EX.0 「出会いの時」
豪炎の炎が森を覆い尽くし新たなる芽吹きの苗に火の粉が燃え移ろうとした瞬間
雨が降った。
だけどこれだけはわかる、この雨は『能力』だ。
少女がそう考えるや否や少女の頬を傷つけていた擦り傷がなくなった。
まさに癒やしの雨 慈愛の暁光
目の前にいる同い年の少年が行ったのだと少女は瞬時に理解出来た。まるで魔法 たった10分にも満たない戦闘の間に炎を放ち、剣を振り、死にかけた姉をも癒やしそして最後には目の前の自らの死さえ感じた程の恐怖を放った死神(後にかまいたちと知る)さえも倒した。
名前はなんだろう?戦闘中は怖くて動かせなかった口がようやく動いてくれた。
「Who are you?」
「えっ、フーあーユー!?」
少しあどけなさが残る少年は、かなり驚いた様子でこちらを見ている
「ちょっ…ちょっとまて大丈夫だここはアメリカ、当たり前じゃん英語で話されるのは。むしろ許容範囲内じゃん、ホッホラ持ってきた英語ノートでフーあーユーの意味さえわかればブツブッ」
突然喋りだした少年はノートみたいなものを取り出してブツブツ言っているがこちらは多少なりとも理解できる。なぜなら父親は日本人少し程彼女は父に教えてもらっている。
(こういうときはえーと···)
「アナタハダレデスカ?」
「えっ!?日本語!?えーとえーとって違うこれ日本語!載ってるわけ無いじゃん!」
むしろ先程よりもどぎまぎ少年にこちらの言い方が間違っていたのかと不安になっていたが、少年はニコッと笑い
「俺は英雄アキヒトだ、始めましてお嬢さん」
「Hero?」
「そうそうヒーロー」
「タスケテクレテアリガトウゴザイマス」
「いやいやありがとうなんていいよ、それよりも君が『助けて』って叫んでくれたおかげて俺も気づけたんだからこっちもありがとう」
「アリガトウ?」
「まっ、まあ気にしないでいいよ、褒められなれてないからそうなっちゃっただけ」
「マタアエマスカ?」
「うーんそれは分からないかなぁ」
そう言われ涙目になってしまっていた私に(あっちょヤバイ)のような顔になり「あっそうだ!」といい。服の中から一つのカードを取り出して
「これを俺だと思ってずっと大切に持っといてくれ、そしてまた会えたらこれを返すこういうのはどうだろうか?」
「コレハ?」
「ヒーローカードって言うんだ。本当だったらランクとかで必要になるんだけど俺階級は特にこだわってないからさやるよそれ」
「モッテタラマタアエル?」
「会えるって信じよう?だってこの世界は面白い物で出来ているんだから」
少年は「だから」といい
「約束だ!また絶対に会おう!」
「ヤクソク?」
「うん、約束」
「ヤクソク……ヤクソク!マタアオウ!」
「おう!じゃあ指切りしようぜ」
「うん!」
「あっこれは知ってるんだ…」
「ゆ〜びき〜りげんまんうそついたらはりせんぼんの〜ます」
「ゆびきった!」「ユビキッタ!」
「じゃあな疲れたからもう帰るわ」
「カエル?」
「おう」
「ユビキッタ、ヤクソク、マタアオウ!!!」
「おう‼」
すると少年は遠くに置いていたとても大きな剣を肩に担ぎ
「『ヒーロー』アキヒトに二言はねぇからな!」
そう言って少年は空を飛び青い世界を翔けていった
あの人はただのヒーローなんかじゃない
いざというときに颯爽と現れて敵を倒してくれる存在
対等になりたい、一緒にいたい
だってあの人は私にとっての
王子様だから