#98~力の土地~
少し言葉等を修正しております。
話の内容は変わり無しです。
申し訳ありません……
金とは言わずもがな、鉱山で採掘される鉱山資源である。
要は地面から掘り返した物である。金は採掘されれば当たり前な事で、地中の金は無くなる。
そのプロセスへ介入したのが秋穂を始めとする、金山家・若しくは同じような力を持った、数少ない者達だ。
彼等・彼女等は地球につながっている地面からこのようにして金を表面化させ、採掘する事が出来る。
作りだせる金は何処かの地中に眠っている、近くの金脈から拝借してくる訳だが、それは術者の力量により、地中に点在する、何処の場所であろうと無作為にそれを取って来れるのだ。
金山家はその血筋に金を採掘する力を宿し、日本政府、もしくは世界でもマークされるほどの重要人物で、決められた時以外にそれを行い、発覚して問題を突きつけれれば、捌ばかれてしまう…かもしれない。
法力による、物の持ち運びは窃盗行為に当たらない。
勿論、法力で風や、水、土を操り、人の物を直接持ち出せば窃盗罪等に当たる。
だが、空気中の水分を手元に集め、水を手の上に作りだす事で”空気中の水分を盗んだ”とは言えない。空気は生き物の共有財産だ。その理屈に近い部分がある。
もし、金の鉱山等を所有していて、そこにある金塊を取られたくなければ、すぐに採掘しつくしてしまうか、法力等でその一帯を鉱物に代え、その一帯を地球の土と切り離す様にしている。だが、そんな場所はもう既に金を採掘しつくしている。
地球上では金脈が枯れており、金の希少価値は上がる…かと思いきやそうはならなかった。
一度価値が高くなった金は、その希少価値から、一般層が装飾用に使わくなる。
その後、金山家の様な力を持った者が金を手放すも、供給に対して需要層・金を欲しがる者が少なく、金があるにも関わらず、市場には余ってしまった。
そんな事で今では金の価値は変わり、力を所有する人間・ひと昔前の電子機器等を製造する業者・異常なほど金に執着する者しか必要とせず、金の価値は昔とは違い、大暴落している。
有限な資源の価値はいつかは滅びる物だ。そう言う物は需要と供給が丁度良いバランスで無ければ劇的にその価値を変えてしまう。
砂漠地帯での水は黄金に勝る価値がある。が、水資源に恵まれた地帯の水はゴミよりも価値が無い。物の価値は移ろいやすいのだ。
と言っても、その時期は長く、それを実感出来る者はいないのが普通だ。
「すごいですね、金を作りだせる、その力、もはや土系の分類から外れているんじゃないですか!……清田校長の木系統と同じ様に金系統…と言えるかもしれない!!」
山岡は興奮し、関心した様に言う。
そこで大学生の男女、山岡と秋穂の言葉を引き継いで声が入る。
「…そいつは無理だな。バカな事を言うのはどこのどいつだ?」
山岡に返事をするのは、いつのまにか隣に来ていた30頃の男性研究員だ。
白衣をはだけ、ズボンのポケットに手を入れている。
「ややっ…き、来てましたか、品神さん。」
山岡が返事をするとその白衣の男性研究員はとげとげしい態度で声を出す。
「清田校長の木系は水系と土系の同時発動による特異系統だ。そちらの譲ちゃんの法力は土を媒体にした、土系の法力にすぎん。何より、地球の地面と繋がっていなければそれは無理なのだろう?…地球のどこからか金を転移させているだけ。言ってしまえば泥棒だ。それに対して清田校長の木系は空気と少しの光があれば独力で技を使えるんだからな………そんな事も解らんのか?……土研の奴らは手が足りないのか?……私にして見れば、同じ大学の名前を掲げて研究している以上、知識の無さを露呈する発言は止めて欲しいのだがな。」
「え!ええ…そ、そう……ですね……おかしな事を言ったようで…申し訳ないです…」
山岡が声を潜ませて謝る。
剣呑な態度・言葉に不穏な空気を孕みつつも、そこで口火を切ったのは秋穂である。
「……ええ、清田校長の力は生物を生み出す、神秘の技ですからね、それに対して私は、たまたま使える力で作りだせる物が珍しいだけです。それも、生まれ持っての力では自慢にもなりません。それを契機に土系の法力を学ぶつもりでしたが……、結果だけが”力のすべて”ではありません。私の様な特殊な技が使える者を研究して行けば、法力全体の理解に繋がるつもりでしたが……」
山岡を擁護する様に秋穂は優しい声音で場を繋ぐ。
それを聞いた白衣の男性研究員は茶化したように声をかける。
「ふん。……解ってるじゃないか。金山のお嬢さん?是非とも、この男子学生へ”咄嗟に”そういう事を言える様に教えてやってくれ。」
水系統法学研究所の所長を務め、時々土系統法学研究所に顔を出す人物・品神杜氏と秋穂は馬が合わないなりに意思の疎通が出来た様だった。
これで、山岡に頼まれた罪滅ぼしの用事は終了である。秋穂は幼い頃に、この土系統法学研究所で検査・黄金化の研究で訪れた事があるのだ。
その頃は色々と力の使用に制限や、規制があったため、金山家側から法力の発現を伴う研究を断ったのだが、今回は頼まれた事と、今では金の価値が下がっている為に実現した事だったのだ。
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清虹市、北部にある地名、土旗地域に居を構える金山家は豪邸だ。
広々とした家屋だけでなく、門扉・広々とした庭・倉庫・玄関の裏側には車を三台以上を停められる駐車場を有している。
清虹市は法力で人工的に作られた土地故に、高低差・山・川・海岸等で出来るデッドスペースが少ない。
建物の一区画すべてが正方形でないにも関わらず、綺麗な作りで街路樹・車道・ガードレール等を無視すればまっすぐ歩ける、地図の必要性が無い土地だ。
住所を聞くだけで大抵の場所に行く事も容易である。
清虹市は首都圏ではないにも関わらず、土地の価格は常に高い。
土地の値段:地価は周辺の開発具合、人の集まり具合によって上にも下にも増減するものだが、首都圏と同じく、一定の価格を下回らないのだ。
そんな場所に、多少は駅から離れているとしても、金山家は家屋としてみれば破格の大きさを有している。
それは清虹市を作りだした人物・本郷郷史や、その仲間である清田校長こと、清田三郎達に、昔から資金援助等のパトロン行為を行っていたが故である。
今は金山家に婿入りした、現清虹市市長:金山賢人がいる為に、表立っての援助はあまり無い。
…と言えるだろう。いや、それよりは、初代学長・本郷郷史亡き今、清敬学校の経営は盤石の物となり、『援助してもらう』立場から『援助する』立場となっている。
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