表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
31/285

EX.30 「名前決め回(未満)」

 ギルド―――それは、国運営のヒーロー中枢機関である。

 人々はギルド、もしくは個人に依頼を送り、ヒーローはその依頼を受け取り活動をする。

 依頼報酬は殆どがお金であるが、ヒーローはそちら側を重視していない。

 彼らにとってメインは順位である。

 AからHの8段階存在し、上に行くほど信頼と実力が分かる。

 その評価は主に活動実績で決まるのだが、そこで必要となるのが『ヒーローカード』だ。

『ヒーローカード』は実際は俺が雑に決めていて本当の名前は『英雄実績認定カード』だ。

 貰ったのが7歳なので、こういう雑さが見えてくるのだがそこはご愛嬌であり、今の俺にとっても気に入って、更に言いやすいのでそのまま愛用している。

 だが残念ながら、詳しい年齢は忘れたがとある少女に渡してあって、未だ出会っていないから存在しない。

 だから俺の評価はH―――最底辺のランクである。

 だからって周りが突拍子の無いランクを持っているのではなく、他6人もHである。

 要は最底辺チーム。

 周り流に言うとクズチームである。

 足手まといのみのチーム編成、だがレインボーはその話をした時、「私の目から見るに全員が全員それぞれのポテンシャルを持ってます。恐らくですが、いつかこの世界のトップをとれる様な実力を持つと思いますよ。あれ、信用ならないですか?でも私の観察眼は凄いんですから!まあもちろんアキヒトがこの中でも更に凄いんですからね‼」と言われた。

 俺もそう思っているし、別に感情的に感覚的に選んでいる訳では無いのでそれはそれは嬉しい忠告であった。

 だからこそ、胸を張れるし最底辺チームから最上位チームとなる下剋上も楽しめる。


 それはそうとそろそろ本編に行こうか。


 @@@@@


「―――と、いうわけで俺がリーダーでも良いですか?」


「異議な〜し‼」


「別に良いわよ······それよりも本当に貴方達は兄弟なの?」


 カットしたのだが、互いに自己紹介は済んでいる。俺·ユウスケ·山本·吉田·岡田の6人は元々同じ学校であり、その全員が何かしらの接点があったのだが―――問題はハルトと俺との関係だ。


 皆には兄弟だと伝えてある(面倒くさいので、義兄弟とは伝えなかった)。その面倒くさかったのが災い及んだのか分からないが、岡田はそれなりの反応で抑えたのに対して、問題は吉田だ。


 女顔で髪の毛も大部分は黒である俺と、金髪の男顔のハルト――――まあどう考えても兄弟と見えない、というのが当たり前の話なのだ。


 山本もユウスケも当たり前に知っていて、当の本人である俺達2人も、途中で呑み込んだ岡田もある程度この空気には気づいていた。


 吉田がそろそろパンクしそうになっていることを。


 彼女は別にスペック容量が小さい訳では無い。ただただこの状況に驚いているだけである。


「······なぁ、お前が伝えろよリーダーだろ」


 と、ユウスケが隣でボソッと言う。


 仕方ない。


 @@@@@


「――――――ということで、別に俺とハルトは同じ兄弟ではなくて、義兄弟なんだ」


「···なるほど、見れば見るほど私の頭がおかしくなったのかと思ったわ」


 彼女はふぅー、と息を漏らす。しかも冷や汗もひいている所から本気で自分の事が心配になったのだろう。


「一瞬、貴方の有毒分身かと思ったわ」


「そこに有毒である意味は⁉」


「金髪は毒だわ」


「お前、この世界の金髪に喧嘩売ったぞ‼」


「だったら、千切っては投げ千切っては投げをするだけだわ」


「怖っ···」


 こう発言したのは我らが有毒金髪であるハルトさんである。マジで千切っては投げを喰らわされるのかと思っているらしい。


「ジャーマンスープレックスでも良いわ」


「何故にジャーマンスープレックスは言い切れるのか⁉」


 こいつの事だから横文字アウトかと思ったら、ジャーマンスープレックスは言えるなんて、横文字度合いが偏り過ぎるだろ‼と思ってしまう。


「まっ、まあメインはそんなことじゃないだろ?さっさといこうぜ」


 この話の終止符―――もとい助け舟を出してくれたのはユウスケだった。ちなみに山本はさっきから会話に参加出来ていない。


「そうだな、今回集まって貰ったのはパーティーの名前を決めるためなんだ」


「名前?」


 そう、ようやく山本が会話に参加出来ていた。


「パーティー名が無いとやっぱりパーティーとして納得されないらしい」


 パーティーの便利さはパーティーメンバーの実績の一部を無条件で貰う事が出来るのだ。

 別にパーティーを作ることに俺は重視している訳ではないがやっぱりパーティーがいると安心出来るような感じがする、だからユウスケに頼んでパーティーを作ることになったのだ。


「つまり今からパーティーの名前を決めるんだな」


「ふん、だったら楽勝だな」


 @@@@@


 30分後、6人はぐったりとしていた。


 そのもたれ掛かっている机には恐らくパーティーの名前の予定案が書かれてあろう紙が散らばっていた。


「クソっ···並な難易度じゃないぞ」


 そう毒づいたのは岡田であった。


 ちなみに今の最有力案は『ヒーローズ』である。周りから見たらかなりダサいと思うのだが、他がもっと酷かったのだ。


「やはり『宇宙戦隊ア○厶』で良いんじゃないか?」


「そんな伏せ字になるようなパーティー名は駄目だろ」


「じゃあ吉田の『風雷神王武勇隊』とか」


「私の今さっきの黒歴史を明かすのは止めなさい‼」


「とっ···取り敢えず『ヒーローズ』としてパーティー名作っとくな···一応いつでも名前を変えることは可能らしいし···」


「そうだな···頼んだ、アキヒト···」


 あのハルトさんも妥協案を妥協したようだ。


 @@@@@


 俺は受付の前に立って受付嬢さんと話している。


「あの···パーティーを作りたいんですけど···」


「あっそれなら『英雄実績認定カード』を見せてください」


「えっ?」「え?」


「原則パーティーリーダーは『英雄実績認定カード』をお持ちでないといけないのですが···」


 頭が真っ白となった。


 @@@@@


 結論から言うと、パーティーを作ることが出来なかった。

『英雄実績認定カード』は再発行不可能だし、しばらくは無名のパーティー未満として活動する、と伝えた瞬間の彼ら彼女らの顔はしばらくは忘れられないだろう。


 @@@@@


 彼らが正式にパーティー結成するまで残り17日



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