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力の使い方  作者: やす
三年の春
92/474

#91~力のやりとり~

秋穂と山岡が、殴り・言葉で嬲られていた、次の日の早朝。

場所は清虹警察署の内部である。

厚手のシャツに動きやすいメンパンと言う、普段着の恰好をした飯吹は他の部署に顔を出していた。

内々の苦情を言いに…だ。

「すみません、特捜課の飯吹です。…前に清敬高校で、女子学生と騒ぎを起こした男性、山下隆一(やましたりゅういち)を釈放した理由を教えて下さい!その人物は過激派集団『この手で出来る事』に所属する容疑が掛かった者です。納得のいく説明をお願いします!!」

机を『バンッ!!』と叩く様は日頃の態度に、腹を据えかねたからだ。

普段の彼女は、どちらかと言うと温厚である。素顔の時は、だが…


机をたたかれた女性職員は特捜課の刑事に対して、正しい態度で返答する。

「…あっ、あの…私もそれは承知してたんですけど……容疑者の…山下さんは……立件出来る程の行動をしていないそうで…」

そんな可笑しな言いぐさに、飯吹はさらに机を『ダンッ!』と叩くと言葉を続ける。

「本気で言ってるんですか!!山下は清敬高校の女子生徒に向かって、殺傷性のある、真空の刃(バキュームブレード)を行使したんですよ!!しかも、山下は風系の法力免許を持っていません!!これのドコが!?『犯罪性のある行動をしてない』ですか!!薬物検査をすれば”薬物違反”で立件出来る事は明らかです!!」


遂に飯吹の剣幕に耐えられなくなったのか、飯吹と話している婦警は目を瞑り、叫ぶように言い返した。

「い、一応!風系の法力は、清敬高校の敷地内の発動ですし!取り調べで聞いた損害も、『亀の銅像が壊れただけ』という話で、後日、現場検証に伺っても。亀の銅像は傷一つ無かった物ですから!事件自体が『不幸な行き違い・間違いだった』と言う結論で、釈放しました!続きは担当した課長へお願いします!私は言われた事に従っただけです!!」

『なっ…』と驚いて見せる飯吹は、『釈放』なんていう事は末端の人間で出来る事では無く、詰め寄るべきは『上層部にするべきだった。』と、自分のこれまでの失態に気付く。


気持ち優先で動いてしまった為の失態だ。

自分の出身高校で起きた事件、しかも、同じ部活の後輩が巻き込まれていた為、ついカッとなってしまったのだ。

そもそもの話、その事件(にならなかったので住民紛争)の話を聞いたのは、昨日の夜で、動くのが遅すぎた事が大きい。

気付いた時には後の祭り状態だったのだ。

『くぅ…玄武の銅像は…教師……今は清田校長が直すからなのに…』と亀の銅像・玄武の、すぐに回復する秘密を漏らす。


清敬高校の清田校長が隠す趣味、土蔵・銅像作りだ。


『タッタッ…タッ!』『失礼します!』

そんな諍いを聞いて駆けつけて来た者が一人、飯吹の部下だ。

姿は仮面を付けた、法力警察のフル装備状態である。

『飯吹警部補!斉木警視長がお呼びです。』

「ん!?あぁ、鎌谷(かまたに)君か…ごめん!時間だった?」

鎌谷と呼ばれた、30前の男性法力警察官は少し、申し訳なさそうに言葉を返す。

『も、申し訳ありません!飯吹隊長!自分は今、03(バック)でして……覚えて頂けるように、より精進したいと思います!』

『ああ…』と言う飯吹、鎌谷堅持(かまたにけんじ)は、個人情報保護用に、仮面を付けている。

今は『鎌谷』では無く、『実戦隊員03』か、隊員コードネームの『バックパッカー』または、『バック』と呼ぶべきである。

飯吹は今、素顔である為に『飯吹』としか呼べない。

「ああ…ごめん…03(バック)……対策本部だね!」

飯吹は装備を整える為にロッカーに走りだした。


…それを間近で見ていた鎌谷は、言葉を漏らす。

『いや…『鎌谷』って呼んだ後、『03(バック)』って呼んじゃ…秘匿している意味が…それに、”対策本部”じゃなくて、”捜査本部”に変更しているけど………まぁ署内で別の部署だし…良いか…”良い物”が見れた訳だし…』

飯吹は割と本気で急いだ為、大きい胸を揺さぶっている事を気付けずにいた。

飯吹の頭には『清敬高校』の事しか頭に無い。

不自然な釈放と、それを許した清敬高校について、である。

不(ry

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