表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
75/287

EX.74 「レンアイホラー」

 しかしまあ······どうするべきか······。


 あれから未だに一時間も経っていない。今日あれ程飛ばして飛ばして飛ばしまくったのに······。


 シャワーの音が聞こえてくる。


 いや、聞こえてくると言うか、実際俺が浴びている。少し冷た目の水を頭に当たって、先程までの自分の愚行を思い出してしまう。


 そう、カレンの胸に頭をうずめて、そのまま彼女に頭を撫でられたまま寝ている女の子面の男の子······分かるかい?俺は数秒で分かるよ。


 さあ、久し振りに行こうか。a連打の嵐を。


 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!


 何で?何であんな事になったの!?ちゃんと冷静になって考えろよ俺!!って言うか前日くらい寝とけよ俺!!夏休みの宿題潰したい理由だからって明日の為の余力くらい残せとけよ!!


 絶望に切望になお絶望。話せば話す程頭がおかしくなるほど脳が沸騰していって、しばらくは会いたくなくなる程に羞恥心が爆発し、エクスプロージョンしていった。


 ······でも、寝やすかったのは事実だ。


 そう認めてしまうとこれからが危険になってしまう。


 認めるなよ······認めるな······。


 ······女の子って、意外と温かいんだな。


 ······························。


 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!


 まただよ!!落ち着け!!


 俺はグーで脇腹を殴り、気持ちを落ち着かせる。


 落ち着かないけど。


 しばらく説明していなかったが、俺が女の子と間違われる理由の一つにこの周り曰くこの華奢な身体も入っているらしい。


 俺はある意味忌々しいこの身体をなぞり、それでも俺の身体だと諦めようと努力している。


「ふうっ······」


 長い髪と身体を洗い終え、俺は風呂場から出ていった。


 そして目の前にあるのは水色のパジャマ。


 もちろん俺のじゃない、そもそも泊まりを想定していなかった為持ってきているわけがない。


 下着辺りはもう諦めて今日の物を履くが、そこのパジャマを着るしかなかった。


 そしてもちろん俺のじゃないのなら、答えは既に分かっている。


 これ······どうすれば······。


 俺はきれいに畳まれたパジャマを見て苦い顔をした。


 @@@@@


「お風呂借りました······」


「は〜い!······ん?私はこんな美少女を泊めてたっけ?」


「泣くよ?」


「それだけは止めて、ごめんなさい」


「それでよろしい」


 暫しの沈黙。すっごく気まずいんだぁ〜コレ。


 するとこんな様子に気づいたのかカレンは、パッと和ます様に笑顔になった。


「いや、ちょっと映画が見たくてね」


「映画?昼でも良かったじゃないか」


 昼は寝てたけど······と自虐的にそう思うと、俺の狼藉が溢れてきそうで顔が赤くなる。


 それはどうやらカレンも同じ様で顔が赤かった。


「あああ、暑いねぇ〜やっぱ夏だねぇ〜」


「そそそ、そうだなぁ〜暑いなぁ〜」


 同じ様にどよめいて、でも、それが面白くて二人で笑いあった。


 一通り笑いあった後、俺たちは映画を見る為に準備をした。


「今日はこれを見るんだ!!」


 カレンが喜々として見せてきたのは『DEAD END』、要はホラー映画である。


 彼女がこの作戦を考えたのは前日の話。


 @@@@@


「どどど、どうもこんにちは吉田先輩!!ははは始めまして!!」


 猿渡 彩芽。吉田の所属する図書委員の後輩。結構リスペクトを受けているらしい。


「彼女は?」


「あなた『吊り橋効果』って知ってる?」


「えっ自己紹介させてあげないの?」


「恐怖のドキドキを恋のドキドキと勘違いする事よ」


「あっ本当に自己紹介させてあげないのね」


 私が彼女の後輩扱いに呆れていると、その後輩くんは満足げだった。なら良いけど。


「だから······ほら、出しなさい」


「はいっす!!」


 名前を呼んであげて!!あとカツアゲかな!?


