EX.28 「狙撃手の決闘」
屋上の扉がバン‼と開き一人の人物が現れた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁあああ‼おらぁぁぁぁぁ‼誰だぁぁぁぁぁああ‼」
「うわぁぁぁぁぁぁああああ‼すみませんんんんんんんん‼」
なんだこの状態は···これ、ただの悪役になってるじゃねぇか。
「助けてくださいぃぃぃぃ‼」
あっ···これあれだわ、悪役だわ。ここからヒーローとか現れて、俺がバチコーン‼とギャグマンガみたいに倒されるんだ。ギャグマンガみたいに(大事な事)。
「いっいや!そこまで怒ってないから!安心しろ」
慌てて弁明する俺―――すると、目にある光景が入った。
「空き缶···他に4つ?」
そもそもおかしいのだ、屋上にはフェンスがある。そして、他はそこらへんに転がっているのだ、残り1個は一体何故俺の所に落ちてきたのか。
すると、メガネの彼は慌てて反応する。
「いっ···いや、その···俺『銃士』の能力で、ちょっと力が入った時に、特殊能力技の『バーストショット』を撃ってしまって、吹き飛んでしまったのです」
「何があったんだ?」
「ちょっと嫌な事があって···」
「嫌な事があったら、物にあたっていいなんて、駄目に決まってるだろ‼」
「はい···すみません···」
何ということだろう、こういう場面の場合、手を腰に置いて説教したり、説教されたりする側は正座するんだな。無意識的に。
まあ、俺の場合は教師やアスナが俺に対して説教をかましている様子を真似しただけなのだ。
まあ、今はそんな事はどうでもいい。
へ〜、ふぅぅんん、くっふぅうん、なるほど〜、俺最近遠距離型の人物が欲しかったんだよなぁ〜。ちょうどいい。
「なぁ、えっと···お前の名前は?」
「岡田智樹」
「なるほど、なぁ岡田、俺の仲間にならないか?」
俺の差し出した手をパン!と弾いた。
「いいです、俺にとって仲間は都合のいい道具に過ぎないって···俺の今までの経験から、学びました。それに――――」
「人なんか信用出来ないから」
ぷちっ、と頭の中から音がした。
「いいや、今から俺はお前を決闘に申し込む‼明日ここで待っとけよ‼」
「えっ···?」
俺は別に情熱型ではないし、「やれるやれる‼」と叫び続ける様な人間でもない。ただ、アイツの···あの一瞬のあの言葉を出したあの時の目から黒い闇が――――まるで、ただ死を待っているだけの化物に見えたんだ。
よし、こうなったら、アスナには悪いが今日はもう一徹して情報を集めよう、そして明日の午前には準備をして、昼に一旦昼寝をして集中力をあげよう。
勝つために。
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そんな事を考えた次の日屋上にて、山本にその話をすると悲しい声が聞こえた。
「別に俺達は道具じゃあないぞ」
「ははは、分かってるに決まってるだろ。でも今に関しては結構お前は便利だからな」
「全く、お前ってやつは···」
俺の言葉に多少のため息が聞こえるが、彼の声からはかなりの信頼が聞こえた。
ちなみに、今俺は雲を集めてぺたんぺたんしている。砂いじりならぬ雲いじりをしている訳ではない――――能力を使っているのだ。
「今からちょっとお前に頼みたいことがあるんだ」
「?」
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「ふふふ、よくぞ怖気づかずにここに来たな‼」
「別に···暇だったし···」
ちなみに、今俺はテンションマックスハートである。要は完徹したのだ、朝の時点結局準備に手間取り、昼休み全部使って間に合わせたのだ。授業中レインボーに1分に1回ビンタをかましてもらっていた。俺の頬と、レインボーの掌と、あとついでにレインボーの心が赤く腫れた。
しかも、全力ビンタなので妖精の掌の可愛い紅葉型ではなく、真っ赤に腫れている。
バチン‼···バチン‼と1分おきに聴こえる哀しき音に皆も顔をしかめただろう。
授業が終わる度に津川(もちろん寝ている)から、「何やってんだ?」と声がかけられた。その度に毎回、毎回返答に困ってしまっていた。
「まあ、今から勝者の賞品を言おうか。俺が勝ったら、お前を半ば強制的に仲間に引き入れる。そして、お前が勝ったら―――特にない」
「はあ⁉それじゃイーブンじゃねぇーだろ‼」
流石にそこには反応する。だが、もちろんそれには返す武器を持っている。
「別に俺は『許す』なんて言ってなかった様な気がするんだけど」
「ぐぅっ···」
流石に昨日の事だし覚えているだろう、そして彼は成績上位にいる。忘れる事はないだろう。
だが、まあ···隣の山本の目がちょっと怖いけど。
「まあ、この決闘のお前の賞品は『俺に空き缶を当てた事を許してもらう』と言う事かな」
「それに、俺にもう二度と関わらないと誓ってくれ」
