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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
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EX.52 「兄弟喧嘩」

始めまして‼

『平成』よありがとう‼

そして、『令和』おめでとう‼

「殺される······って、どういう事!?」


 カレンは叫んでいた。


 カレンの頭の中は混乱していた。


 頭が回らず、思考の処理を行わず、彼女の頭は思考の波に溺れるだけだった。


「俺があいつに負ければ、魔王を守るやつは誰もいねぇ。だからこそだ俺はあいつに殺されたフリをしなけりゃならねぇ」


 その言葉には打算などを伝えていたが、カレンは彼にアキヒトの姿を重ねた。


 自分の事よりも相手の事を考え、自分がどれほど傷つこうとも気にせず戦い、戦い、戦いその中で死んでいく弱い魂。


「たった一つだけ、約束を守ってくれるならこの事は許してあげる」


「何だよ、お前は許される側なんじゃねぇのか?」


「守りなさい」


 ガオウは力強くため息をして「言ってみ」と応えた。


「アキヒトくんと本気の勝負をして······アキヒトくんはアキヒトくんで確実に作戦をたててくる。そんな相手に負けるが前提の戦いは酷すぎるでしょ······それに」


「それに?」


「アキヒトくんは絶対に負けないから」


 すると、「くっ······ははははは!」とガオウは笑った。戦いの最中のような禍々しい笑いとは違って、健全な青少年の笑い方だった。


「ああ、いいぜ。約束してやる」


「それでも勝つのはアキヒトくんだからね」


「言ったな」とニヤリと笑いながら手を差し伸べてくる。


 握手の合図だ。


 私はぐっと握り——————


「私の名前は余島花恋、アキヒトくんの将来の奥さんだからね。よろしくね、お義兄さん」


「ククク!こんな宣戦布告を仕掛けてくる女は初めてだな‼俺はガオウ·レオン·ハザァードだ。約束は絶対に守ってやる」


 @@@@@


 まあどちらかと言えば、彼が死のうが生きようがどちらともいいが、流石にあの爆弾発言は不味かった。これじゃ、次会ったとき付き合っていなかったら悪い顔してニヤニヤされるだけじゃん‼


 カレン·イン·独房


 彼女は今になって顔を真っ赤にして悶ていた。


 やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい‼


 どうしょう!?やばい全然頭が回らない‼いや、違う意味では回るけれども‼


 ゴロゴロしながら悶ていたカレンはそろそろ続きに基づいて、ガオウが言っていたあの言葉を思い返していた。


『俺はあいつに殺されなきゃならねぇ』


 あれはどういう意味だったのだろうか。もしかしたらもう一度生き返る術を持っていたのだろうか。


 この世界は『能力者社会』死も生も巡り巡って当たり前の世界なんだ。


 だけど、それで自分が死ぬことはアキヒトくん······つまり、弟に殺されるってこと······アキヒトくんに迷惑をかける、いや、彼の心にこれ以上の呪縛をかけるって言う事······


 カレンはそろそろ決心をつけて牢屋の扉を開けた——————


 @@@@@


「"ジ·アース„‼」


 左手にムーンフェアリー

 右手にインピンジメント。俺の奥の手の"二刀流„で、さらにムーンフェアリーにさらなるブーストをかけてある。


誓われし友との絆(レジェンド)


