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大地の剣

素人作品なのに見てくれて、気に入ってくれる人達がいて下さって、もう本当に嬉しすぎて涙出そうです。:゜(;´∩`;)゜:。

早く投稿出来るようにアイデアを練っているので、感謝の気持ちを込めてご意見も機会があればどんどん入れていきたいと考えています。

 ゼノール様を見送った後、放心状態から立ち直った私は次は宿の中を掃除していた。

 これから昼にさしかかろうとした時、ドアが開いた音が聞こえた。ゼノール様にしては早過ぎる。だとすれば、また新しいお客さんが来たのだろうか?

 そんな考えを巡らせてフロントに行く。

 そこには身長がとても高く、体格の良い橙色の髪と桃色の瞳を持つ30代くらいの美しい(不細工)顔では無いものの特別醜い(イケメン)と言うわけでもない、私からすると中の上くらいの男性がボロボロな服から薄らと汗を滲ませて立っていた。

 私を見て苦しそうな様子で聞く。


「…失礼を承知でお聞きしますが、あなたはここのお客でしょうか?」

「いいえ、私はこの宿のオーナーをやっておりますが…」


 それを言うと今にも泣きそうな顔をして懇願してきた。


「お願いだ、どうかこの宿に泊めて欲しい!私の分の部屋は良いから、どうか、私の大切な仲間たちだけでも泊めてやって欲しい!金は後でそちらの望むだけの金額を用意する、だから、お願いだ…せめてアイツらだけでも受け入れてくれないか…」


 何やら深刻な様子でひたすら私に頭を下げる。


「頭を上げてください、それに話を聞かないことには何も言ってあげられません。事情をお聞かせ願えますか?」


 と彼を落ち着かせるように優しく声をかける。

 そして彼は事情を話してくれた。


 彼はタンザというらしい。

 タンザさんは"大地の剣"というパーティーギルドの副団長で、魔物討伐クエストを受けたところ、クエスト自体は成功したが油断したすきに、突然現れたはぐれドラゴンにより死亡者は居ないものの多くの者は重傷をおったこと。

 さらに、メンバーは醜い者(イケメン)や他種族が数人いて他の宿では取り入ってもらえなかったこと。

 かなりの人数のため、どこにも行く場所がないこと。

 ギルドに帰るにしても遠すぎること。

 挙げたらきりが無いほどだったり

 彼はそれだけ多くの場所に頭を下げに行ったのだろう。

 私はその話を聞いて心を決める。


「わかりました、その全ての怪我人及びパーティーメンバーの方ををこちらで受け入れます。準備しますので、今すぐ私をその方達が居るところまで連れて行ってください!」


 そう言って走って自分の部屋から大きめの袋を準備した。

 タンザさんはその言葉に驚きながら言葉を返す。


「…女性にはツラいものがあります。お言葉自体は嬉しいのですが、止めておいた方が賢明かと…」


 …彼はきっとケガや醜い者(イケメン)や他種族の人を見て倒れることを危惧しているのだろうがそんなことはあり得ない。


「いいえ、行きます!必ずあなたの仲間の方たちを救いますから!お願いです!仲間を救いたいのでしょう!?」


 そう強く言った私に諦めて、タンザさんは言葉通り私を急いで案内をする。

 走った先に見えてきたのは惨憺たる状況だった。


(なるほど、私が病院暮らしで見慣れてなかったら確かに倒れても可笑しく無かったわね)


 そう思えるほどの重症者の数々。

 タンザさんが心配するのも無理はない。

 爪に引き裂かれたであろう血が流れている背中、炎にやられたのであろう火傷で爛れた顔、向いてはいけない方向に向いている足、他にも山のような症状の数に青ざめる。

 しかし、全ての人に届くように私はお腹から思い切り声を出した。


「聞いて下さい!!今からあなた達全員を私の宿に連れて行きます!!絶対に助けます!!だからお願いです!!懸命に生きて下さい!!足掻いていてください!」


 辺りが静かになり私を見つめるが、そんなの気にせずに状況を整理する。

 大体30人前後居ること、特に症状が酷いとされる人たち、治療するための包帯や薬の量などを考え、バッグから道具を取り出す


 ()()をする。


 あまりやりたくは無かったが、中身を隠しながら創造魔法で魔力を込めた指輪と治癒の力を込めた水と包帯を作る。

 指輪はこれのスキルによって転移させるように見せるためだ。

 その指輪をはめた私は、水と包帯をタンザさんに渡し小声で説明する。


「…これは秘伝の薬です。どんな症状の方でも癒す薬です。これを1人5分の1程度全ての人に飲ませてください。しかし、この薬だけで治らない方もいると思いますので、その方達は私が回復魔法で治します。その私が治した人やすでに治った人達はこの指輪のスキルで宿の部屋に送り届けます。だから、タンザさんも協力してください」


 タンザさんは話を聞いて狼狽えながらも私の圧に押されたのか「わ、分かりました、どうか団員達をよろしくお願いします!」と頭を下げ走って団員達の元へ向かっていった。

 私は1人1人を選別してから部屋に送るので、その間に水で助かる人にはそれをタンザさんに渡して任せる。

 そうやって、効率よく早く動かなければ死んでしまいそうな人もちらほら見つけたのでそんな彼らの元へ近づいた。

 最初に私が向かった人は、背中を爪でえぐられ息絶え絶えになっていた。

 急いで治癒の力を使いなが、声をかける。


「もう大丈夫よ、私が来たからね。ここまでよく頑張ったわね、もう安心して良いからね」


 病院でよく先生達が似たようなことを言っていたのを思い出し恥ずかしくなるが、気にしないでおいた。

 治癒は創造魔法と違って効果が高い上に魔力消費が少ない。

 流石はお伽話レベルの称号と言ったところか。

 見る見るうちに傷は塞がり、呼吸も顔色も安定していく。

 それを確認してから個室に転移させ、次の怪我人の元へ急ぐ。

 この森は決して安全とは言い難いほど、夜になると魔物が現れる。

 だから、治したから、はい、OKとはならない。それを知っている私はとにかく急いで次々と治していった。



 そうして、夕方になる頃には魔力は殆ど持って行かれ疲れ果てたが、全ての人に治癒を施し、部屋に転移させることが出来たのだった。



今回も読んで下さりありがとうございます。

何でも気軽にコメントしてください!

次回もよろしくお願いします!

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