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「えっと、あの私話した通り文字を少し教わったくらいで他は全然わからないの。どこと言われても・・・」
「じゃあ、どんな所に行ってみたい?」
「どんなところ・・・綺麗な景色とか温泉に入ってみたい。美味しい物も食べてみたい。」
「そうか。じゃあ俺と旅に出るか?」
「ウィルさんと?ウィルさんも旅に出るの?」
「ああ。俺も家を出ようと思ってライルに言いにきたんだ。」
「そうか。やっと決心したか。お前がいなくなるのは寂しいがあの家からは出た方がいい。いつ出立するんだ?」
「そうだな・・・クレアの準備ができたらかな?」
ウィルさんも家に問題があるのかな?
持っている物やあった方がいい物など確認して
ウィルさんが買い物に付いてきてくれることになった。
歩きやすいブーツや食料、調味料などを買っていく。
ウィルさんは家を出ると決めてから準備していたらしい。
私の必要な物も大体揃ったかな。
あとは行く先の街で足りない物を買えばいい。
歩きながらウィルさんにいつ出立するか聞こうとしたら
「こんな所で何してる?その呪いの目で今度は誰を殺すんだ?」
「エリオット・・・」
知り合い?
茶髪に翡翠のような緑の目。
なんとなくウィルさんに似てる。
でも呪いの目って言ったから仲が良い人じゃない。
ウィルさんの敵だ。
こんな人達が今までウィルさんを傷つけきたんだろう。
許せない!
「あんたのその目で母上が亡くなった。俺を産んで可愛いがってくれるはずだったのに・・・呪いの目で!」
ウィルさんは黙ってる。
でも握ってる拳が震えてる。
「呪いの目じゃない!ウィルさんの目は綺麗だよ。呪いの目なんて言う方が呪ってるんだよ!」
「誰だ?その目で誰からも相手にされないからこんな子供に手を出したのか?はっ!子供ならその目の事も誤魔化せると?嬢ちゃん教えてあげよう。この男は髪で隠してるけど色の違う目を持っている。呪いの目だ。その目で母上を呪って殺したんだよ。自分以外のの子を可愛いがらせない為に。俺は母上の記憶がない。思い出がないんだ。この男のせいで!」
「違う!それならお母さんよりアンタを呪った方がいいじゃない?アンタがいない方がお母さんに可愛いがってもらえるんだから。お母さんが亡くなった原因は他にあると思う。出産は命がけなんだから。産後の肥立ちが悪かったのかもしれない。でも呪いじゃない!わかってる?酷い事言ってるアンタが死んでないじゃない!それは呪われてないからでしょ?ウィルさんの目が人と違うからって酷い事言って傷つけないで!なんでもウィルさんのせいにしないで!ウィルさんの目が気にいらないなら近づかないで!関わらないで!行こう。ウィルさん。」
ウィルさんの手を引いて早く歩こうとしたらガシッと肩を掴まれた。
「子供だと思って優しくしたら、コイツのせいじゃないだと?俺を誰だと思っている!」
「知らないよ!初めて会ったのに知ってるわけないじゃん!」
「調子に乗るなよ!」
「どっちが⁈」
「やめろ!エリオット。もう俺に関わるな!」
私の肩を掴んでいた手を外し私の手を引いて足早に歩くウィルさん。
背後で何か言ってたけど無視だ。
朝の人混みはなくチラホラ人がいるだけで、言い合っていた私達を気にする人もいない。
「弟なんだ。」
ポツリとウィルさんが言った。
ウィルさんを傷つけているのが弟だなんて・・・
それきり黙って歩くウィルさん。