EX.78 「彼女は見た」
「ふわぁ〜〜······全く『ミラ』様も人が悪ぃよ。こんな独房のような所で見張りをさせるなんて······」
————————————きたっ!
彼女は道の分岐点でこちらにやってくる見張りの男に目をつける。
耳を澄まして聞くと金属がぶつかり合う音も聴こえてくる。
あと少し······あと少し······今!!
彼女は妖精の姿になり、猛スピードで駆け抜け——————鍵をとった。
そしてそのまま勢いを残して空の独房へと逃げ切る。
「?」
男はちょっとした風に疑問を抱いたものの、すぐさま踵を返して元々進もうとしていた方向に進んで行った。
その光景を見た彼女は安心して、人間サイズに戻って少しへたりこむ。
レインボーはアキヒトと共にこの空間に落ちてきた際、アキヒトの身につけていた戦闘衣装によって、一時的な気絶は免れた。
そしてアキヒトの現状を見るに従い飛び出して、牢屋の鍵を探した。
そして運良く鍵を持っているであろう人物に遭遇し、今の状況に至る。
しかし彼女は動けなかった。
あの男が完全に見えなくなるまで、安全ではない。あの男の持っていた光線銃はレートの店にあった武器カタログから見ると高濃縮エネルギーが詰まっている。つまるところ一発でも受けてしまえば捕まる可能性が大になってしまうのだ。
それにこの鍵はかなりの重さがあり、人間サイズの状態でないと動けないのだ。だからこそ完全に余裕をとって動かないといけないのだ。
そしてあの男が完全に見えなくなるまで数秒も掛からなかったのだが、レインボーにとっては永遠に近い時間が掛かった様に感じた。
今なら······行けるかな······?
多分この鍵で開けるときにはかなりの音が鳴ってしまう。だからこそアキヒトを先に起こさなくちゃならないよね······。
レインボーは一度鍵を音がならないように牢屋外の道に置いて、一度元の妖精の姿に戻って格子を通り抜け再び人間サイズに身体を変えた。
待っていてください······アキヒト······!!
そして息を殺して、足音も消し、前へと進みだした——————。
@@@@@
私は見えていた。
アキヒトくんが立ち上がったその瞬間、仮面を着けた人間とそれと同時に扉が現れた事を。
「あ······」
アキヒトくんと予防とした瞬間。喉元にアイスピックを後ろのメイドの女性に突きつけられた。
「少し······黙って」
『あんたに怒ってもしょうが無いことぐらい知ってる······ただのトイレですよ」
そして今現れた扉に向かっていき、謎の女が扉を開けて、アキヒトくんが何も気づかずに入って行っていく。
それだけは駄目だ!と思い私は速攻魔法『キラ·メラ』を発動して、ちょっとした爆発を起こしてメイドがのけぞる中、私は——————。
「アキヒトくん!!」
しかし、彼は少し気づいた様子を見せ手を伸ばしたがバタンと閉じてしまった。
最後の彼の様子を見た皆はようやく今の事態に気づいて立ち上がる。
そして岡田は問答無用に『ミラ』に撃った——————しかし、
「君の動きは良いのだが、ちょっと狙いが正確過ぎかな。分かりやすかったよ」
「『ミラ』様!!」
駆けつける従者に彼は制しして。
「お前たちは別の仕事を行え。『ベディヴィエール』」
「御意」
そのたった二言で、メイドの女性が私の後ろの壁を触る。すると——————
ガチャキシャガチャキシャガチャキシャガチャキシャガチャキシャガチャキシャガチャ
「!?」
まるでこの部屋自体が一つのルービックキューブの様に変形していく。
装飾の凝った豪華な部屋から、何一つ無い真っ白な部屋へと——————。
そして部屋が変わっていく最中、この現象を起こした張本人、初老の男性、仮面の女が全員液体に包まれ消えていった。
そこには私たち6人と、『ミラ』だけが残った。
最後まで椅子に座っていた彼はたった一言だけ言葉を放った。
「さあ、何秒で終わらせれば良いかな?」
@@@@@
「アキヒトぉ〜!!」
私はドアを解錠してアキヒトに飛び込んだ。
凄い心細かったので、会えただけでも······あぁ〜もう好き!!
最も後ろに手錠され無防備の状態での私のタックルだったので第一声は「うぇっ!」だったけど······。
「······取り敢えず、脱出するか······」
アキヒトは私にどのような手錠の形をしているかを聞いたら、『鬼の腕』を発動して紙を握りつぶす様に破壊した。
そしてアキヒトは私に「ありがとう」と一言言って、牢屋の少し奥にいた誰かの手錠も壊した。
「ほら、壊したが爆発することは無いんだろう?」
「うむ、助かった。ところでお主どうやってコレを?」
「ただの力技だよ。なんの知恵も入っていない」
「······そうか、なるほどお主ならミラ·ライズを倒すと言っていた事も本当なのかもな」
「なんだよ信じていなかったのか?」
「む······いや、そう言う訳じゃないんだがな······」
「も〜〜!!私を無視して話を進めないでください!!」
既に話のかやに飛ばされかけた自分をなんとかして話の中心に戻る方向はこれだけしか無かった。
私は頬を膨らませて不平を唱える。
アキヒトは慌てた様子で。
「うわっ!ごっ、ごめんレインボー!!」
「むっ······お主もしや妖精族か······?」
「そっちこそ魚人族が何のようですか?」
妖精と魚人の睨み合いの中、アキヒトは焦るように。
「さっき言ってた事は本当だ。『リュウギョウ』!!お前の仲間は生きている!!だからこそ急がなければいけない!!」
「むっ、それはそれはどう言う事じゃ!?」
アキヒトは真剣な顔で言う。
「あの男の別名は『生き埋め王』。つまり、お前の仲間は生きている方が高い。そしてアイツは——————」
アキヒトはまるで苦虫をかみ潰す様に言った。
「アイツは俺よりも強い······!」




