大切な者★~タンザ視点~★
今回はタンザ視点となります。
それぞれの登場人物知って欲しくてつい書いちゃいました。笑
今回も感想やブックマーク登録など少しずつ私の妄想を共感してくれる人が増えてきて、嬉しい限りです!
ありがとうございます!ヾ(≧∇≦)
私は農家の家庭にタンザとして生まれ育った。
美しくはないが特別醜い訳でもなかったので、人間関係に困ったことはなかった。
母は肥立ちが悪く私を産んですぐに亡くなったらしい。
美しくはなかったが体はタプタプと大きく穏やかなジル父さんと、血は繋がってないが美しくジル父さんよりも一回り小さかったが厳しくも優しいダリ父さん。
父2人は昔、冒険者で同じパーティーを組んでいたらしく幼い頃から沢山のことを話して聞かせてくれた。
どんな魔物と戦い、仲間と冒険をして、様々な国を渡り歩き、人族以外との交流や文化の違い、食べ物についてなど楽しそうに笑い合う両親を見て育ったため、その話を聞いては「僕も父さん達みたいな立派な冒険者になる!」と息巻いていた。
それを聞いた父2人はいつも嬉しそうに笑った。
平民で特筆したことは何もなかったが、幸せに暮らしていた。
だが、私が10歳の時、隣町まで野菜を売りに出かけた父2人を乗せた馬車が土砂崩れに巻き込まれ帰らぬ人となった。
私はひたすら墓の前で泣いた。
昨日まで「冒険は良いぞ~?色んなヤツと知り合えて、戦ったら強くなれるからなぁ」と酔っぱらうジル父さん。そんなジル父さんを「ジル、タンザに間違った事教えるな。戦う前からしっかりと特訓しておかなければ強くはなれん!」と言い返すダリ父さん。
そんな性格や見た目は対称的でも仲の良い2人が大好きだった。
そんな2人がもう居ない。
会うことも出来ない。
話すことも。
2人を亡くした悲しみから家に引きこもり塞ぎ込むようになった私にある友人が言う。
「泣いてても仕方が無いだろ。それに、親父さんたちが今のお前を見たらガッカリするぞ。俺だったら、親父さんたちに誇れるように冒険者になる」と。
私はその言葉が今でも忘れられない。
父さん達に「立派な冒険者になる」と言ったではないかと。
こんな所でメソメソしていてはジル父さんは許しても、ダリ父さんが許さないだろう。
その日から毎日のように剣で特訓をした。
ダリ父さんは言っていた。
戦う前から特訓をしておかなければ強く離れないと。
特訓した後は魔物と山のように戦った。
ジル父さんは言っていた。
戦ったら強くなれると。
それから私は冒険者になった。
Gランクからスタートしたが、今となってはB+ランクだ。
団長に誘われて"大地の剣"というパーティーギルドに入った。
皆の頑張りでこちらも最近、Bランクに入ることが出来た。
それから、父さん達が言っていたように仲間たちと冒険をして、各地を回った。
私はその時に出逢った平民の女性に恋をして、結婚もした。
美人顔で気高く自分を強く持っていて自信に満ち溢れている。
そんな彼女に一目惚れしてもうアタックの末に5番目の夫として迎えられた。
子供にも恵まれた。男の子だ。
その子のために、妻のために、仲間のために、少し上のAランクのクエストを受注した。
成功報酬がいつもより高額だったからだ。
(このお金で皆のために何か買ってあげよう)
そんな気持ちでパーティーギルドでクエストに向かった。
思った以上に数が多く手こずってしまったものの、何とか達成した。
私は嬉しさや誇らしさから油断していた。
空から高速に大きなドラゴンが近づいていることに。
(くそっ、どいつもこいつも自分のことばかりじゃないか!!)
急なドラゴンの襲来により、多くの重傷者が出てしまった。
偶然にも群れるはずのドラゴンがはぐれたのか1匹だったため、すぐに追い返す事が出来た。
しかし、ドラゴンはこの世界において攻撃力はかなり上位に位置している。
少し暴れて人に当たってしまえば大事になるのだ。
ドラゴンが暴れたことにより、深手を負った仲間たちはもう虫の息だった。
私はすぐに近くの家々や宿を巡った。
ケガをした仲間を助けてくれ、薬を分けてくれと。
しかし皆首を横に振る。
血が付くのは嫌だ、汚い、関わりたくない、金がないなら無理だ、と薬も場所も誰1人として縦に首を振る人はいなかった。
特に女性は俺の顔ですら嫌悪する。
妻は例外だが、嫌がる人は極端に拒絶する。
これでは私よりも醜い者や他種族の奴らを見たら、断られるのは目に見えていた。
(また私は大切な人達を失うのか)
それを考えてしまった途端、体が震え始める。
いつもバカばっかりやっているやつも、最近結婚出来たんだと嬉しそうに報告してきたやつも、皆、皆…っ!
(どうすれば良いんだ、ジル父さん!ダリ父さん!)
そう心の中で叫んだその時、強い風が吹くと同時に
目の前に森の案内人が現れていた。
森の案内人とは昔から伝わっている人前に姿を現すのは珍しく、困ったときに現れては導いてくれる心美しい生き物である。
見た目は茶色い毛が全身を包んでおり鼻は潰れて大きく先が上向きのの4足歩行で大人になると口の端から牙が出る。
また森の案内人が通った後には道が出来るという。
森の案内人は普段そこを通っている。
しかし、その道の険しさからを私たちは獣道と呼ぶ。
そんな森の案内人が獣道ではなく人が歩く道にいた。
森の案内人が私を何処かへ案内しようと現れたのだ。
嬉しくないわけが無かった。
そんな歓喜に震え止まっている私を無視して森の案内人は走り出す。
私も慌てて追いかけた。
絶対に見失ってやるものかと。
しばらくして森の案内人がある建物の前に止まった。
まるで「ここだ」と言わんばかりに。
そして、森の案内人はどこか森の奥へと戻っていった。
置き去りにされた私はこの大きな建物の看板を見つける。
そこには〈夢の宿〉と書かれていた。
皆さん、もちろん、森の案内人が何なのかお解りになりましたよね?笑
こんな感じで少しずつ謎が解けていく感じも、私好きなんですよね~笑
本当は1話で終わらせたかったんですけど、2話目突入しちゃいました…すいません。
次、終わったらちゃんとスゥ視点戻りますのでもう少しお付き合いください。