「ああ、負けたら約束する」
すると、岡田はニヤリと笑った。勝つ自身に溢れているのだろう。だが、こういう時は、周りの状況に気づけていないのだろう。
俺達が必死に作ったステージに―――勝利のステージに···。
「じゃあ今から始めようか―――決闘を」
俺は指をパチンと鳴らしてそう言った。
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決闘内容は『射撃』BB弾銃にBB弾を5発詰めて、同じく空き缶5個を並べて1発ずつ撃って、当てた回数で競う。
先攻はアキヒト
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岡田は考えていた。
何故、俺に目隠しをしたのかは分からないが、審判であり、立会人でもある山本直希なら大丈夫だろう。それに、あのアキヒトがこんな勝負にズルをする筈がない、そのメリットがない。
なら、安心して全力で、相手の事を尊敬して戦えばいい。
俺のこの技術がある。
『銃士』の能力を使って。
パン‼ カン‼――――当たった。
パン‼ カン‼――――また当たった。
パン‼ カン‼――――当たった。
パン‼ 音がない、外れたようだ。
パン‼ カン‼――――当たった。
「5発中――4発の当たり‼」
山本直希の声が聞こえた。
よし、と考えて岡田は目隠しを外す、目標の空き缶を5発全部当てるために。
なのに―――――
「ひぇゃぁあ!」
岡田の口から出てきたのは勝利の声ではなく、悲しい声であった。
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またまた話は遡る。
屋上、睡魔と戦い続けた昼休みの話である。
「高所恐怖症?」
「ああ、高所恐怖症だ」
山本の頭の中ではふとした疑問があった。
「でもここは屋上だぜ。そんな高所恐怖症の奴がこんな高い所に居るものなのか?」
すると、アキヒトは屋上のフェンスをカシャンと触りこちらを見た。
「本来、高所恐怖症なんてある種の呪いみたいなもんなんだ。一度何か起きた恐怖が脳自体に及ぼして高い所に恐怖を覚える。でも、呪いに解除方法があるように、病気に特効薬が存在する様に、高所恐怖症だって場合によって克服する事が出来るんだ。でも、それは大概出来ない事だから人はしない。そういえば、例外を言ってなかったな、例えばここ、屋上の端っこは高さが見えるから怖いと感じて、岡田がいた真ん中辺りならそう影響を受けない。そう単純なもんなんだよ高所恐怖症は」
なるほど、山本は思う。
要は何か『落ちた』という経験則が岡田の精神を縛りつけている、ということか。
「それで、どうするんだ?」
「それを最大限利用する」
うわぁ、と山本は思うが、まぁそれはそれで方法か、と納得する。
「あの時さ、アイツの目からまるで死を待っていた化物の様に感じたんだ」
不意にアキヒトがそう言った。
「だからこそ、俺の出番だろ?」
「化物を殺す事が出来るのは同じ化物なんだから―――」
そして、アキヒトが能力『雲』で作った長方形型の雲を山本の能力『圧力』で更に丈夫にして、ステージを作り上げた。
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岡田は焦っていた。
もう、意識を殴り捨てたいとは思っていたが、意識を失くした瞬間負けを認めるかもしれない。
撃つしかない。
パン‼ 音がない外れたようだ。
やばい、もう後がない。
パン‼ カン‼よし、当たった。
パン‼ カン‼なんか後ろ辺りから「なぁっ⁉」と声が聞こえた。
パン‼ カン‼「ギャー!」とも聞こえていた。
こんな勝負の中で不意に考えてしまった。
楽しいな。
岡田にとって友達という存在はいなかった。
友達は利用するかされるかの2択、そして岡田は後者の人間だった。
搾れるだけ搾り取られて捨てられる。
そんな人間を信じられなくなり、そんな人間関係が邪魔臭くなっていた。
しかし、今は無意識に感じていた。感じていたんだ。
本当、面倒くさい人間だな俺って···。
俺が撃つたびに後ろの二人が「なぁっ⁉」とか「ギャー!」とか、色々な声が聞こえた。
それがなんか楽しいと感じていた。
こいつらと一緒にいたらもっと楽しめるんじゃないか、とも考えていた。
本当捨てられないな。
岡田は撃つのを止めて降参のポーズをとった。
「だめだ···無理、降参だ」
すると、二人から「やった‼」という声が出た。
「じゃあ、俺の仲間になってくれるか?」
「ああいいよ、負けたらそういう約束だからな」
岡田の心は落ち着いていた。
こんな高い所なのに落ち着けるものなんだな、と考えていた。
パン‼と残りの1発を撃ちカン‼と空き缶を当てる。
「お前たちの『狙撃手』になってやるよ」
こうして、俺達の仲間に岡田智樹が加入した。




