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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
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EX.15 「最後の試練」

 あれから少しの時間がたった。

 半年――――――俺にとってはあっと言う間の出来事だったので、お土産話自体は少なかったのだが。レインボーは楽しく聞いてくれていた。聖戦戦争の二年半が俺の思い出の殆どだし、これからこそがこの地球で自分の思い出を作っていきたいと思う。あの二年半が俺を成長させてくれた。


 @@@@@


 昔は、なんというか人間不信になりかけた事がある。前にも言った通りに俺と妹である鈴音は義理の兄妹である。ある日、ふいにアルバムを開いてしまった事が間違いだったのだろう。俺はある事に気づいてしまったのだ。出産時の写真が無かったのだ。もしかしたらなどと言って探してしまったていた。あのまま、自分の親が持っているだけなのだろう、と思えたはずなのに。


 全てを見終わった俺にある種の疑問が湧いていた。


 5歳以前の写真が無かったのだ。


 実際にはあるにはあった、しかしそれはあくまでも年代の話であって。そこには全部鈴音の昔の写真しか無かったのだ。更にはどこまで思い出そうとしても、まるでそこまでの間が空っぽだったの様に何も思い出せなかった。記憶喪失でもただ忘れた訳ではない記憶の靄さえ現れてくれなかったのだ。ふいに嫌な予感がしていた。あまりにも顔などの印象が両親が違うかったのだ。俺はずっと勝ち気な顔をした母親と冷静沈着な通常の表情でも軽く睨んでいるのじゃないのかと思うような目元の薄い父親、その中間地点の顔立ちをしているのだと思っていた。母親も昔はこんな顔立ちだったのだろうと思っていた。だが、違うかったのかもしれない。俺は一縷の願いを賭けて両親に聞いた。


 本当の両親は誰なのだと――――


 その時の両親の顔は蒼白になっていた。

 その後、母親 圭子は優しく笑みを見せて。


「あなたの本当の両親はここにはいない。あなたのお母さんは私の妹なの。だから戦争で両親を亡くしたあなたを引き取ったの。ごめんなさいね」


 あの時の言葉は信じられなかった。

 今まで俺は騙されていたのか、とも思った。

 偽物の家族の中で偽物の家庭の中でまるで本当の親子の様に話していた。

 俺はあの瞬間何かが崩れる様な、そんな感じがした。


 幸い、両親は今までの様に優しく接してくれたので、心の傷はすぐ治ったのだが、ある異物質を残したままその傷口を塞いでしまった。


 この人は本当は誰なのだろう?


 ふいに思ってしまったある一言が俺の頭の中を埋め尽くしたのだった。本当の両親ではない、実際は本当の両親の更にその母親の方の姉―――たったそれだけだった。だったら、その家庭の中の異分子である俺は一体誰なのだろうと何度も考えた。更に俺はある存在によって空白の5年間を全て思い出した。その瞬間、この人は本当は誰なのだろう、という感情は俺に向いていた。


 俺には、本当の家族がいて、何不自由のない暮らしをしていた。あの戦争が無かったら自分は一体どんな奴だったのだろうとも思った。そして、一番大事な白髪の女性を思い出した瞬間俺は、自分は何で生きているのだろうと思った。そこからの行動は早かった。高難易度のクエストを片っ端から受け、何度も戦いに明け暮れた。


 死に場所を探していたのだ。


 そしてそこから3年が経ち、俺は聖戦戦争の舞台へと足を進めた。

 そして、そこで俺は思い知ったのであった。この戦争の厳しさに。

 たった一度でもゲージが無くなると死ぬ、そんな鬼畜にも等しいゲームが現実になった瞬間、俺は思い出した。

 悲しみに暮れる両親と弟の顔を、泣き叫ぶ妹の姿を――――ここに来るまでになんとも思わなかったその姿が俺の心に何度も締め付けた。

 その瞬間、俺は『死にたい』から『生きたい』に変わっていた。

 だが、たとえ気持ちは変わっても目の前にある現実は変わらなかった。


 ―――ごめん、母さん親父、ハルト、スズ 俺死ぬかもしれない。でも頑張って生きるよ、もう一度会うために――――


 そこから先俺の意志は変わらなかった。


 25層のチューリップ型のボスモンスターと戦っている時も―――


 50層の雄牛型のボスモンスターと戦っている時も――――


 75層の骸骨(スケルトン)型のボスモンスターと戦っている時も――――


 100層でラスボスであり、この戦争の元凶である人物とたった一人で戦り合っているときもずっと考えていた。


 生きろ‼―――と。


 そうして今俺はこの場所で呼吸をして自分の足で歩いている。


 家族とも、今まで以上に仲良くなっている。


 自分が自分を創らない、人が自分を創るのだ


 まさにこのことだろう、俺はあの戦争で彼から彼女から多くの事を学んだ。


 たった一人で出来ることなどたかがしれてると。

 仲間と友達と何かをする時が最も輝く瞬間なのだと。


 そこから俺は仲間をチームを作ろうと思った。


 もう二度と失わない為に、もう二度と自分が出来る事から目を伏せないために―――――


 もう一度、最高のヒーローになろうと思った。


 @@@@@


「そっか、そういう事だったのか〜」

「ん?どういう事だ?」


 俺のところどころ省いた昔話にレインボーは何かを納得したらしい。


「アキヒトはずっと『自分は間違ってる』とお思ってたのでしょ」


 俺は苦笑いしながらその言葉に応答する。


「まぁな、今は違うけどその時は思ってたな」


「それはアキヒトが優しいからでしょ‼」

「えっ……それはどういう……?」


「死にたいって思ったのは大きな間違いだけど、アキヒトはずっと自分だけが傷付く方法を使っていた。それは間違ってるとは言えないけどあくまでもそれは家族を傷つけたくなかったからでしょう。いくらでも自分が助かる方法はあるのにアキヒトはそれを使わなかった。そこがアキヒトの良いところだよ」


 だがレインボーは更に付け足す


「でも、そんな事をずっと続けていたら自分がパンクしちゃう―――だから何度も頼って自分を助けなきゃ」


「どうやって……?」


「一緒にいよ、人って誰かといると安心するみたいだし、私がアキヒトと一緒にいるよ‼」


 するとレインボーは立ち上がり


「まぁ、それだけじゃ私はここから出れないから、『試練』を出すよ」


「『試練』?」


 俺も立ってレインボーの言葉を復唱する


「うん!試練‼」


 俺はニヤリと笑い


「じゃあどんな試練を出すんだ?一応言っておくが俺は結構強いぞ」


「ノンノン戦いじゃないよ、アキヒトも準備は万端みたいだから始めるよ『虹の試練 最後の試練』‼」


「私で能力を使ってみて」 

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