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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
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EX.34 「チャット画面の悪意」

『えっ、何これどゆことwww』


『ケータイ戻ったのかのか、やったぜ』


『うおおおおおおおお‼まじかああああああ‼』


『待て、冷静に考えておかしいだろ』


『良かった〜彼氏と連絡しよ』


『マジこんなことやった奴、氏ねよ』


『wwwwwwwwwwwwwww』


『どうなったの?コレ結局どうなったの?』


『マジ英雄無能wwww』


『いやいや、英雄がやってくれたんでしょ』


『この事件の真犯人、自白よろ』


『ちょっとちょっとみんなみんな聞いてよ〜〜この画面から動かないんだけどぉ〜』


『マジで?うわああああマジだああああ!動かねぇぇぇえ‼』


『一体どうなってんの?』


『やっぱ英雄だよりじゃね?』


『はああああああああああ〜〜頑張れ〜〜』


 -----


「むうぅ······」


 岡田は突然現れたチャット画面よりも、気の抜けたメッセージトークに多少頭を悩ませていた。


 結局今は人頼み―――いや、英雄頼みと言うだろう。


 能力の弱い者や年齢的に危ぶい者はもはや必然的に強い者に依存する。


 強い者が、弱い者を護るのが当たり前と考えているからだ。


 俺はそれは違うと思う。何故ならば、強い者はそれなりにリスクが存在し、まずそのリスクをゼロにするのに躍起にならなければいけないからだ。実際アキヒトはあの能力はかなりのエネルギーが必要とし、最高で1日に象1、2頭のエネルギーを必要とした時があったらしく、当時4歳未満だった少年はたった数分に一度食事しなければいけない身体になったらしい。


 今になって能力の制御が出来、その時使った能力以外の能力は多少のエネルギー(ご飯1粒程度らしい)は消費するものの、普通の生活が出来たらしい。


 リスク無しに強くはなれない。


 弱い者は単にリスクを恐れて、努力するのを諦めて、『逃げ』を求めた者だからだ。


 本当に強い者はリスクを恐れて尚、努力し強さを求め、そして強くなり、その上弱者を助けようとする傲慢さが存在する者だ。


 他人だよりは本当に簡単で、

 自分自身で行うのは圧倒的に難しい。


 俺は『強く』なる方を選んだ。


 今、デジタルの世界で戦っている彼の後ろ姿を見つめて――――自分自身が必要とする『強さ』を求めて。


 @@@@@


「······さん!岡田さん‼」


 はっ、と目覚める。


「携帯をじっと見つめてどうしたんですか?」


 どうやらこの声の主はモフらしい。


 俺は額の汗を拭き取りキーボードを叩く。


 今ここで出来るのはアキヒトの援護だ。


「アキヒト気をつけろ‼アイツは何をするか分からない‼」


 @@@@@


 分かってる――――とは言えなかった。


 相手は腕と足(恐らく)の6本で無数の刺突を繰り出している。


 俺はそれを剣1本で全てを弾く、だがそのせいで自分の攻撃が繰り出せていなかった。


 ダメージ覚悟で攻撃するのはまずい。


 最初の一撃のように岡田により強固にしてもらったアカウントやアドレスが更に弄られるのが怖いのだ。


 今まで来たことの無い世界で今まで出会ったことのない種族との戦い。もちろん危険はつきもの。


「ゲ「ゲゲ「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ‼」


「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおあああ‼」


 俺の全力の縦斬りと化物の6本同時の一撃が重なり、強い爆発音が鳴った。


 @@@@@


 ピ〜ンポ〜ン


「ん?ちょっと今、忙しいんだが······」


「あっ、私出ますよ?」


「頼む······え?」


 ちょっ···ちょっと待て、お前妖精じゃ無理じゃ···という言葉を聞く前にレインボーは進み出す。いつもの羽ではなく、その足で―――――


「え···?」


「知らなかったんですか?レインボーさんは人型にもなれるんですよ」


「知らないよ⁉っていうか、じゃあ最初からそうすればいいじゃんか⁉」


「エネルギー消費が凄いらしいですよ」


 ――――と、そんな会話をしている合間も岡田はキーボードを打ち続ける。


 この戦闘の中、少しでも気を抜くと剣が折れるからだ。


 元々、アキヒトの使っている剣は『捨てデータ』で造られた物であり、その修復方法もデータでしかないからだ。


 連撃の中、削れ続ける剣を岡田はデータを貼り付け続け、最初の時のように耐久値を戻していった。


 これは云わば耐久力レース。


 岡田―――もしくは、アキヒトの集中力が少しでも切れたら剣が折れ、すぐ様にアキヒトにその脅威が襲いかかるからだ。


 頼む······早く終わらせてくれ···。


 そう思うが如く、二人の生物の攻撃が重なり合い、鋭い爆発音が鳴った。


 @@@@@


「おじゃまします······って誰ですか⁉」


「ああ!いたぁ‼」


「うわぁぁあああ!」


 3人がそれぞれの反応をしたが、簡単に言うと全員が『驚愕』であった。


 目の前の虹色の髪をした少女が、すぐ様逃げようとした『電脳(デジタル)』を掬い捕まえ拘束した。


「ぎゃああああああ!助けてくださいイイイ‼殺されるぅぅぅ‼」


「殺すか殺さないかは後にして急いでくださいアキヒトが危ないです」


 アスナは驚愕した。


 何故なら目の前の少女は自分がよく耳にする、よく口にする言葉が出てきたからだ。


 そこからは簡単だ。アキヒトを知っていて、その際この家に住んでいる人物を割り出せば···。


 思考、刹那の時間。


「あっ···レインボーちゃん⁉」


「邪魔な人間はさっさと帰ってください。この子を戻してくれたのはありがとうございました」


 社交辞令が返ってきた。


 しかも心底嫌そうな顔で···。


「っていうか本当にレインボーちゃん···?何で人間の姿なの···?」


「急ぎますよ『電脳』‼本当に今は不味いです‼」


 思いっきり無視されたアスナはそのまま家の鍵を閉め、靴を脱ぎアキヒトの部屋に向かった。


 ふと、頭に彼女の言葉がよぎった。


『アキヒトが危ないです』

『本当に今は不味いです‼』


 アキトくん···今、何が起きているの···?


 @@@@@


「もぎゅゅゅう!」


「どうしたの⁉」


 結局その後レインボーの奮戦虚しく(けろっと吹っ飛んでいった)アスナは部屋に入っていった。


『電脳』はあの後自分の力をフル活動し、今目の前の生物の存在を探し出すことに躍起になっている。


 その後、モフからあらかたの説明を受け、目の前の画面に映っているのがアキヒト本人であることを知った。


 そして、今戦っている生物の存在も―――――


 そして、その後モフの叫びを聞きアスナが「どうしたの⁉」と聞いたのだ。


「チャット画面を見てください」


「「チャット画面?」」


 アスナとレインボーの声が揃い、レインボーはとても不満そうだったが、少なくとも今は暴れる気はないらしい。


 そして、2人の目の前にはある文字が写し出されていて。


『ここでクーイズ‼

 パンはパンでも食べられないパンはなぁ〜んだ


 20万人が答えられなければある国から爆弾を拝借して星を破壊します』





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