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見えてくるもの

ブックマーク登録をして下さった方が増えてきていて本当、1人感動しております。

゜(゜´Д`゜)゜。

引き続き読んでもらえるように、頑張っていきます!

 この世界において、相手を勝手に鑑定することは当たり前のことであり日常茶飯事だ。

 私は前世の感覚から、人の個人情報を勝手に見てはいけないと思いやってこなかったのだが今回、勝手に鑑定をしてしまった2人に関して私は混乱していた。

 まず、知らないスキルの事についてだ。

 ゼノール様のは


 神速:体力と引き換えに瞬発力が上昇する

 身体強化:身体能力を最大限引き出せる

 自然回復:ケガの治り.状態回復速度が速くなる


 の3つ。

 いかにも、獣人らしい身体能力を生かした戦い方をするのだと分かるが、私が驚いたのはそこではない。

 ゼノール様が…犬族ではなかった件についてだ。

 あれ程、分かりやすく尻尾を振って、時々子犬のような目をして見てきて、あの見た目に反して甘えたがりの、あの!ゼノール様が!実は狼族だった!!


(ギャップやば!!可愛いからのカッコいいは、凶器だから!即現行犯逮捕だから!もし、捕まえるときは私が捕まえるから~っ!!)


 と意味不明な思考回路が形成されつつあったが、私はまだまだ気になることがあったので此処で爆発するわけにはいかないのだ。

 気を取り直して、次にルノマリア様だ。


 浄化魔法:汚れや呪いを祓う

 遠視:遠くの物を見る

 植物魔法:土や木から植物・花を誕生させる


 穏やかなルノマリア様らしい支援系スキルばかりだ。

 大先生によると、妖精族の3人に1人に使えるとされる植物魔法は妖精族の固有スキルで他種族は使えないらしい。

 その為、各種族間でその力を取り込もうと元々数少ない妖精族は捕まえられて、奴隷商に売られてしまい、妖精族は数を減らしていっているとのこと。

 この世界の事情を知った私は、ルノマリア様が何故この"大地の剣"を選んだ理由の一端を垣間見た気がした…。

 そして、最後に2人の称号についてだ。


 忍耐:様々な攻撃から耐えきった者の証

 この称号を持つ者は、精神攻撃耐性が宿る

 そして、防御力が上昇する


 漢方医:薬の調合成功回数が1,000回続いた者の証

 この称号を持つ者は、状態異常耐性が宿る

 そして、薬の効果が上昇する


 治療医:人のケガや症状を10,000回以上治した者の証

 この称号を持つ者は、検査の力が宿る

 そして、回復魔法の範囲と効果が上昇する


 大先生曰く、この3つの称号は称号持ちが少ない中では、比較的現れやすい称号らしい。

 忍耐は、ゼノール様のように身体能力を生かした戦い方をする人の中でも、かなりの数の戦いを経験した人に

 漢方医.治療医は、ルノマリア様のように医療について極めた人に現れるとされている称号のようだ。


 2人のステータスの詳細について情報を頭の中でまとめていると、辺りには誰1人居ないことにやっと気づいた。


(え、嘘。1人だけ??)


 時計を見れば針は夜11時を指していた。

 ラウンジや廊下にも誰も居らず、皆、部屋に戻ってそれぞれの時間を過ごしている。

 そんな時間に、私は食堂の隅にポツンと佇んでいるのだ。

 想像してみると、まるで幽霊のように感じ、恥ずかしく思いながら隠蔽を解除して、急いで自分の部屋である離れに向かう。


 小走りで廊下を駆けていくと、ベランダで何かを探しているルノマリア様を見つけた。

 真っ白な肌はさらに青白くなっており顔面蒼白、綺麗な髪が乱れているのも気にならないくらい、酷く焦った様子で探している姿は、必死になって何かに縋り付いているようにも感じる。

 余りにも深刻な表情に声をかけた。


「ルノマリア様…?何かお探しですか?」


 ルノマリア様は、私が居たことに今気づいたようだったが、相変わらず何も言葉を発しない。


「私もお手伝いしましょうか?」


 そんな言葉にルノマリア様の手が止まるが、それでもまた手を動かし始める。

 その後も色んな言葉をかけるが、頑なに1人黙々と何かを探し続けるので、私もどんどん意地になり、私は何も言わずに勝手にルノマリア様の横に居座った。

 何もせずただじーっとルノマリア様の顔を見ていた。

 すると、流石に居心地が悪くなったのか私に「何してるの」と言わんばかりの怪訝な顔をされる。


「だって、何を探してるのか教えてくれたら私も手伝うことが出来るのに教えてくれないんですもん。だから、教えてくれるまで此処に一緒にいます。それに、1人より2人でやった方が良いですよ?」


 そう言いながら、ルノマリア様の瞳を見つめる。

 その瞳は、透明度が高く美しい瞳ではなく、濁ってしまい少し虚ろになった瞳をしていた。

 その姿は本当に消えてしまいそうなくらい、儚く、脆い印象さえ受ける。

 誰かが手を掴んでいないと壊れて消えてしまいそうな。

 ギリギリの所で踏み留まっているような。

 誰かの助けを必要としているのに、その助けを信じ切れず拒絶しているような。

 私は既視感を覚えた。

 それは、家や施設での環境から誰も信用できず1人で全てをしようとしていた私の姿だった。

 その時の私は、全部を1人でやったが為に心も体を壊してしまっていた。

 だからそこ、私は今のルノマリア様を1人にすることは出来ない。


「どうか私を信じてくれませんか?」


 微笑みながら「大丈夫よ」と「安心して」と思いを込めて。


次回、ルノマリアについて少しずつ知ることが出来るお話になっております!

お楽しみください!

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