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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
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EX.81 「奥の手中の奥の手」

 カレンは唯一生き残った訳では無かった。


 山本が一瞬の間に発動した『気圧』の特殊細工。『見えざる手(ハリクソン·モンキー)』——————アキヒトの義父である宮田直樹が作り出した山本の気圧で作った微量のシャボン玉の様な膜の中に大量の酸素を加え、一人一人の肺に入れる事でもしもの時の為に用意した事が幸いして何とか生きることが出来ていた。


 しかし、それは短時間の延命手段であり。タイムリミットは10分という、あまりにも短い時間。


 もちろんアキヒトも全速力で向かうならともかく、場所が分からず、その上で敵の妨害を喰らい身動きが取れなかった。


 すなわち。速攻魔法『キラメラ』が暴発し、他の皆とは違い肺に酸素が入らない事によるショックがある程度なくなり、極めて紙一重で耐えきる事が出来たカレンだよりになっている事である。


 だが、その奥の手も所詮微量な量しか残っていないので過敏に動く事は難しかった。


「···············!!············!!」


 何度も口をパクパクさせて何度も呼吸を行おうとするが、既に真空状態になっている部屋には酸素の一欠片もない。まるで金魚の様に無力な状態だった。


「······さて、どうするかな?」


 そんな様子に颯爽と興味を無くした『ミラ』がカレン達の殺し方について考えていた。


 キョロキョロと顔を動かして探している彼の眼にとある一本の剣が映った。


 所有者がいない中でも一切、1ミリも傾く事なく直立不動の剣。片手剣程度のサイズで重心も浅いと見えるモノクロの剣からは想像出来ない程に勇姿高く見える姿だった。


 もちろんそんな、剣への敬意など存在しない『ミラ』はその剣を使って殺すことを考えた。


「ふふふ······さて、こんな殺され方とかどうだい?」


「や······やめ······」


 そのまま『ミラ』は『ムーンフェアリー』を引き抜こうとして、あまりにも重すぎたそれに手をすっぽ抜けてしまった。


「!?」


 カレンは『ミラ』のあまりにも道化じみた格好に笑う事なく、もはや無意識に身体を、足を動かしていた。


 すっぽ抜けた際、剥き出しになったその脇腹にタックルをおこし、仮面が壊れた事で抵抗も無くなり、『ミラ』のうぐっ!!と言ううねり声と共に吹き飛ばした。


 そして——————


『最上級神器』である『ムーンフェアリー』を——————


 引き抜いた。


 その瞬間、真空に満たされた空間に充満に濃厚な空気が溢れ出した。


『ムーンフェアリー』の特殊能力の一つは『破壊』。それは削除や消去された空間でさえも、その自体を破壊して無かった事にした。その破壊力は天地を下し、全知を翻弄し、その存在自体さえも化け物とさえ言える『最上級神器』の中のトップクラスの武器。


『ミラ』の虚無でさえも破壊し、虚無によって吸収された空気も風船に穴が開くが如く吹き出した。


「絶対に······負けない······!!」


「浮気症な剣だなぁ······!!そっちが先に死ねよ!!」


 爆発するように発せられる空気が全てムーンフェアリーに纏い。高く持ち上げる剣に竜巻が生まれだした。


 @@@@@


「ぐふっ······」


 鳩尾に突きつけられた拳が老兵——————朱 棒法の内臓にダメージを与え、棒法の口から血が吹き出す。


「師よ!!」


 おかしな仮面——————今見たら狐の様な仮面をした女性から焦りの見える声が聞こえ、その方を向くとリーゼリッタと共にこちらに飛びだしていた。


 だが、


「行かすか!!『羅水門』!!」


「ここから先には行かせませんよ」


 巨大な水の門とレインボーが発動した炎によって行く道を失った二人は歩みを止める。


「······ふっ」


「何が可笑しい?」


「確かにここで援軍は途絶えた······しかしお主もそうではないか?新人の英雄よ。それにこのようにして儂が負けるとでも?」


「ああ、数秒で終わらせる」


「"筋力操作·倍化„!!」


 筋肉が急上昇した棒法にアキヒトは果敢に飛び出した。


 @@@@@


 王の玉座。


 彼女が飛び出したのは、アキヒトからのメッセージが飛ばず焦り出していた所であった。


 実際にアキヒトからメールが届いた訳ではない。だが、とある急激な星の動きに反応していた。


 それはつい先日、覚醒と言う超爆発的な変化が起きるであろう超進化。当時かぐやの目の前には、まだ大丈夫だろう、と思い込んでいたがとある星の輝きと動きに強く共鳴した。


 それは、初めて覚醒が発見された際、かぐや自身が独自で生み出した法則であり、とある一定のボーダーライン。


 かぐやが適当に『ロードボーダー』と名付けたその星は、今まで見たことない程の輝きと流れ星のようにいつもの自転軸を狂わせた様な動きをした。


 まるで新たな王を祝福するように。まるで新たに生まれた怪物に慄くように。


「そんな······ありえない······」


 レオンでさえも30の頃にようやく発動した力だ。それに彼以降、よほどの事がない限り発生自体されていなかった筈だ。


 覚醒の条件には、『長期間による訓練』、『環境による状況適応』、そして『過剰なストレス』だ。


 レオンはもちろん前者。長い長い研鑽の上で身につけ、名を轟かせている。


 しかし、歴史上では環境に対する覚醒の方が多い。何故ならこの世界は無数に厳しい環境が存在する為。こういう結果になるのは仕方のない話だろう。


 だが、今回の場合はあまりにも別だ。


 長い歴史の中ではたった一人、しかもそれはごく最近、魔王から発見された事だ。


 そしてその姿は大抵の覚醒である金色の姿ではなく、白銀の姿だったらしい。


 それは過剰なストレスの結果かは未だに分からない。何せボク自身がお目にかかれたのは一回限りだ。


 ······願うならば。彼にはそういう結果にならないように——————


 @@@@@


 彼の目の前には——————


 気を失っていると願いたい仲間達の倒れた姿。


 そしてムーンフェアリーを抱いたまま、血溜まりを作って倒れたカレンの姿。


 最後にそのカレンの真横に立つミラ·ライズの姿があった。


「お前えええええええええええええええ!!」


 叫び続ける中、一人の冷静な俺は落ち着けと何度も呼びかけるが、


 無理だよ······無理じゃないか······こんなのを耐えるなんか······。


「さて······この女をここまでするのは手間がかかったが、名高い君はどこまでいってくれるのか——————な!!」


 ミラがその鋭い鍵爪で俺に飛びかかってきたその瞬間——————


 アキヒトの身体は眩い閃光に包まれた。


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