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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』
13/285

EX.12 「獄炎の間」

 炎で部屋が埋もれている――――それだけで目が覚めるのには充分すぎる程だった。


 @@@@@


『虹の試練

 第六の間 赤 獄炎の間

 火で埋もれる前に最後の部屋を見つけ出しましょう』


 @@@@@


 そう火できれいに描かれている文字がようやく消え、俺は周りを見渡す。


 先程までの光景と裏腹にこの場所に残っているのは山本、ユウスケ、アスナと何時間前に斬った万年樹の下の部分だけだった。


 何故だ······、と深く考える前に


「おっ······おい!!起きろ皆‼」


「ふにゅ······」


 おかしな声を出しながら一番最初にアスナが起きてきた。


 ちなみに俺の膝の上だ


 普通こういうのは逆だろ……、と思いつつも謎の母性本能が目覚めさせそうな起き方を見せるアスナを凝視する。


「おは·········えええええ‼」

「どした?」

「どした?、って何⁉なんで燃えてるの⁉アキトくん何かした⁉」

「してないし試練だそうだ―――――っていうかさっさと降りてくれ」

「oh······」


 そう言いながら、起き上がるアスナを横目に未だに寝ている二人を見て


「こいつ等置いてくか···」


「いや、流石にだめでしょ‼」

「じゃ······そうするか!!!」


 ドガッ······グシャ······、メキッ‼

 ちなみにこの音は俺が寝ている奴らを足蹴している状態である。


「ふごぉ······って痛え何だこれ!!?」

「おはよう、蜂に刺されてたよ」

「マジか···、ちょっとアスナさん毒抜きちょうだい?」

「いや······あんまり効果ないかな、アハハ」

「え?どゆこと?」


 注意:彼らは特殊な訓練を受けています、炎の中で会話を続けると肺の炎症、または一酸化炭素中毒になる可能性が大いにあるので気を付けましょう。


「なぁ、こいつどうする?置いてく?」

「何故ここの男子共は置いてくことを考えるの······?」

「そうよそうよ!置いてくなんて最低ね‼」

「いや、アキトくんが最初でしょ」


 そう言われ俺はテヘペロポーズをとり、場を和ませようとするが。


「何だそれキッモ」

「よし、お前死刑な」


 ケンカの臨戦態勢をとる二人にアスナが慌てて


「そんなことしてる場合じゃ無いでしょ‼さっさと見つけないと‼」


「いや……でもあそこに扉あるし大丈夫かなって······」 

「経験上、そういうのに騙されるのが私達でしょう」


「む······確かに、じゃあ行こうか」

「ちょっと待ってユウスケくんは⁉」

「山本の代わりの肉壁だ」


 そう言いながら、寝てるユウスケを持ち上げ扉に寄る。


「えっ!何⁉アッツ!何これ⁉」

「ちっ······目覚めやがったか。だがもう遅い死ねぇ‼」


 扉を開けユウスケを放り投げる――――だが


「ん?」「?」


 そこには、多少燃えてはいたが普通の部屋があった。言うならばダンジョンの神殿地下迷宮の様な所だった。


 ユウスケと俺は軽く笑い


「お前が死ねぇ!!」

「わっ······すまん、ごめんなさい〜‼」


 後ろ十歩程の位置で


「あれでもあの二人、親友何だよな······」

「ケンカするほど仲がいいって言うじゃない」


「ふっふっふっ······俺は傷が治るのは忘れていたのかな?」

「だったら刺しても大丈夫だよなぁ」

「すいませんでした‼」


 時雨刀を抜刀するユウスケを見て俺は慌てて謝る


 だがしかしここは燃え始めている。


「さっさと行くわよ二人共‼」

「おっ」「わ!!」


 ドッ、と背中を押され俺達はバランスを崩し室内に入る。


「あれ?奥にも扉があるぞ?」

「ん······?」


 確かに奥にも扉がある。ここが最後の部屋ではないのか。


 すると、バタンと大きな音を立てて俺達が入ってきた扉が閉まる。


