EX.11 「時雨流」
時雨流―――――――
それは、一騎当千の技であり。攻守共々、戦闘に有利になる技を多く持つ。
一代に一技ずつしか存在せず、現在は五十代目まで続いているため、攻式三十七、守式二十三となっている。
その姿は『水』に由来し、その全てが『雨』という名を持っている。
雨の様に柔軟に、雨の様に鋭く放つ技。
初代時雨流創設者は、『友の為に放つ事が出来る技』として遺している。
刀を持ち、柔も剛も制する技が本当に牙をむく際『神の一撃』とひっする力を持つと呼ばれている。
しかし、初代以降、そういう技は放てていない。
そして、今 初代と似た姿をし、初代と同じ意志を持った少年が『時雨流』の唯一の武器『時雨刀』を手にして戦う―――――。
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時雨流守式二十七―――妻節雨―――
刀で拾い取った水を噴射状の滝に変えて行う技
この技は水というリングならではの技―――ここは、万年樹にその円上に川のような道筋が作られている。
水はユウスケの本領発揮する場である。
「ユウスケ······!」
俺はようやく衝撃の拘束から解けユウスケに顔を向ける。ユウスケが放った五本の滝に大量の根が弾き飛ばされていく。
「さっさと準備しろ!この技はもうすぐ解ける」
「分かった!」
俺は『ムーンフェアリー』アスナは『サテライト·テンペスト』を出し抜き臨戦態勢を取る。
『妻節雨』によって作られた滝が威力を弱め、ついには根の侵入を許してしまう。
だが、時間は稼げた―――――今だ‼
「しっ······!」
俺は『空核裂き』を放つ――――ズバァァ‼と強い音と共に万年樹にヒットする。しかし、音と比例せず傷跡は軽い、ウソだろ……!、と俺は思うが傷跡から見て納得する。何重にも層が出来てある。
ダイラタンシー現象によって大きな衝撃を防ぐ防弾チョッキと違い、もはや無限にも等しい層によって、威力を防ぐ。科学では証明出来ない『歴史の進化』が今俺達の目の前にいる。
だが、勝てない訳では無い。今、俺の手元にはその樹の何十倍をも歴史を持つ『最上級神器』がある。勝てない訳では無い。あとは、どう戦略を持つかだ。
「アスナ、ユウスケ後ろは頼むぞ‼山本は俺と行くぞ‼」
「分かった!」
「一歩でも、気を抜くなよ山本‼」
「分かってるって!お前だって気を付けろよ!」
そう言いながら、飛び出す山本と俺。
背後には山本とアスナがすぐに、戦う準備をとっている。
アスナは『二次元』の特殊能力『有限貯蔵庫』から『B-ポーション』を取り出す。
ポーションには、攻撃型·回復型·特殊型の三つの種類が存在する。アスナが取り出した『B-ポーション』のBはbomeのBである。栓を引き抜き中にあるニトログリセリンが液状化した液体が空気の摩擦によって発火し――――爆発する
土煙をあげ、根を焼き尽くす―――だが俺達は山本の『空圧』によって、風圧こそあれど塵などは飛ばない。
いける‼―――そう思った俺は
「アスナ‼ユウスケ‼行くぞ‼」
「おう‼」「分かった‼」
そう言い飛び出すアスナと山本。このメンバーでは瞬足といえる二人は俺達を追い抜き攻撃を放つ。
アスナは細剣刺突型『リステット·アルーラ』を放ち、ユウスケは時雨流攻式十七『幅先雨』を放つ。
「うっ……ら!!」
山本は拳をぶつけ樹を凹ませる。
「全力で後ろに飛べ‼」
俺の声に反応し、三人はバッと飛び立つ
「『地殻剥き』‼」
ピッ······と地面が音を鳴らし地面ごと大きく反りあげらせる。
目はあるかどうか分からないが、樹は今、俺の姿は見えていないだろう。
俺は、剣を右肩に置く
右足に力を入れ、弾丸の様に飛び出す
『アバンライト·スラッシュ』 この技に推進力を付与し大きく飛ぶ。
ズバァァァァァアアア!!!と大きな音と共に横一直線に切られる万年樹―――今度はちゃんと音と比例してくれたようだ。
俺が、剣を剣帯に入れると同時に万年樹が崩れ落ちる。
よし、コレでこの間も終わりだな、と思った矢先膝がガクッと崩れる。先程ので精神力、今回のて体力を大幅に削られたようだ。
その様子を見てアスナが
「しばらく、休憩が必要みたいね」
と言い。先程から元気そうにしていた山本が肩から崩れ落ちる、アスナとユウスケはともかく体力は大幅に削られていたらしい。
その後、俺は寝て――――起きた頃には
炎が散っていた。
「なっ·········」
俺が絶句するのと同時に火で文字が現れる
『虹の試練
第六の間 赤 獄炎の間
火で埋もれる前に最後の部屋を見つけ出しましょう』




