#97~力の特殊性~
やんごとない事情の合間です…お待たせ致しました。
何とかやって行けそうです。話が飛び飛びな事をお許し下さい。
#90~力は許してくれる?~の次の日です
#91~力のやりとり~と同じ時間です。
…章管理で……未定です。
『ピロリン!』『ん?』
携帯電話がメールの着信を伝える。文面はこうだ。
『今日の2コマ目、”基本法力理論Ⅰ”は教授私用の為、休講とします。宿題は参考書の巻末問題二問分として次の講義始めに提出する事※質問等はHP概要欄感想コーナーに。』
その文面を見た女子大学生・JDこと金山秋穂は独り言を漏らす。
「そうか…今日は全休か…教授も春終わりに大変なのかな……」
『秋穂ーー?まだ居る?悪いんだけど、車で買い出しに………』
突然だが、秋穂の今日予定していた唯一の大学講義一コマが急に休講となった事で一日休みとなった。
秋穂は玄関で靴を履いた所で、大学に登録している電子メールを着信し、それを確認した次第だ。
おまけに母親からは多少の用事を頼まれる。
秋穂の日中の予定は、昨日、サイクリングロードで迷惑をかけた男子大学生・山岡白樹に対して行う、”罪滅ぼし”になる。
ちなみに、妹の春香は勉強道具一式等の入った、ランドセル等を持たず、清瀬小学校へ登校して行った。
どうやら、何かの”発表をする準備”だけで、勉強道具が必要な授業はないそうだ。
小学生の授業は”勉強”が無い日もあり、大きなテスト等も無いのはうらやましいばかりである。
学校でやる事はその生徒本人や、先生・生徒の友達・とその親等から聞かなければ解らない物だ。
ましてや秋穂が分類される、”大学生”が一番他の人には解りづらいのだが、秋穂自身の予定が変わるので、妹・小学生の事を言えない。
そんな秋穂が玄関口で考えるのは、今日の予定である。
山岡と昨日のその後、”夕焼け公園”で話した次第では、『暇な時間に土系統法学研究所に顔を出す事』を約束されてしまった。
過去に訪れた事はあるので、敷居はそこまで高くは無い。
山岡は日がな一日、研究所内、もしくはその近くに居るそうで、日中は間違いなく常時近くに居るらしい。もしかしたら、アパートに独り暮らしでもしているのかもしれない。
今日の予定は
・予定が空いた今日、家の近くにある、『土系統法学研究所を訪れる』。昨日の今日だが問題は無いだろう。
・ついでに、家に襲撃して来た集団、『黒ジャージに土色仮面の男達の話を聞く』のも心の片隅に入れ、
・母親、四期奥様から頼まれた用事、『星&花に買い出しに行く。』
聞けば、山岡は秋穂と同じ清敬大学三年生なのだと言う。
山岡は秋穂と違い、清敬大学の本校舎では無く、土系統法学研究所に常日頃通っている。
学部が違う為だと思うが、大学三年生から、多くの部外者が立ち入りする研究所に通うとは、すごい様に思える。
秋穂達の学部三年生は、教授から講義を習うだけで、”大学生の研究”と言えば卒業研究、大学の次のステップの、大学院の修士・博士課程で行う事である。
秋穂達、学士課程の学生は呼んで字のごとく、学習する生徒だ。研究課程は院生の領分である。
研究は大学院でノウハウや知識を身に着け、研究は企業・若しくは企業と合同する形で大学の研究機関で行う物である。
……………………………………………………………………………………
余談だが、清敬高校の近くには一人用アパートや、高校生・大学生向け寮が多少なりとも点在している。
秋穂は清敬高校の校舎を視界の片隅に、研究所の建物に入り、今回はガラス張りの玄関受付に設置されたブザーを触り、『ブーッ!』と鳴らす。
『はい?』
出て来た男性職員は私服姿で体のいかつい、20後半か30程の男性だ。
男性職員はガラスの向こうで対応する。
「どちら様ですか?ご用件は?」