「ん?何だ山本何やったんだ?」

「いや俺じゃねぇしお前じゃねぇの?」

「いや俺絶賛腐女子に大人気のBL状態になってるんだけど」


 ちなみに俺が押し倒してる状態である。


「ユウスケくんそこ変わろうか」

「できれば、BLよりかはマシなんで変わって欲しいんですけど、アキヒトがどきゃいい話だろ」

「あっ···そうか」


 そう言いどく俺、残念ながらBLは俺の趣味じゃねぇ


 すると、石臼の音がなり天井が降りてくる。


「なっ······⁉」

「やべぇこっちのドア開かねぇぞ!」

「じゃああっちのドアか!」


 走り出す俺達


 真っ先にドアノブに辿り着いたのは俺だった


「熱······!」

 思わず俺は手を引っ込める

 何でだ熱いドアノブを俺は見る


「おい!アキヒトどうした⁉」


「いや······」


 全てを言い切る前に俺は気づく


 ドアノブが熱い……そしてこちら側はまだ燃えていない。つまり、そのドアの向こう側には何かが起きてるんじゃないか。俺の頭の中にはある言葉が浮かんできた。


 バックドラフト


 火災現場で起きる爆発現象の事だ。

 俺が目覚めた直前に試練が始まったとしても、火災自体は目覚めるずっと前に起きてたんじゃないのか?だったら、これを開けてしまえばあの映画と同じ様な事が起きるのでは。


 ふと、俺は思い出した『最後の部屋』という言葉を――――――


 今まで行った試練は『激流の波』『電撃倉庫』『ループ空間』『絵画の部屋』『万年樹』そして『獄炎の間』の6つ。つまり青·黄·藍·橙·緑·赤だ―――――つまり残っているのは『紫』だから紫に関係のあるような物が出されるのだろう。


 紫―――毒じゃないのか?


 だが、ここには毒に関係あるのはない―――だったら


「アスナ‼毒ってどんな所に存在するんだ!?」


「え、何で⁉」

「頼む!」


「えっえ〜と、今回の場合は発生源のことだよね、だからん〜と自然毒だから。アキトくん確か『鉱物』だよ‼」


「えっ!アスナさん毒って動物の中からじゃないのか⁉」

「元々、動物の餌に毒が存在するからフグとかには毒が入っているの」


 俺の言葉の意図にようやく気づいたのはユウスケだった。


「つまり、最後の部屋は下にあるのか⁉」


「おそらくだけどな。元々おかしかったんだ、ここは洞窟だったよな?だけど俺達はずっと登ってきた。ここには一度も降りてない、だからこそ唯一この場所で地面が剥き出しになっている下が最後の部屋じゃないのか⁉」


「でも、地面は私達が立ってるのに穴みたいな物なんてないよ!?」


「いや…それにはもう見当がついている」


「え?」


「元々ここは『虹の試練』俺の為に造られた試練だ。更には、他の者の侵入を許していない」


「どういう事⁉」


「最初の試練―――つまり入り口のと同様に『誰かが犠牲にならないといけない』試練なんだ‼」

「え!?何する気⁉」


 俺はドアノブを掴みドアを開いた。


 バックドラフト


 火炎放射器の様に放たれる獄炎

 そのターゲットは俺だ


「ぐぅ······あっ!」


 俺は熱に耐えながら、皆の盾になる。

 俺の予想なら。


 ガコッ、と音がなり俺の足元から地面がなくなる。


「なっ!?」「え!?」「おい!?」


 恐らく後の三人も同じ様な事が起きているのだろう。


 地面がなくなるスイッチ――――それはドアを開けることだ。

 火炎放射を喰らう代わりに入り口が開かれる。こういう原理が起こってるのだろう。


「「アキヒト‼」」


 二人の妖精の声が聞こえる。瞬間に背中の方から強い衝撃がおとずれる。


「なっ······カハッ‼」


 俺はそこで大の字になって倒れる。

 目の前には二人の妖精がいる。


「えっ···」


 だが、そこには暗闇だけで肝心の皆がいなかった。


『虹の試練

 第七の間 紫 孤独の地帯

 ――――――――――――――――――――待ってるから』








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