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発見★~ルノマリア視点~★

大分、遅くなってしまってすいません!

これからペースが落ちると思いますが、長い目で見て下さると有難いです!

そして!ブックマーク登録が100人を超えていました!!

ありがとう御座います。:゜(;´∩`;)゜:。

これからも楽しんでいってください!

 信じてほしいと言う彼女に対して私は戸惑う。

 そんなこと誰にも言われたことはなかった。

 どうすれば良いのか悩んだが、彼女の瞳は大丈夫だと言っているような気がした。

 気のせいかもしれない。

 それだけのことだったが、少し救われた気持ちになる。

 彼女なら、何故かそんな気持ちになって、私は石を探していることを話した。

 辿々しい言葉で伝えると、彼女は少し考えた後、私にお風呂に入って体を温めないとダメだと言う。

 それが守れないのならここで止めさせるとも。

 全ては私が体調を崩さないようにするために。


 何故私にそこまでする?

 もし、放っておいて私が風邪を引いたとしても、誰も彼女を咎めたりはしない。

 それが当たり前だ。

 私は理解出来なかった。


 それでも、ここで止めさせられるのは嫌だったので、渋々、お風呂に行った。

 思いの外、体も気持ちも疲れ果てていたようで、どこの宿よりも綺麗で快適な浴槽に浸かると癒された。

 ゆったりとした気分になりながら彼女のことを考える。


 彼女は私のような醜く他種族である私に、優しく接してくれる聖女のような人だ。

 私が望んでいた、私自身を見てくれる人。

 だけど、彼女だって人間だ。

 もし、あの優しさが本物だったとしても、少年のように自分のためなら見捨てるだろう。

 特に人間はその傾向が強いと聞く。

 そうだ。きっと彼女だって。


 自分の気持ちを落ち着かせ、彼女が言うようにしっかり髪を拭いてから先程のベランダに向かっていると、ラウンジで彼女と鉢合わせた。

 彼女は疲れた様子ではあったが、私を見つけた瞬間に満面の笑みで私の元へ駆けてくる。

 が、彼女は何も無い所でコケて、顔から地面に落ちようとしていた。

 私は慌てて彼女を支えた。

 軽く、細く、柔らかい感触に動揺したが、そんなこと気にもとめない彼女は石を見つけたのだと嬉しそうに私に言った。

 そして、見つけてくれた石を私の手に握らせる。


 私がお風呂に入っている間、彼女は探してくれたのだ。

 彼女だって、今日は様々なことがあって疲れているだろうに。

 こんなにも具合が悪そうにしているに。

 自分のことよりも私のために探してくれたのだ。


 そう思うと嬉しくて。

 衝動的に彼女を抱きしめていた。

 腕の中にある温かさに胸が躍る。

 今まで石の思い出を頼りに生きていた。

 でも、もう、思い出に、石に縋らなくても、良いのかもしれない。

 ちゃんと今、腕の中で頬を少し赤らめて、慌てているこの可愛い人がいてくれる。

 裏切らない人が居てくれる。

 久しぶりに声を出して感謝を伝えながら涙を流す。


「……本当にありがとう…スゥ」


 初めて彼女の名前を呼びながら。

 スゥは花が咲いたようにまた笑う。


「ふふっ…どういたしまして」


 それから私が落ち着くまで、スゥはされるがままに私に身を委ねていた。


 落ち着いた頃、スゥは私から体を離した。

 少し寂しい気持ちになったが、スゥと心が近づいた気がして、今はそれだけで満足だった。

「おやすみなさい」と言ってくれるスゥに会釈をして早々と部屋に戻る。

 彼女が疲れた様子だったので、寝る前に少しでも楽になればと香りの良い花を渡すためだ。

 植物魔法でスゥに似合う花を咲かせて、小さなブーケを作る。

 ついでに、安眠作用のある薬やら、体力回復の薬やら、筋肉痛の薬やら、持っている全ての薬を持ち再びスゥに会うため移動した。


 単純に何を持って行けば良いのか分からなかったというのもあるが…。

 歩き出してはっと気づいた。

 私はスゥの部屋が何処なのか知らなかったことに。

 いや、当然だ。

 スゥは、女性なのだから自分の寝室を客に教えていたら男性に襲われてしまうのは目に見えている。


