聞こえない、聴こえる
友達に、題名を貰って書きました。
彼は、夢のような人だった。
綺麗な顔立ちで、
とても気立ての良い人。
綺麗な蝶を好み、
けれど捕まえることはなく、
いつも彼の手には蝶が止まっていた。
初めて彼を見た時は、妖精のようだと思った。
1面の綺麗なお花畑の一角に、
たくさんの蝶をまとわせた彼が光を浴びて、
キラキラ輝いて見えた。
抜けるような白い肌。
長いまつげ。
優しい眼差し。
妖精のよう、ではないんだ。
『妖精』という言葉は、
きっと彼を形容しているのだ、と思った。
夢の中の、憧れの生き物。
それでも。
現実の、
私のそばにいた。
「君はどうしていつも悲しそうに笑うんだい?」
そう言って私の頭を優しく撫でる大きい手。
「そんな事ないよ」
私の中に芽生えた予感は、
心の奥に仕舞い込んでも、仕舞い切れなかった。
彼はやはり、夢のように儚かった。
本当に、『夢』となってしまった。
ある日の雨上がり。
彼はいつものように笑顔だった。
うたた寝をしている私を木の下に残し、どこかへ行ってしまった。
きっと綺麗な蝶でも通り過ぎ、ふらりと歩きに行ったのだろう。
目を覚ますと、
髪には綺麗なピンクの花がさしてあり、
私の周りには蝶が1頭飛んでいた。
空には綺麗な虹がかかり、風は穏やかに頬をかすめていった。
「あ」
涙が静かに溢れ出た。
彼にはもう、触れる事はできないのだと気付いた。
『ーーーー蝶』
彼の声は、
夢の中で優しく私の名を呼んだ。
ふわりとした、切な目のお話を書いてみたかったのですが、どうでしょう。
次作もまた、よろしくお願いいたしますm(__)m