 私が心の中でそうツッコむと彼女は幸せそうな顔をしていたのでこれ以上言わないように、思わないようにしておこう。


 そして彼女が出してきたのは『DEAD END』ホラー映画らしい。


「怖さは程々何で大丈夫ですよ。私の先輩にはこびる虫」


 今とんでもない事言わなかった!?


「あっすみません!!口が滑りました」


「わざとだよね」


 昨日にこんなホラーよりも意外と怖い出来事だった。


 @@@@@


 さてまあ私にこんな奥義を神武器を手に入れてまさに鬼に金棒状態、落とすのはアキヒトくん一人!!


 ふふふふふふふふふふふ······!


 プランAアキヒトくんがホラー耐性アリ。


『きゃーこわ〜い!』


『うおっ!!大丈夫か?』


『うん······アキヒトくん、温かい』


『そうか······』


 HAPPYEND!!


 プランBアキヒトくんがホラー耐性ナシ。


『す······すまん······』


『大丈夫だよ!!私がそばにいるから!!』


『ありがとう······カレン······』


 HAPPYEND!!


 猿渡さんのおすすめのホラーもの······パターンA·Bどちらに転んでも······


 確約された勝利の未来······!!


「ふふふふふふふふふふふ」


 そんな彼女の笑い声にアキヒトが少しばかりビビっていた。


「よっぽど楽しみだったんだなコレ······」


「え!あ······うん!!」


 彼が隣にぽすんと座ったときに私はあることに気が付いた。


 ······もしアキヒトくんが強度のパターンBで······これがトラウマになったら······。


 ······いや!私のあふれでる聖母パワーで(笑うところ)そこはカバーできるはず!!ここでポイントを稼いでおかないと······!!


 ······アスナに······追いつかれちゃうような気がして······。


「?観ないのか?」


 ······正直カレン観てるほうが······面白いな······何やってるんだか······。


 アキヒトの目の前にはうにゃうにゃと動き回るカレンの姿があった。


「······よしわかったアキヒトくん!!私が責任とって面倒みるから観よう!!」


「?······はあ······」


 @@@@@


 ぎゃーーーー!


 ギャァァァァァァァ!!


 ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


 @@@@@


 結果。カレンは震えあがった。


「······あの、終わりましたけど······お茶でも入れようか?」


「ぴゃ〜〜〜〜〜ーーー(ひとりはいやだ)!!!」


「あの、カレン?」


「ぴゃきゃぁぁぁぉぁぁ(そばにいろ)〜!!」


 ······確かに思ったよりいい出来の映画だったが······カレン、ホラー苦手だったのか?何で観ようなんて言ったんだ?······と言うか。


 折れるからそろそろ止めて!!


 時々腕からミシミシ言って怖いんだよ!!


 ぴゃきゃぁぁぁぉぁぁぁ〜ぴゃきゃぁぁぁぉぁぁぁ〜と彼女の叫びは続くのであった。


 @@@@@


「ちょっ!!ここかレンのベッドだろ!!」


「だったらアキヒトくんのベッドじゃない!!」


 よく分からない言葉を発して絶叫するカレン。


 あのあと幽霊を見た!!と言うカレンの叫びにより引っ張られた俺はベッドに無理やり押し倒された。


「ギャァァァァァァァ!!幽霊ええええい!!」


「ただのシミだよ!!」


「ギャァァァァァァァ!!日本人形ォォォォ!」


「何でそんなのあるんだよ!!」


 まずい、このままじゃ近所迷惑でカレンが白い目で見られてしまう。


 俺は気持ちを張って、カレンを優しく抱きしめた。


「ふぇ?」


「ひっ人肌は落ち着くって聞くからな······昼の恩返しだよ」


 するとカレンは、ふひひひ、と笑って。


「役得だね。コレ」


「うっさい、はよ寝ろ」


「うん、おやすみ」


「おやすみ」


 俺は彼女の頭を撫で続けた。


 すると彼女はこそばくとも、気持ちの良さそうな顔をした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