EX.75 「危険な笑み」
「お兄ちゃぁ〜〜〜ん!この新しい服どぉかな〜〜?」
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
「お兄ちゃぁ〜〜〜ん!ちょっと数学で教えてほしいところがあるんだけど〜〜?」
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ビクッ!!
「お兄ちゃぁ〜〜〜ん!ちょっと寝不足そうだけどあたしが直々に寝さしてあげよぉ〜か?」
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ビクッ!ビクッ!
「お兄ちゃぁ〜〜〜ん!ちょっとそのボブヘア止めてロングの方がいいかなぁ〜?」
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ビクッ!ビクッ!ビクッ!
「絶対にお兄ちゃん何かしたか何かされたよママ!!」
「ふぅ〜〜ん?青春だねぇ〜我が息子よ!!」
「イッテ!!」
背中に母さんの叩きを喰らい強くのけぞる。この痛みは次の日まで続くタイプの腫れがくるな······。
俺は恨み目で母さんを見ると、母さんはくっくっくっと腹を抱えて笑っていた。
「なんだよ······?」
「いやいやアタシとしては我が息子がどこまで女のコに無責任な事をしたのかと気になってさ」
「してないわ!!」
「いやいやぁ〜大人のキスぐらいしたでしょ」
「子供を信じろよ!?」
「そぉ〜ですねぇ〜〜アキヒトはぁ〜同衾しただけですもんねぇ〜」
その頭上から聞こえたその声は、その言葉は俺の全身を凍らせるのに容易いものだった。
「ど、どどどどどどどどどどどど同衾!?」
何故か叫びは鈴音から聞こえてきた。
俺は慌てて弁解をしようとするが、
「まさかアタシの予想を軽く超えてくるとは······成長したわねアキヒト」
「そんな成長の認められ方は嫌だぁ〜〜!!」
俺の悲しき叫び声はつい最近と同じ様に散っていった。
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「どっ、どどどどどどどどどどどど同衾·········ふふふふふふふふふ、同衾かぁ〜お兄ちゃんもう童貞じゃないんだねぇ〜」
「ここで違うと言うのはとても悲しくなるけど違うからな!?」
俺が風呂から出てきて最初に見たのは目のハイライトが消え失せ、結局どういう訳か分からないが壊れたロボットの様に同じ言葉と同じ単語を延々と繰り返す鈴音の姿であった。
そんな妹の姿に多少危機感を覚えるが、ここは構っしまった方が彼女に悪い。
俺はノイズのかかりかけた声になってきた彼女に——————。
「きょっ······今日は早く寝たほうがいいぞ·········」
「おおおおおおおおおお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん=非童貞非童貞非童貞非童貞非童貞非童貞非童貞=お兄ちゃん」
「スズぅ!!そろそろ本気で目覚めてくれえぇぇぇぇぇ!」
結局鈴音は母さんに預けた。
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「全く······スズは成長してるんだかしてないんだか······」
「まぁまぁあんなのホントはロボットかもしれませんよ」
「怖いこと言うなよ······ん!?」
そこには久し振り(久し振りだっけ?)の人型バージョンのレインボーがいた。
相変わらずのきらびやかで高貴なドレスを身に着けている。もちろんそれを着ている彼女も一級レベルで、幻想の様に光る虹色の髪をこれでもかと振りまいて、その上太陽の様な明るく、それでいて月の様に優雅な顔を持ち合わせている。まさに美少女を語るなら最前線に君臨しているような女のコだ。
カレンとは別種の存在、種族である彼女は最近何故かよく二人で喧嘩している。
······まあ、そのへんの話はそこらに置いておいて——————
「何でその姿なんだ?」
そもそもおかしい、彼女のあの姿は本来大量のエネルギーを消費する為、ここぞと言う時にしか発動しないはずだ。
俺がそのような現象についての動揺が彼女の目には見て取れたのか、彼女は優しく答えを教えてくれた。
「この家、エネルギー濃度が極めて高いんですよ。なんせ最強の能力者である私の最愛のアキヒトに更にそのお母様であるケイコさんは我々妖精族に親しい能力『妖精使い』だからね。呼吸するだけで結構な貯蓄が出来るんだよ!!」
両手を天に挙げて話す姿はとても可愛かった。だが、
「でも、だからって消費する必要はないだろ?わざわざこんなエネルギー消費の酷い姿になるなんて」
するとレインボーは小悪魔的な顔をして。
「知ってますよアキヒト。実は昨夜のあの出来事からずっとムラムラしている事を」
「なぁっ!?」
俺はその言葉を聞いて、まさに一撃ノックアウトの様にのけぞる。
「実はですね······アキヒトがこう······ムラムラしていると、私も······火照ってくるんですよ」
するとレインボーはドレスの肩裾を片方だけ外して色っぽく話す。
実際俺は結構カレンの深夜の攻撃により、眠れなかったし、そのせいでカレンのあの逆セクハラ的な攻撃を俺はなす術なく全身に受けてしまった。
レインボーと話してたら結構大丈夫かな?と思ってたが、ここぞと言うばかりに俺の掛けていたはしごを全力で外しやがった。
「存分にぃ······この未熟な身体を貪ってもいいのですよ?」
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!これ以上はこれ以上は性にくる!!
俺はレインボーをドンと押してベットに転がす。
しかし、コレは危険な行為だったって事を今の俺は気づかなかった。
首筋に汗が一滴垂れ、顔を赤潮させ、今か今かと待ちわびる彼女の姿はとても尋常とは言わないが美しかった。
俺は能動的に動いてしまっていた。
彼女の両手を自分の両手で包み、そのまま——————。
プツンと音が切れた。
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朝、目を開けるとそこにはいつもどおりに馬乗りになっているレインボーの姿があった。
しかし彼女はとても不機嫌な顔をしていた。
「············です」
「?」
「ズルいです!!あの女!!アキヒトの知らぬ間に他の女とイチャコラ出来ないように首筋に魔法を込めてたなんて!!」
ん?どういう事だ?
するとレインボーは俺の服を脱がし出して。
「もう!!魔術回路は断っています!!今度こそ······今度こそ始めましょう!!さあ!!」
「いやもう大丈夫ですから!!なんか妙にあの感じが無くなってますから!!お互いの為に止めとこう!?ね!?」
「問答無用!!」
その後、我に返った鈴音の話では、首を締められた鳥のような叫び声が聞こえたという。




