表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/60

驚き

ブックマーク登録を50人もの人がやってくださっていることがとても嬉しくなりました!

投稿数はその日によってまちまちですが、1日1つはあげますので、これからもぜひ読んで見てください!

今回も少し長くなりました。

 

「「「すいませんでした!!」」」


 カレーが出来たのでゼノール様と準備していると、食堂に入ってきた彼らは開口一番に頭を下げる。


「気にしないでください、少し驚いただけなので。それよりも、料理が出来上がったので、良ければ配るのを手伝ってくれませんか?」

「「「はいっ!!」」」


 彼らはさっきまでの態度とは打って変わって、距離感を保って優しく丁寧に接してくれるようになっていた。


(タンザさん、何をしたんだろう)


 とても気になったが藪から蛇を突くのは恐ろしかったので止めておく。

 何はともあれ全員にカレーを配ることが出来た。

 しかし、初めて見る食べ物に私以外の全員が頭に「?」が浮かべている。


「これはどのような食べ物ですか?私は見たことが無いのですが…」


 とタンザさんが皆の代表として質問する。


「これは私のオリジナル料理でカレーと言います。味は少し辛いかも知れませんが美味しいので、ぜひ食べてみてください」


 説明もそこそこに私はカレーを勧めた。

 団員達は不思議そうに見ていたが、ゼノール様はすぐに食べてくれた。


「…旨い」


 瞳を輝かせ何度もスプーンですくって食べ進めていく。

 そんな様子を見て団員達も食べ始めた。


(ゼノール様は美味しいと言ってくれたけど他の人はどうだろう)


 そんな一抹の不安を抱えていた私はチラチラと横目で彼らを見る。


「「「は…?旨すぎじゃね?」」」


 彼らはパチパチと目をさせ、勢いよく食べていく。

 そしてあっという間に完食してしまったのだ。

 だが、食べ終えてしまいお皿を寂しそうに見つめ、物欲しそうに私を見つめてくる。

 それが面白くて笑ってしまう。


「おかわりなら有りますから大丈夫ですよ、その代わり自分でやってくださいね」


 私はそこまで鬼畜ではないので、お腹いっぱい食べさせてあげる派である。

 前世の施設での経験から、食べ終わった後のひもじい気持ちを誰よりも理解しているつもりだ。

 ましてや私は、絶食状態だったのだからご飯があることの有難みも分かる。

 だからこそ、此処にいる限り前世の私のような気持ちにさせたくなかったため、この大人数の男性達が食べても残すのではないかと思うほど大量にカレーを作っておいたのだ。

 そう、残すと思って作ったのだ。

 しかし、この言葉を皮切りに全員が3杯以上おかわりをした結果大鍋に入ったカレーも、ご飯も、残すことなく平らげてしまったのだ。

 お腹が減っていた男性の本気を甘く見ていたようだ。

 かく言う私は、一生懸命作ったご飯を全て美味しく食べてくれたことに感動していた。


「もうお腹いっぱいだ…」

「あぁ、俺も久しぶりにこんなに食べたわ」

「というか、女性が作ったご飯始めて食べた」

「しかもあんなに旨いヤツな」

「…俺、此処に住みたい…というか、結婚したい」

「「「それな」」」


 スゥは男性達が自分に好意を向けられていることを、まだ知らない。

 前世でも、そんな経験は無かったからだ。

 さらに男女比5:1だとしても普通のことをしていると思っているため、如何に男性達の理想を体現しているか分かっていなかった。

 普段向けられることのない笑顔。丁寧な言葉遣い。優しい気づかい。美味しい料理。挙げ句の果てには、彼らの命を貴重な薬や道具を使ってまで救ってくれた。

 それはこの世界の女性では考えられないほどだった。

 どんなに見た目がパッとせず地味だとしても、好きにならない方が可笑しかった。

 このことを知るのはもう少し先のことになるだろうが。


 そんなことになってるとは知らないスゥは、次にお風呂の準備をしていた。しっかりと不備がないか確認して、のんびりしている彼らに声をかけた。


「この宿には個室の方にもお風呂はありますが、大浴場もあります。そちらの方は準備出来ているので良ければご利用下さいね」


(これで他の人にも伝えてくれるはず)


 そうして食堂を出るとゼノール様がラウンジで、気持ち良さそうにのびのびと横になってくつろいでいた。

 …今回はお風呂に入ってもなければ、寝ても居なかった。


(ちっ…前回と同じようにはいかないか…)


 残念な気持ちを感じながらも話しかける。


「ゼノール様、良ければ個室のお風呂よりも大浴場を使ってみてはどうですか?明日になれば出てしまわれるので、良ければぜひ見ていって下さい」


 今日でゼノール様が泊まって2日目。

 明日には此処を出て行ってしまう。

 分かってはいても初めてのお客さんで、仲良くなったので別れてしまうのは少しツラい物があるが、宿屋をやっている限り出会いもあれば別れもあるのだ。

 最後だから楽しんでいってほしい、そんな気持ちでお風呂を勧めた。


「…………あぁ…」


 かなり間はあったが返事をして、そのまま行ってしまった。

 どんどん小さくなっていく背中を見ながら祈る。


(ゼノール様がタンザさんたちと仲良くなれますように)


 一緒に大浴場で男同士の『裸の付き合い』をして心を通わせることが出来たら、いつか彼は満面の笑顔を見せてくれるだろうか。

 そんな期待を胸に見送っていた。


 しばらくして、彼らは大浴場から出てきてラウンジや食堂や部屋でくつろぎ始めた。

 その中に、食堂でゼノール様とタンザさんが話しているのを見つけ、私は途端に嬉しくなる。


(良かった!打ち解けることが出来たんだ!)


 難しい顔をして頑張っているゼノール様の邪魔をしてはいけないと、その場を離れ、食器の片付けや使用されたタオルの洗濯を水魔法のように見せながら、お皿とタオルを洗っていった。

 そして終わってから、私はゼノール様のことを思い出して浮かれてしまい、私は遊びで探偵ごっこならぬ鑑定ごっこを初めた。

 食堂に向かって、隠蔽を発動させる。

 そして、入ってくる団員達を鑑定して見て回ったのだ。


(ふむふむ、やはり冒険者とあって中々に良いステータスであるなぁ。まぁ、私には敵わないが)


 と黒い笑みを浮かべる。

 そして次にゼノール様のステータスも見てみた。


 名前:ゼノール(18)

 種族:獣人(狼族)

 体力:2,000

 魔力:50

 攻撃力:1,000

 防御力:2,050

 瞬発力:5,000

 スキル:神速.身体強化.危険察知.自然回復.鑑定.炎魔法.水魔法

 称号:忍耐


(ん?この世界の平均にしてはかなり高い??しかも、称号を持ってるの!!?)


 色んな事に驚きながら、もう1人確認しようと近くにいたルノマリア様のステータスも見る。


 名前:ルノマリア(21)

 種族:妖精族

 体力:50

 魔力:3,000

 攻撃力:100

 防御力:50

 瞬発力:30

 スキル:回復魔法.浄化魔法.水魔法.植物魔法.遠視.鑑定

 称号:漢方医.治療医


(うん、回復担当って感じがビシバシ伝わるよ。主に称号からだけどね?)


 大先生が教えてくれた称号持ちが少ないって嘘なのかなぁ?とそう思い始めた今日この頃。

 私はひたすら、パニックに陥っていました。


新事実その1

ゼノールは犬ではなく狼だった

新事実その2

ルノマリアは妖精族だった


皆さんを少しでも驚かせられるように頑張ります!

感想、誤字脱字報告などなどお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