EX.86 「レンアイプロジェクト(前編)」
「なるほど······それはデートね」
「でしょ!?そうでしょ!?」
あの約束の後私はゆ〜ちゃんに電話を掛け、あの真相の是非を問いた。
その答えはやっぱりデートだ。
まさかアキヒトくんの口から出てくるとは!?
「こりゃ私のついていかないとね。ああ、安心してストーカーみたいにしていくから」
「やめてよ······」
「リアルなトーンは本当に止めて」
どうやら相手にも伝わったようで安心したよ。
「それにバレるでしょ。アキヒトくんの意識範囲を考えて見てよ」
「宮田も楽しむ気満々でしょ。カレンのみに注視するんじゃない?」
「ファッ!?」
「電話越しでも真っ赤になってるのバレバレ。それと、どうせあなたは海に行っても何も進歩は無さそうだから今回は頑張りなさいよ」
「うん」
「今服考えながらとびっきりの爆弾を用意しときなさい」
何で私が今服を考えているんだろう?
「それに宮田の服はあなたが決めるんだから、人形みたくいっぱい着替えさせた方がいいと思うわよ。バリエーション豊富で考えなさいよ」
「うん」
「それと······楽しんで来なさいよ」
「うん!」
私は親友の言葉にはっきりと応えた。
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場所と人が変わり、ここは須磨海岸。
後ろには須磨海浜水族園があり、なんと近くにはイルカを育てている所でもあるため利用者は多い。
兵庫県民である俺は水族館は須磨海浜水族園。動物園は王子動物園と近く便利にしているし希少性の高い生き物を見ることが出来るのでかなり有り難い。
まあ、そんな地元アピールは置いておいて俺は深夜この海にいるのには少しばかり理由がある。
別にはしゃいで下見に行っている訳ではなく、とある人物と会う予定があるのだ。
「すまぬな、アキヒト殿。ここまで案内してもらって」
「仕方がないからな。確か『魚人島』は海流の動きで場所が動くらしいからな。しばらくはここの近くらしいけど」
『魚人島』は余りにも深い海底に存在する楽園と呼ばれる所。まあ人間の俺の目じゃ見えない所だ。
「ところで······そこの後ろの方々はお仲間さん?助かったんですね」
「ああそうだ。アキヒト殿に言われた通りビンから出して海水をぶちまければ解決した」
「ありがとうございます」
「いえいえ、まあリュウギョウが倒れた俺たちを担ぎこんでくれた事もリーダーとして感謝するよ」
すると、リュウギョウは俺に手を差し伸べた。
「お前さんと出会って良かったよ。あのままでは儂も人間を嫌う所だった」
「こっちも出会って良かったよ。まあまた会うかも知れないけどな」
そう言って笑う俺たち。時間も時間なのでそろそろ戻るらしく、二人の仲間を連れて海へ帰って行った。
彼いわく、人族と魚人族との締結はあらかた済、後はこちらの王が自ら出向いてあちらの王と話し合いをし、ようやく完成するらしい。
元々もう二度と出会う事が無かったチャンス。王さんはそれを逃すつもりはないらしく、今の内にスケジュールを調整するらしい。
しかしこちらもあちらもまだ偏見が残っている。
たとえ法律で縛っても意味が無いだろう。
人の考えとはそう言うもんだ。
あとは、互いに寄り添い、近づいていくだけ。
俺たちはそのチャンスを貰ったんだ。
『もし魚人島に来たら儂が案内しよう。楽しみにしておれ』
「ああ······楽しみにしとくよ······」
そこには青色の星星がきらめく空が広がっていた。
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「わああああああ!!全然決まらないいいい!!」
カレンは頭を抱えて悶え苦しんでいた。
くねくね動いて気持ちが悪くなるほどに。
クローゼットに置いてある服の中からどれがデートにあっている服なのか全く分からない!どれ選んでも外れな気がする!
まるで宝を隠された海賊の様に、まるで大切なおもちゃを隠された子供の様に何度も何度も慌てふためきながら服を漁る自分。それが今の姿だった。
ワンピースにするか······それともパーカー?いや、ポンチョでも良いような······。
ああもうこう言う時にバリエーションの高い服の種類が憎い!それを買って貰っている自分も憎い!
すると、一枚の紙がポロンと落ちてきた。
「?」
何か?と拾うとそこには小難しい言葉が並べられた留学書だった。
「·····················ああ、これだ!!」
『とびっきりの爆弾用意しときなさいよ』
これは確かにいつかは言わなくちゃいけなかった事。これをデートで言えば。
「よし、頑張るぞ!」
私は頬を叩いて気合いを入れた。
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8月7日デートの日。
私は最終的にニット帽にセーターの見た目暑そうな格好になっている。
まだ時間は早いが目的地に急ごうとしている。
集合場所はとある有名なショッピングモール、私は少し厚底のサボサンダルをカッカッと鳴らしながら駆ける。
「あ······」
そこにはもうアキヒトくんの姿があった。
どうやら私の姿に気づいたらしくこちらに手を振ってきた。
私もそれに応じて手を振る。
「遅かったかな?」
「30分も前だぞ。寧ろ早い方だ」
そう言うアキヒトくんは私よりも早く来ている事に嬉しく思った。
「行こうか」
手を差し伸べたアキヒトくん。私は今日何かあったの!?と驚きながらその手を握る。
「うん!」
私とアキヒトくんは手を繋いで店に進んだ。




