ばーさすお薬!
「おいちくない!」
そう言って薬を頑なに飲もうとしない息子。
「ほら、イチゴ味だよ?あんなに好きだったじゃない」
「いっぱいのんだ!もうやだ!」
弱った。
錠剤が一番いいんだろうけど、あの医者は粉で渡してきた。
なんで?なんで?って思ったけど、きっと考えあってのことなんだろう。だって医者様々だし。意味ないことしないっしょ。
「風邪良くならないよ?ずっと大変になっちゃうよ?」
「こんなものなくてもへいき!ぼくアンパ○マンになるんだから!」
「そっか、でもね。ア○パンマンでも、ばいき○まんにやられちゃう時もあるでしょ?だからね、体の中のばいきんまんに負けないためにも、これを飲むんだよ」
そう言うと、ぐずりながらも薬に手を伸ばす息子。
「ぼくアンパ○マンだから、ば○きんまんなんかにまけないの!」
そう言って、イチゴ味の薬を口に入れる。
そして水で飲み干す。
「よしよし、偉いぞ」
息子の頭をなでなでする。
息子は涙目になっていた。
次の日、薬を飲んだのに、息子の症状は改善されなかった。
また薬を飲ませなきゃならない。
薬入れの中を見る。
えっ。
昨日まであったはずの薬がなくなっていた。
すぐに周辺をさがす。
ない、ない。
「あなた、ここに入れてあった薬は?」
このなにもしないダメ夫が知っているとは思えないが、取り敢えず聞いてみる。
「ああ、それなら佑にやったぞ」
へっ?いつの間に?なんで?
「なんかりんごジュースに入れていた気がするけど」
え?まじ?
それはあかーん!
偉いけど、それはダメだ!
「佑ー!ちょっとこっちにきなさいー」
「なにママー?」
私の気も知らないで、佑は呑気な顔で向かってくる。
正直、叱りたい。りんごジュースで飲んだことを。
ていうか、イチゴ味の薬にりんごジュースって合うのか……?
それはともかく!
「偉いね。1人で薬飲めたんだ。成長したね」
まずは息子の進歩を褒めるべきでしょ。
だって私は親なんだから。
嬉しそうにしている息子を見ていると、笑顔になった。
医者サンキューベリーマッチだね。
これ見越してたらすごい。
できれば次は錠剤でお願いします。