「金山秋穂です。清敬大学法力学部三年生の山岡白樹君はいますか?昨日、研究の手伝いを頼まれまして…以前、何度か行った物だと思うのですが…」
男性職員は秋穂の名前を聞き、二つ返事で納得する。
「ああ、金山さんね、……山は……ああ、はい、居ますよ。このまま進んで、右の部屋にどうぞ。今丁度起きてるので、お客様対応部屋にいます。」
山岡の事だとは思うが、ここでは安直に『山』と言うあだ名で通っているらしい。
秋穂は『はい。』と頷くと案内された場所へ歩いて行った。
……………………………………………………………………………………
来客用対応部屋のドアを開けたそこでは昨日殴り倒した男子大学生、山岡白樹が顔を若干膨らませて、来客用のソファに座っていた。
「…おはようございます。昨日は本当に申し訳ありません。顔は……今度、腕の良いお医者さんを紹介しましょうか?費用はこちらで持ちますので…」
秋穂は『丁度起きてる』と言う割に、別段普通に待っていた山岡に若干驚いて見せるも、山岡の顔を見て、本当に申し訳なさそうに声をかけた。
「それは整形を…?…あぁ、いや、有名な金山さんにこうやって協力の機会を作れたのは、自分としても嬉しい誤算です。これで、研究室内で自分の評価が上がれば嬉しいんだけど…」
とあけっぴろに言う山岡は複雑な顔色だ。
秋穂は返す。
「…一応確かめたいのですが、本来、この技は色々な許可が必要です。それをこうして、少しだけとは言え、技を見せるのですから……」
秋穂は苦笑とも、辟易して、とも言い難い顔で続ける。
「解っているとは思いますが、多少は注意して貰わないと……黄金化の技は、私だけならいざ知れず、家族にも迷惑が及ぶ物です。そこだけは理解して欲しいのですが…」
それを聞く山岡は『ややっ!』と言いたげに手を上げて頷く。
「ええ、勿論解っています。研究目的です。なんなら技で出来た物はお持ち帰りして貰っても…、金の価値なんて、もう今では無いに等しい物なんですから、大丈夫ですよ。バレやしませんって。それに……自分の力を使うのに、人の許可が”必要”なんて……ねぇ?……少しだけですから、金は1gも無いぐらいで構いません。作用の仕方、プロセスを見たいだけですから。」
秋穂は『はい、解りました。それでお願いします…』と言うと、施設奥の部屋に向かう。
秋穂も多少は勝手を知っている場所で、山岡の先導はいらない様子だった。
『ギィ…』とドアを開け、目的の部屋に訪れた秋穂は、その部屋の奥、地面がむき出しになっている場所に向かう。
そこは土の地面が露出して盛り上がり、土の高さは秋穂の身長と同じぐらいまで盛り上がっている。
立った秋穂の腰あたりから胸当たりで人の腕程度の大きさである。
山岡は後を追う様にして秋穂の右後ろに立つと、秋穂に声を掛けた。
「じゃあ、”秋穂さん”金の生成をお願いします。」
秋穂は『はい。』と返事をすると、その盛り上がった土を右手を触れさせると発言する。
『土操作『ググゥ…』、鉱物化!』『ピキッ…』
手が触れた場所・1cmほどの土が円柱になると硬化し、土器の筒に変貌する。
ここまではまだ一般的な技だ。
土系の法力免許を持っている者なら特段驚く程の事ではない。
『はぁ…金山さんのご令嬢…』『ひぇー…素人ながら見事な…』『ふぅん?良くもまぁ、ここまで引っ張って来れた物だ…』『へぇ?山もやるじゃん…』『ほぉ…これは…金賞物かねぇ…』
部屋にはいつの間にか数人の、白衣姿の学者風情の者達が現れ、秋穂の動きを見学している。
続いて秋穂はその硬質化した部分を両手で触り、一層の力を込めて発言する。
『黄金化!!』
秋穂が法力を送りこむと光り輝く。
秋穂は手を下ろし、技の結果を見せた。
『キィン!』とそこには黄金色が混じる。
硬質化した土に金が少し混ざっていた。
(ry




