EX.4 「ただの平凡な日常」
「お兄ちゃ〜〜ん、それ取って」
「ん、了解」
「いや、お前の方が近いだろ···」
俺の行動に多少ながら呆れている弟を横目に妹の方が近い所にある醤油を取り妹に渡す。
俺は兄だ、だから下の子のわがままは軽く聞かなければならない。
「あっ、そういえばお兄ちゃん、お兄ちゃんのプリン勝手に食べたのあたしだよ」
「おいいいーー!鈴音!お前だったのかよ昨日はあれほど違うって!」
「いや〜、モフに、流石にだめですよ、って言われたから告げ口される前に言おうかと···テヘッ」
「テヘッ、じゃねーよ俺の···俺のプリンが~ー!!」
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「全く!何なんだよホントに!間食ばっかりすると絶対に太るぞ‼」
「ざんね〜〜ん、あたし運動してますから太りませ〜ん、ほらほら〜〜」
そう言いお腹を擦る、スズよそれは妊婦さんがとる行動だ。このままでは気に食わない自称落ち着きのある兄である俺は鼻で笑い
「そんなんだから胸に栄養奪われて身長伸びね〜んだよ」
「うるっさぁーーーい!!胸はともかく身長はまだ過程なんだから、だから!」
「お前がうるせぇーよ!全く……学校であだ名が『乳牛』だったら俺は流石に心配するからな」
ビクッ
·········え·········、?
ちょっとまてなんだその反応流石に心配になるんだが……。
「鈴音さんは、『乳牛』じゃなくて『乳お化け』かもしれませんねぇ〜」
空気が凍った
しかも、その原因は―――――――
「おいこらモフ‼流石にそれは言い過ぎだ‼」
「うわぁぁぁあああん、ひどいよモフそんなこと言うなんて」
「えっ、そこまでですか?まぁちょっと言い過ぎた所もありましたけど···」
「ちょっとどころじゃない‼これは世界の巨乳さんなら全員泣く!」
「そこまで‼」
おそらく、こいつで現在この家にいるメンバーは揃ったらしい。
トンッ···
「「えっ?」」
そこには、俺がついさっきまで座っていた所にナイフが刺さっている。しかもこれは『バターナイフ』なので刺さる訳がない筈なのに―――――
「おい···さっさと食卓について飯を食え」
「······はい···」
我らの食卓の魔王 悠人さんがど怒りモードで俺ら……いえ私達にそうおっしゃっていた……
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醤油をかけた目玉焼きを頬張ってハムスターの様になっているのは妹である 鈴音 彼女は『糸』の能力者であり、裁縫に適した能力を持っているが剣道をしている為、れっきとした運動少女だ。
そして、先程まで食卓の魔王様に君臨していたのは俺の弟である 悠人 彼の能力は存在していない、『無能力者』ではなく昔俺の親父が封印したと言っていた、が正直よくわからない。鈴音よりかは運動はしないが、料理の腕はピカイチ、昔 親父に連れられて色々な料理を見てそこから興味を持ったらしい。
この二人は俺にとっては結構、特別なのである。兄弟だから、という意味ではない、兄弟ではないのだ、つまり義兄弟、ちなみに俺と悠人が養子縁組でこの家にいるだけで、この家の主である宮田家夫妻の本当の子供は鈴音だけだ、だけどそれを関係なく愛してくれたので、この上なく幸せである。
両親の顔も名前も知らない、それは悠人も同じ様に―――だからこそ、俺達は今の両親は本当の両親だと思っている。寡黙だが、自分達が本当に困ったときは、必ずヒントをくれて助けてくれる親父、明るく元気で暗くなったときに支えになってくれている母さん。この二人には何度も助けれ本当に尊敬している。
ちなみに、この家には母さんが飼っているぱっくんという名の魔獣が存在しており。度々現れる。
そして最後にモフだが、今は人間の形態をしているが、本当はそうではない。元々は鈴音が能力で初めて創り出した『人形』であり、それを俺が勝手に弄って人造動物にしてしまって当時5才の鈴音に本気で怒られた。しかし、モフはこの家族に受け入れられ今はハウスキーパーのような存在になっている。
これが俺の家族『宮田家』の面々である。
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まぁそんな長ったらしい前置きは置いておいて
「なぁハルト、仲間になってくんねぇ?」
「仲間?なんの事だ?」
「ほら、マンガでギルドとかそういうのあるじゃんか、それみたいなことしようと思うんだ」
「へぇ…ちなみに他のメンバーは?」
「俺とユウスケ、あと山本も参加するんだ」
「おぉ師匠も参加するのか…なら、俺も参加するか···」
「やった!」
俺は目の前にあった朝食をすぐさま平らげ
「じゃあ、報告とかは俺がするからな」
「おっ、おーけー」
こうして戦える料理人を手に入れた