そんな私でも、ちぃという大好きな親友に会えた。

 ちぃと過ごした日々は何にも代え難い宝物だ。

 だから私は、ゼノール様にも人との出会いを大切にして欲しかった。

 そんな願いを込めて伝えたのだが、さらに苦しそうに顔をしかめてしまうゼノール様。

 どうしたのかと声をかけようとした時。


「俺は…」

「え?」

「俺はここから離れたくない」

「確かにここは居心地良くなってもらえるようにしてはいますが、ここにはいつでも来れますよ?」

「違う」

「違う?」


 下を向いていたゼノール様は私の目を真っ直ぐに見て、熱を帯びたグレーの瞳に私を映す。
















「俺はスゥのことが好きだ。だがら、スゥの側を離れたくない。ずっと一緒にいたい」
















 ドキン


 え、私のことが好き?

 嘘。だってまだ、私はゼノール様と会って日が浅い。

 それに、本来の見た目を変えて平凡にしたのに何で?

 前世も含め初めての告白に動揺が隠せない。

 顔が、全身が、熱くなる。

 かなり速いテンポで脈打っていて相手にも聞こえそうだ。

 そんな私を見ながら気持ちを伝えてくる。


「俺はこんな見た目だから誰からも受け入れてもらえない。俺がどんなに頑張っても誰も認めてくれない。でも、スゥは違う。俺という存在を見てくれた。受け入れてくれた。居場所をくれた。それだけで俺は本当に嬉しかったんだ。そんなスゥだからこそ俺は側にいたいんだ。守りたいと思ったんだ。醜い俺にこんなこと言われても迷惑かもしれない。でも、もし、迷惑じゃなかったら、俺がこれから先ずっとスゥの側にいることを許してくれないか?」


 私が必要なのだと、強い意志を持つその目は訴えていた。

 なら、私はこの思いに今の私の答えを伝えなければならない。


遂にゼノールがスゥに告白しちゃいました!♡

ゼノールオンパレードでしたね笑

次回もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うぅ...と、尊い この小説が生きる糧です。゜(゜´ω`゜)゜。
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