 第一、私のように夜遅くにスゥに訪ねてくる輩がいると、睡眠の妨げになるのではないか。

 それに、夜に男性が女性の部屋に行くこと自体マナー違反だろう。


 そう考えた私は高揚していた気分が、どんどん下がっていった。

 何を考えているんだ、私は。

 こんな常識的なことを忘れていたとは、舞い上がりすぎにも程がある。

 取り敢えず、落ち着くため夜風に当たりにベランダに行くと、私達が使わない廊下の隅でスゥは倒れていた。


「スゥ!!大丈夫かい!!?しっかりするんだ!!」


 倒れているスゥを抱いて体調を確認する。

 返事もなく顔色も悪い。

 気温も低いため、手先が冷たい。

 直ぐさま称号スキルの検査を発動させた。

 それによると、どうやら魔力が底をつきかけたことによって意識を失う魔力欠乏症だった。

 なら、魔力を回復させれば意識を取り戻せるはず。

 迷うことなく、私は持っていた薬の中から魔力回復薬を口に含み、スゥの口に移した。

 加えて、私の魔力も口から全身に伝えていく。


(どうか!スゥだけは!!私から奪わないでくれ!!私にまた、笑いかけておくれ!!私はもう、スゥ無しでは生きてはいけないのに!!)


 さっと口を離して、もう一度検査を発動させた。

 スゥの顔色は少し良くはなったが、魔力がまだ足りていない。


(何故だ!?最低でも1/10を回復させれば良いはず。この方法なら魔力100は渡せたはずなんだ!それとも、伝導率が悪かったのか!??)


 ルノマリアは間違ってはいない。

 ただ知らなかったのだ。

 確かに、最低でも1/10を回復すれば安全圏内だ。

 だが、スゥの偽のステータスの魔力200の基準では、本来の魔力12,000の1/10である1,200には届いてはいなかった。

 その為、スゥは魔力欠乏症から抜け出せなかったのだ。


 こうして、また薬を口移ししながら、魔力も口から渡していく。

 口からの伝導率を上げるためにより深く口づけながら。

 時に、舌を絡ませながら。

 これを何度も繰り返し検査を発動させる。


 すると、ようやくスゥの魔力が足りて、体調も安定したようだ。

 見ると腕の中でスヤスヤと息を立てて、可愛らしく眠っていた。

 その様子に酷く安堵した。

 それと同時にまた涙が溢れ出た。

 良かったと。

 救うことが出来たのだと。

 色んなものを噛み締める。

 ただ、副団長に言われて回復担当になり、何となく人を助けていた。

 意味も無く称号を与えられ、言われるがまま使ってきたスキル。

 勉強を覚えていたから薬も作ってみた。

 それが今日、初めて自分の意思で助けたい人を救うことが出来た。

 今までやってきたこと全てが役に立ったのだ。

 薬学や治癒の魔法、症状や対処法、などの勉強でさえも。


(本当に頑張ってきて良かった…!!失わずに済んで良かった!)


 スゥを抱きしめながら強くそう思った。

 安心した瞬間、スゥとキスを交わしてしまったことを思い出し全身が熱くなる。


 しかも、倒れて意識が無いほどだったとは言えあんなにも()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だ。


 チラリとスゥの唇を見る。

 プルプルとふっくらとした小さく可愛らしい唇。


(私はスゥを助けたのだし…少しくらい〔ご褒美〕貰っても良いよね?)


 許可も無く口づけることは、あってはならないことだ。

 それに、スゥは見た目は地味で、普通の人なら他の人が良いと言うだろう。

 それでも、私は目の前の誘惑に勝てなかった。

 そして、気づいてしまったのだ。

 自分の気持ちに。


(スゥ、ごめん、許してね。…愛しているよ、誰よりも)




 私はスゥが好きだ。




 そんな気持ちを胸に、夜暗く月明かりが闇を作る場所で誰にも、本人にさえも、気づかれないように優しくキスを落とした。


ルノマリア視点ここで一旦終了です。

やっと、機能の使い方を理解したので、全話直しました。

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