 本来、ムーンフェアリーは刃の部分は黒く鈍く造られている。


 しかし、一時的な覚醒として、本来の力を解放させる事が出来る。


 刃は鮮やかな白に変わり、切れ味もその数十倍に跳ね上がる。


 もちろんこれにも代償はあるが、『約束されし友情の証』よりかは圧倒的に小さい。


 一発逆転の一撃か、希望の連撃か——————


 そのどちらが良いかは未だに語りきれてはいないが、俺はどちらかと言えば。『誓われし友との絆』の方が好きだ。


 この状態で剣を振っていると、まるで昔からあった筈の自らの一部が蘇ったかのように思えるから——————


「うおおおおおおおおおおおおお!」


 "二刀流„『最上位奥義』"ジ·アース„は怒涛の『30連撃』だ。


 一撃、ニ撃と確実にヒットさせ、ガオウに連撃を喰らわす。


 これが······今の俺に出来る······最も強い技だ······‼


「うおおおおおおおおおおおおおお‼」


 十撃、十一撃と連撃が連なり、俺の動きがもっと加速していく——————


 まだだ······もっと······もっといける······‼まだいける‼


 右手の剣が閃き、連撃中の最速の五連撃がガオウに突き刺さっていく。


 その度に「ぐはぁ‼」と血反吐を漏らし、血を噴き出す。


 十七、十八、十九、二十、二十一、二十ニ、二十三、二十四、二十五、二十六、二十七、二十八——————と、連撃が加わり、加速し、増大していく。


 連数が増える度に、剣が纏うオーラの総量が増えていき、爆発するように、脈動するように、流動するように膨らんでいく。


「うおおおおおおおおおおおおおおがあああああああああああ‼」


 俺の声もなくなり、ただ叫ぶだけしか残っていなかった。


 叫ぶ事でしか、自分を殺すことが出来なかった。


「ぐぉぉおあああああああ‼」


 ガオウは"龍爪拳„のポーモーションを、俺は二十九連撃目の『リヴァイント·ストライク』に酷似した、右手の全力の一撃を互いに襲う。


 二つの音が鳴った。


 一つ目はガオウの爪が割れた音。


 そして、もう一つは右手に持っていた剣——————『インピンジメント』が粉々に折れた音だった。


 ごめん······と、俺は右手の剣に呟き、三十連撃目の左手の上段斬りを——————全力で降る。


「うおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああ‼」


 ズバン‼と力強い音が鳴り、ドドドドドドドドド‼と後ろに斬撃が飛んでいった。


 ガオウは倒れなかった。


「ハァ······ハァ······ハァ······ハァ······もう終わりか······?」


 残った意思力で立っているガオウはまさに『強い』の権化であった。


 ここで屈してしまったら、もう二度と勝てないような絶対的な壁——————そう俺は不覚にも考えてしまった。


 かっこいい——————と。


 でも······ここで······


「負ける訳にはいかないんだぁぁぁあああ‼」


 もう、剣を握る力も残っていない。でも、何故かこの時は力が入った。まるで、くれたかのように——————


「ぬぉぉおおおおおおおおおおおお‼」


 ガオウもどこにそんな力が残っているのかと思えるような迫力で俺に向かってくる。


 ドシッと二人の拳が重なり——————ガオウが倒れた。


 そして、意識を失う前にこう言った。


『強くなったな······アキヒト······』


 俺はそんな言葉に——————


「違うよ······あんたが弱くなったんだ」


 俺はそのとき何故か「そうか」とガオウが呟いた気がした。


 @@@@@


「アキヒトくん‼」


 俺達の居場所にカレンが現れた。


 逃げ出した······と言うべきか、逃されたと言うべきか······


 全く、くえない奴だ······と、俺は倒れたまま動かないガオウを見る。


「大丈夫?」


 それは恐らく、俺とガオウの傷を見て言ったのだろう。


 俺の傷は大丈夫だ——————そして、


「後は任せた」


「うん」


 そう言って俺は更に奥に進んで行く。


 既に他の皆には、ここで待機しておいてくれ、と言っておいた。


 不意に背中を押された気がした。


 もう後ろには誰も見えない筈なのに——————それなのに俺は不意に勇気が湧いてきた。


 @@@@@


「チッ‼ガオウの奴はしくじったか」


 そう、俺を見るなり『魔王』コルキス·アドバンテージはそう言った。


「まあ、たかがゴミだ。やれる事もゴミ程度の事しかできなかったのだろう‼」


 そう言って高笑いをする魔王。


 俺はそんな言葉に耳を貸さず。無音で魔王の目の前に立った。


 はぁ!?と素っ頓狂な声を魔王は漏らすが、俺には全く関係ない。


 ただ、力を込めて、怒りを込めるだけだ。


「まずは······カレンの分だ‼」


 俺は復活した力で、全力の力と怒りと祈りを込めて——————殴った。

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