EX.45 「女の戦い(前編)」
「お前カレンに何言ったんだよ!?」
「え···?何言ったって、何?」
金曜日の3時間目と4時間目の間という一番お腹が減る時間帯に俺、岡田智樹の所に来たのは1組のアキヒトであった。
「ほんとにさっきからまずいんだよ‼色々と‼」
「······?ほんとに何が言いたいんだよ?」
「お前元カノと二人目の彼女とか言い間違えるな‼」
「ああ〜あの時か〜」
つい昨日俺は間違えて話してしまったのだ。『二人目の彼女』と———だが、言葉のあやと言うものがある。
「なんだよ?何かあったのか?」
「あいつが俺達にしつこく聞いてくる」
「oh·········」
なんだろう······悪い気がしてきた。
「しかも、それのせいで吉田がグロッキー状態になった」
「·········すまん」
その悪い気が現実になった。
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「ねぇ?ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ?教えてよねぇ誰なの?言って言って言って言って言って言わないと絶対に離れないよ?ねぇねぇねぇ?」
「うるっ·········せぇぇぇぇええええええええええええええええええええ!本当に離れてよ!お願いだから‼」
遅かったか······俺達がここに来た頃には恐らく何十分もしつこく聞かされたであろう吉田さんがグロッキーを越えてヒステリックに叫んでいた。途中から、もう限界がきすぎて叫び方が男っぽくなっていた。
すると吉田はまるで神を見つけたかのようにパァァと笑顔になった吉田が俺が「やな予感」と言う前に———
「あそこにご本人がいるわよ‼聞いていらっしゃい‼」
「教えろぉぉぉぉ‼」
「ギャャャャャ‼」
「ちょっと待って‼盾にしては駄目だ‼バーサーカーとガンナーは相性が悪いと昔からの言い伝えがある‼」
「お前が撒いた種だろ!お前自身が回収しろよ‼」
「ヤダよ‼元凶はお前だろ‼お前がなんとかしろよ‼」
昔からの言い伝えって何なんだよ!?と思ったが俺はずっと岡田を羽交い締めする。
「アキヒトの元カノなんだ‼決して二股をかけていた訳じゃないんだ!」
するとカレンがピクッって止まる、なんだろう、と疑問に思ったが、カレンの行動は口を動かした事だった。
「誰······?」
「「?」」
「誰!」
「星空先輩です」
「おい‼」
軽いな!?口、軽いな!?
「すまん······これ以上黙ると数秒で殺されそうな気がしたんだ······」
「だからって早すぎるだろ!?バーサーカーだってもうちょい我慢するぞ‼」
「俺達はFateの住人じゃないんだ、バーサーカーはセイバーじゃないと止められないという現実なんかない······俺はアーチャー派だからな」
「お前の好みは知らねぇよ!?······ちょっと待って‼抑えようか‼ほらほら頭撫でてあげるから不穏なオーラを閉じて!?」
「分かった」
「「え?」」
嘘だろ!?効くのかこれ!?
「星空先輩を殺す」
「·····················」
俺は絶句した。
岡田も同じくらいなんだろう。
どうやらカレンさんはヤンデレタイプの人類———バーサーカーさんらしい······
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放課後、アスナは校門前で待っていた。
「遅いなぁ······今日、日番だっけ?」
そう呟いたのと魔力で作られたボールが飛び出してきたのは同時だった。
「ぇ···キャアアアアアアア‼」
私が伸びをしようとしていたのが私の運の良さがでてきたのか、反った瞬間にその鼻先をボールが通ったのだ。
ちょうどチッ、と鼻先を掠れた時に爆発して、威力自体は弱かったものの私の体は軽く吹き飛んだ。
「誰!?」
「殺す」
え···と呟いた時に彼女が現れた。
見たところ中等部の制服、ピンから見るとアキトくんと同じ3年生だ。でも、どうして。
私は能力『二次元』で『有限貯蔵庫』に入れておいた『サテライト·テンペスト』を取り出しだ。
「理由は知らないけど。掛かってくるなら容赦はしないわよ」
そうしてアスナは細剣の剣先を彼女に向けてそう言った。




