EX.20 「凶器の一撃」
その後、ミシェーラなど色々な方々に追いかけられ、ぎりぎりの所で逃げ切った。流石に一般市民を傷つけるのは不味いのでただ逃げるしかなかったのだ。
今は、ある洞窟の中三人は話し合いをしている。
「もう、全員が傀儡化されているってどういう事ですか?」
「端とした話をしてたから全然気づいていなかったけど、妙な空気を一瞬感じたんだ」
「要はどういう感じ何だ?」
「何か···こう···まるで同じ人物が何人も増えた感じだったんだ」
「でも、『分裂』の能力だって可能性があるんじゃないんですか?」
「いや···そんな感じじゃないんだ···何十人って単位じゃなくて何万人、何億人って単位で感じたんだ」
通常能力には限界がある。
しかし、その限界は能力の『進化』によって上げることが出来るのだが人間の潜在能力の器によって上げれる限界が存在し、そこが能力自体の限界と言われている。
つまり、能力を扱うのが最も難しい『暴走能力者』や能力自体のランクが高い『高位能力者』などが潜在能力の限界が高いと言われている。
だが、何億人自体がおかしいのだ。
何億人という事は超広範囲であり、ものすごい効力があるという事だ。
聞いた感じじゃ恐ろしい能力者『傀儡の王』と謳われたネセルス·アグセルカと同じ異名を持っていると言われているがあの人物といえば何億年前に死んでいるし、その子孫がいるとは言われていなかったはずだ。
なのに···何故、この星にこんな悲劇が起きてしまったのか。
「なぁポックル。今お前には二つ選択肢がある。一つ目はもう一度地球に戻って他にも救けてくれる人を募る。もう一つは今から俺達が恐らくその人物が存在するあの城に突っ込むポックルはどっちがいい?」
「え·········と···」
ポックルに迷いが見られる。
それはそうだ、この選択肢にはどちらにもマイナスの面が存在する。
一つ目には最悪時間がなかった場合のことだ。今このタイミングが奇跡の様な状態で、最低往復するのに四時間掛かり、更に救けてくれる人を探すのに更に時間が掛かるのだ。もしかしたらもう一度戻って来る頃には悲惨な状況になってるかもしれないということ。
もう一つは、負けてしまう可能性があるという事だ。今すぐ出来るのだが、中にどんな人物が存在するか分からない状況で、しかもその敵の能力が完全に分かっていない状況で戦いに挑むのはかなりリスキーな判断かもしれない、三人では相手の実力比によっては全滅、死ぬ可能性が高いのだ。
だが、あくまで俺はその判断はしない。最終的な判断は依頼主であるポックルがしなければならない。あとは、ポックルがどう考えるか。
「ずいぶん身勝手で、皆様に助けを求めたのですが···もうちょっと我儘を言ってもいいですか?」
「別にいいぜ、あとは依頼料をちょっとかさ増ししてもらえば良いし」
「ハハハ、同感同感」
「それじゃあ······今から突っ込むって方向でいかせてもらいます!」
「分かった」「了解だぜ」
俺たちは、己の愛武器を握り立ち上がる。
「それじゃあ、今から行こうか‼もちろんポックルも‼」
「えっ!?僕もですか⁉」
「そうに決まってんだろ、英雄になってみろ」
「え〜〜〜···」
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俺たちは今、城の前に立っている。
俺の能力『隠蔽』によって三人の気配はある程度隠されているが、恐らく中にいる人物には気づかれているだろう。
「それじゃあ突っ込むぜ‼」
「おう!!」「分かりました‼」
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王の台座の座っている人物はほくそ笑んでいた。
「ホホホホホ!どうやら鼠が入り込んでいたようですね」
右にいるピエロの様な男が台座の人物に話しかける。
「綺麗な肉をしているのかな〜楽しみだな〜」
今度は左側にいた全身包帯を巻いた女性がいた。
「まぁそんな事はどうでも良い。殺せ」
「あいさ〜」「了解でやんす」
二人は入り口に飛び出した。
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真っ直ぐ走るアキヒト達はその存在にいち早く気付いた。
襲ってきた凶器に安定した態度に受け止め叫ぶ。
「てめえ誰だ‼」
「私はメセラ·ディファインの配下アセロラよろしくね‼」
決戦が始まる。




