EX.9 「絵画の試練」
この部屋に存在する『偽物』を探す
それは単純そうであるがとても不可解な物になる時がある。例えば、テストの問題だと言おう、『四つの問題から一つ正しい答えを探せ』と言われたら、その文に最も、もしくは完璧に正しい物を探す。それは当たり前の事だしそうしなければ点は貰えない。しかし、今回の場合は『無数にある絵画の中から偽物を探せ』、しかも俺はこの中から本物というか、実物体を見たことは無かった。俺は数学·理科·技術などに力を入れ、『美術科』に関しては特に力を入れて勉学に励んではいなかった。
このことをセピアは知らないはず、もしくはセピア自身がそちら側に興味があったのかもしれないが、今俺は自分が美術に関して取り組もうとしなかったことを深く後悔している。
―――――もしかしたら、『眼』を使い潰すかもしれないな······
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俺は『真実の目』を使おうとした瞬間――――
「これは『ファン·エイク』の『ターバンの男の
肖像』ね」
アスナの声が聞こえた
「えっ、アスナこれ解るのか?」
「全部じゃないけど·········これは結構イケそうね」
そう言うと、アスナがいま手に取った絵画を俺に見せてくる
「流石にこれはわかるでしょ?」
俺はムムムっと唸る。
分からない······訳じゃない。これは見たことある確か『なんとかの誕生』だったはず。
「作者は知らねえけどそれは確か『ビーナスの誕生』だな」
「これは『ビーナス』じゃなくて、『ヴィーナス』だけどね。そうこれは『ボッティチェリ』の『ヴィーナスの誕生』かなりいい作品があるじゃ無い」
ヤバイ、これはのけものになってしまう、と思った俺はすぐそこで唸っている山本に助けを求めようとする
「なっ、なあ山本。お前も分からないよな」
「これは『アルチンボルド』の『ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世』だな」
ウソだろ⁉と内心叫びまくってる俺に山本は
「お前、何個ぐらい分かったか?」
一個も分かってはいません
「二、三個しか見てないけど全部分かったな‼ウンウン全部全部‼」
「なんで強調したのかは分からんがすごいな。俺はやっと一個だ」
すいません見栄です何一つ分かっていません。
いや‼この絵画の山の中に教科書にも載ってあるような有名な俺でも知ってるような作品があるはず‼
俺はそう思うが矢先に絵画の山に飛び込んだ
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みっ、見つけたぞついに見つけだした俺の知っているやつ。
今、俺の手元には『真珠の耳飾りの少女』と『小椅子の聖母』がある。普通こんな絵画は美術館とかに置いてあるだろうし、鑑定士が使ってるような手袋もしてないただの素手だ。大丈夫なんだろうか?と、多少不安になってくるがやってしまった事は変わらない、さっさといこう。
「おっおう、アスナ‼ついに分かったぞ本物が‼」
「いや、私達が探してるの『偽物』なんだけど···」
あっ、忘れてた
「それに、アキトくんも手伝ってよ、ようやくわかってきたんだから」
なぬ
「いやいや、どうやってわかったんだよ?そういうヒントなんかこの部屋に無かっただろ」
「無かったから、ヒントは絵画にあるって事じゃない?例えば、絵の具のむら加減とかは再現できないでしょう?」
「でもだったら、『二倍』だったらできるだろうそれじゃあ正しいヒントなのかどうか······」
「他にも、作者のサインや絵画の紙質、もうこの時代には使われてない色、この全てがヒントになって私達に教えてくれる。だから、とりあえずはそれに一致しない物を探せばいいんじゃない?」
う〜んと俺は唸ると
「『やって後悔するのと、やらないで後悔する、でも俺はやって後悔しない方を見つける』だろ」
すると、ユウスケはそう言う
「だったら、やってる間に後悔しない方法を探せば良いだろ」
俺は少し深呼吸をして
「よし、じゃあ俺とユウスケ、山本はそれに一致しない絵画を探して、アスナは更にそこから分からないものを集めてくれ‼」
「うん!」「「おう」」
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これは後の話だが、当てはまらなかったのは俺が最初に持ってた二つも存在しており、がっかりしていたが後は『真実の目』を使って映らなかった『偽物』を見つける。
ちなみに方法は絵画の紙を破り中から取り出す方法なのだがそんなことはどうでもいい。
3時間23分32秒
結果、これだけ掛かってようやく見つかった。集中力も結構切れ始めてきた、この場で戦闘しかも、心理的な戦闘になる人型の相手は難しい。
さて、どうするべきか
そう思いながら俺は鍵を使って開ける。
しゅるっ
ドゴォォォォォォォォォォオオン‼
「ガッハ···グヘッ···」
俺は失いかけた意識と口の中に残っている血を飲み込み、壁にもたれながら立ち上がる。
一体何が
「アキトくん‼」
「アキヒト‼」
彼らが叫びながら、俺を呼ぶ
「なっ···なんだよあれ···?」
山本が絶叫じみたかすれ声を出しながら、扉の方を向く。
俺が前を向いた瞬間、目を見開いた。
扉からつるが伸びていた。
『伸びていた』というよりも『出てきた』という方が正しい、そのような状態で現れた。
ある異変に気づいた、扉の上に『文字』が現れたからだ。
『虹の試練
第五の間 緑 万年樹
死ぬ前に暴走する万年樹を倒しましょう』




