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この街から早く出たくてクレアを抱えて駆け出した。
途中で腕の中が重くなったと思ったらクレアが寝ていた。10歳と言ってたが10歳の子より軽いだろう。食事もパンしか食べれなかった。ここ最近はちゃんと食べれてたらしいがそれでも細く小さい。成長期だから、これからはしっかりと食べさせないとな。
寝ている間に進めるだけ進まないと、起きたら自分で歩くと言うだろう。
街を出て隣の街に向かって街道を歩く。
クレアが起きたら食事にしよう。
そろそろ起きるかと思い街道から少し外れた場所に布を敷いてクレアを寝かせた。
マジックバッグから一口コンロを出し鍋に水を入れていると
「ん・・・」
「起きたか?今からスープ作るから少し待ってろ。」
スープ!?
ガバッと起きればウィルさんが何か鍋に入れている。
「ごめんなさい。ウィルさん。私作ります。」
「朝早かったから眠くなるのもしかたないさ。
気にするな。」
「でも・・・」
「簡単なスープしか作れないからな。次から作ってくれればいい。」
「わかりました。」
「口調も普通でいい。」
「うっ、わかったよウィルさん。」
パンとスープを食べる。
簡単なと言ってただけあって塩コショウ味のスープだった。
それでも美味しいと思った。
食べながらどこに向かっているのか聞く。
ハンブリングに向かっているという。
私達が居たプレイステッドからハンブリングまで街が2つあるらしい。
街で一泊したとして、街道をどのくらい進めるかで到着が変わるらしい。
ううぅ。
私の歩く速さと体力次第かぁ。
なぜハンブリングかと言うと、ウィルさんのお母さんの両親、つまりウィルさんの祖父母がいるかららしい。
そこでゆっくり今後の事を考えるけど、祖父母が嫌がれば別のところに行く予定だそう。
いや、ウィルさんは孫だからいいけど、私は赤の他人だからね?
ウィルさんの祖父母宅にお世話になる訳にはいかないから宿をとろう。
私も金策を考えねば。
でも10歳で何ができる?
うーん。
「大丈夫だ。祖父母の事は心配しなくていい。もともと交流はないから迷惑だろう。まぁ、逆に囲われても困る。いいように使われる気はないからな。クレアが別の場所に行くと言うなら一緒に行く。心配しなくていい。」
「わかった。けどいいの?私と一緒で?」
「いいに決まってる。クレアは嫌か?」
「ううん。ウィルさんが一緒で嬉しいよ。」
「なら問題ないな。そろそろ行くか。」
「うん。」