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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
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EX.33 「生物の目的」

「うわぁぁああああ‼アキヒトォォォォ〜‼アキヒトアキヒトアキヒトォォォォ〜‼」


「ちょっ‼落ち着いてくださいレインボーさん‼」


 あの後、モフ達はレインボーが覚醒したあと、アキヒトのしばらくの顛末を教えた。すると、まるで最愛の恋人と今生の別れがあったかのような状態となり、今現在アキヒトが映っている画面をドンドンと頭突きしている。


 ちなみにその想い人であるアキヒトは嬉しさ半分引くのが半分というなんとも言えないような表情をしている。


 こちらの方からはアキヒトの事は見えるのだが、アキヒトの方からはこちらの方は見えないらしく時々きょろきょろとしているが、レインボーの声が大きいので、どこから聞こえたか認識出来たらしくこちらの方を見ている。


 モフ自身は、んな大袈裟な、とは思うのだが。昔二人に何があったのかは教えて貰っていたので、流石に笑いはしないし、笑ったりしたらマスターであるアキヒトに怒られそうなので、絶対しないと深く心に決める。


「それよりもマスター、確か『電脳(デジタル)』の妖精がいませんでした?」


『いや居るんだけど、今はいないような···っていうか、どこかに行った覚えがあるんだけど···』


「全く‼忠誠心の足りない妖精ですね!」


 ここぞの時にあの場にいないレインボーに言われても···と思ったが、先程から額から血が出てきた辺りから頭突きでの突入を諦め、両手でバンバンと叩いているレインボーを見て、人間型で行動していない事に限りなく感謝して、これ以上興奮する様な事は言わないでおこうと思ったモフであった。


「私も···『電脳』の様な力があったら良かったのに···私も似たような『藍』の力があるけど···あれの主な力が『無限増殖』ですからね、アキヒトの力になれなくてすみません···」


『別に気にしてないし、レインボーの気持ちはありがたいよ。いつも助かってる』


「···はい!」


 アキヒトの言葉でパァァと泣き顔から笑顔に変わるレインボーの様子を見て、モフは先程から会話に参加せずパソコンのキーボードをカタカタとしている岡田の方を見る。


「どうです?出来上がりそうですか?」


「ああ、そろそろ出来上がりそうだ」


 そう言い終わると共にキーボードのエンターキーをタン、と押すとキュィイインと音と共にアキヒトの手元に歪な形の剣が現れる。


「うおっ‼」


「すまんな、本当はお前の持ってるムーンフェアリーの様な形に作りたかったが、少し難しくてな···フォルダにあった剣の形を真似させてもらった」


「フォルダ?」


「ああ、あの世界では既存するデータから作らないといけないんだよ。俺が今使ったのは、もう使わないデータ――――まあ『捨てデータ』と言うやつだな。アキヒト、どうだそいつの調子は?」


「いつもと変な感じだな。リーチや重さが違う」


「まあ完璧は難しいからな、そこまで責めないでくれ」


「了解です」


 すると岡田はパン!と手を叩き。


「今の所は表向きで政府は慌ててはないし、恐らくどの国もこのパソコンと同じ様に独自のインターネット空間を作ってるはずだ。だが、事件を解決するのに早いに越した事は無い。アキヒト、お前のアカウントとアドレスはより強固にしている。道案内は俺たちがするからアキヒトは安心してあの生物と戦ってくれ」


「何処通ればいい?」


「アキヒトの見える所から右側から7番目だ」


「おう!」


 俺は現実世界で空を飛ぶ時の要領でこの世界を進みだした。


 @@@@@


 あれから既に10分が経っている。


 今まで進んだ道を思い返してみると、電子などで造られた空間が『囓られ』ていたのだ。


 しかしなんであの生物はこんな事をしでかしたのだろう。


 岡田曰く、データを食べさせて貰いに来た、ということだ。


 データを食べる――――ようは『食事』だ。


 人間だって、動物だって、そこらの微生物だってすることだ。


 肉食、草食などある中であの生物は一応『データ食』と区別しておこう。


 だからこそなんであの生物はこんな事をしたのだろう。


 岡田がこの剣を作った時のように『捨てデータ』を食べれば良かったのに、あの生物はそうしなかった。


 区別しているのか?それとも、希少なデータだけを食べているのか?謎は深まるばかりだ。


 後者ならば話は難しくなる。何故ならば、国のレッドデータ―――機密情報はハッカーが10人がかりで10時間掛かる物が多い。だがそんな所に入るのは不可能だろうとは思わない。何故ならば、アイツにとっては『防壁』を食い破る事が出来るから。


 ·········そもそも何でこんな事になったんだ?


 え〜と、確か······反省文を書いていたんだよな?


 ん?反省文···はんせいぶん···。


『ボクがアキヒト様がすっごく反省していたことをアスナさんに教えてくるね!』


「あっ······あああああああああ!!!」


『もぎゅ!!!どうしたんですか⁉』


「やっと思い出した‼アイツ···『電脳』の奴はアスナの所に行ったんだ‼」


『『『え···ええええええ‼』』』


 その声はあちら側に繋がっている3人全員が異口同音で唱えた叫び声だった。


 @@@@@


 その同時刻 宮田家


 その玄関の前に1人の女性が立っていた。


 そばにはレンタルサイクルで借りたマウンテンバイクがあった。そしてサドル上にはある妖精がちょこんと座っていた。


 女性の特徴は山吹色とブロンズの中間のきらびやかな髪をしている。


 そして、その女性の名前はアスナ。


 ほんの2時間前にアキヒトの妖精の1人『電脳』にアキヒトが本当に反省していたことを伝えられ、自分も起こりすぎたかなと謝りに来たのだ。


「······って、いざ来たもののなんか緊張するなぁ···」


「アキヒト様に『全然気にしてないから大丈夫だよ‼』って伝えれば大丈夫ですよ‼」


「ホントかなぁ〜···」


 重い足取りでインターフォンを押そうとした瞬間。



 @@@@@


「見つけた!」


 データの大広間らしき所に奴はいた。


『アキヒト‼早急に倒してくれ。アイツは何をするか分からない‼』


「ああ‼」


 俺は壁を蹴り、最大速度で奴へと向かった。


「ゲ「ゲゲ「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ‼」


「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」


 互いに一撃を喰らわす。


 だが、俺は止まらない。このまま続けろ‼


 俺は少し腰を下げ剣を持つ左腕を引き追撃の準備をする。


 いくぞ‼


 俺は奴に向けて飛び出した。


 @@@@@


「えっ···?」


 岡田は違和感を感じた。


 アキヒトが戦っている風景ではなく、自分の手元にある携帯にだ。


 先程まで電源が入っていなかった様な状態だった携帯が光だした。


 携帯が普及したのか···⁉と最初は思ったが、画面に映ったのは最初の時同様にメール画面―――と似たような物で。


「チャット画面······?」


 そこには全世界共通会話用アプリCROWNであった。


『オハヨウ』


 最初に文字を打ち出したであろう人物は恐らく―――目の前の画面にいるあの生物だろうと、彼の思考全てがそう言っていた。

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