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力の使い方  作者: やす
三年の春
91/474

#90~力は許してくれる?~

100話で終わらせれる。そんな考えを持った時期が自分にもありました…

"反省"の話になります…

少しおかしな文を修正・改稿しました。すみません。

話は変わらないです。

『うっぷ……』と地面に倒れた男子大学生は、顔の左頬で赤くなった所を手で押さえ、うめいている。

サイクリングロードとは言え、自転車で明らかにスピードを出し過ぎ、危険な走行をした小学生中学年程度の男の子は、三歩ほどの所で秋穂達を見ていた。

秋穂達の場所は外灯で、そこだけ浮いて明るい。


自転車に跨った男子小学生の自転車用ヘルメット下の目には、さながら、スポットライトの付いた、格闘技リングの様に映った事だろう。

自転車小学生は、殴られて、未だ地面に倒れている男子大学生を見ると、そのあまりの痛がり様に状況を飲み込んで言う。

「……すみません!左のブレーキがおかしくなっちゃって…右のブレーキは使えるけど、そればっかり使うと親に怒られちゃうんで、前は全然音なんてしなかったのに、今はブレーキのききが悪くて…」

……

「…そ、そう…なの?……いや、自転車屋さんに持って行かないと…駄目だぞ……うん、自転車も車で、軽車両の扱いなんだ…から……って!す、すみません…大丈夫ですか?」

秋穂は一瞬、自転車少年に注意すると、殴り倒してしまった男子大学生の様子を見る為、しゃがみ込む。

見ると男子大学生は『っあぁ……』と上体を起こしていた。

「…あ゛ぁ~…おい!自転車のガキンチョ!今、帰り、急いでんのか!?」

男子大学生は自転車少年に怒鳴り散らす様にして言う。


大学生と小学生では10歳程度、年が離れているのかも知れないが、何ともやるかたない雰囲気である。

誰も二人の話し合いに入り込み辛い。…と言っても、話に割り込めるのは秋穂だけなのだが。……自転車小学生は逡巡した後、言葉を返す。

「い、いぇ……そっ、そろそろ………か、帰らないと……だ、駄目かも(・・)、しれません………」

何とも締まらない返事だが、咄嗟に嘘は付けないタイプなのだろう。

本音は”まだほんの少しは帰る時間に余裕がある”と言う意味の返答に思えた。


男子大学生は立ち上がると自転車少年の近くまで歩き、尚も話し続ける。。

「家まで歩いてどんぐらい?『えっ!……』………いや…じゃ、来い!」『え、えぇ……っ…す、すみませ』『ちょっと!待ってくれ!?悪いのは私だ!!この子はちゃんと逃げずに停まってたんだ!!許してやってくれ!この子の分は私が償う!!』

少年の神妙な困り顔を見てられず、先行きの悪さに不安を覚えた秋穂は、遂に苦言を呈する。


男子大学生は怒る権利…いや、もしあるなら、損害分を請求する権利があるが、それが妥当な物だとは到底思えない。


男子大学生は強気に声を出す秋穂に向けて、『はぁ…』と、ため息を零して言う。

「なら、アンタもついて来な…別に悪くはしないし……そこの駐輪場に自転車停めてるから、そこに物を取りに行くだけ!十分もかかんないから…」

そこから歩いて5分の所に、サイクリングロードを利用する人向けに駐輪場として小さな公園がある。

30台の自転車収容所を有する、休憩所を兼ねた公園だ。

名前は『夕暮れ公園』。

そこはなだらかに土を盛って丘が出来ていて、丘を割る様にサイクリングロードがあり、土の上には人口芝生が敷き詰められている。



終始無言で、自転車小学生が来た道を、戻る様に歩く一行は、キッカリ5分かけて夕暮れ公園に到着した。


すぐに自転車置き場に向かった男子大学生は自分の自転車・マウンテンバイクの後輪横に付いたポシェットの鍵を開け、『ベリッ!』と剥す。

中から注射器を取り出し、秋穂の横に立つ、自転車少年の自転車後輪に視線を注いだ。

「後輪のブレーキにグリスを差すから、これ。持って、照らしてて。」

『えっ…』と少年から自転車を預かり、代わりに小型の円筒状の懐中電灯を渡す。

小学生はたどたどしくも懐中電灯のボタンを押して自転車後輪中央をライトで照らした。

男子大学生は慣れた手つきで後輪の中心を触ると、注射器を刺し、中の黄色い成分を注入する。と、後輪に中央をさわり、グリス差しを終わらせる。

立ち上がった男子大学生は小学生に向けて『ほら。』と手を出すと、自転車と懐中電灯を交換した。


その小学生は先程までの困り顔を霧散させると、笑顔になって喋り出す。

「お兄さん!ありがとう!俺は下辺亮って言います。お兄さんの恰好いい自転車についてる、そのぐりす?が入ってた入れ物良いな!俺の自転車にも欲しい!普通は何もない所がゴデゴデしてて、一瞬、変に感じるけど、秘密道具が見えない所にゴテッて、たくさん入ってる感じ!!何処で買ったの?」

危ない・怖い感じで怒られると思っていた矢先、逆に助けてくれた事で気分よく、朗らかに言った。


そんな態度に肩透かしを食らった、男女の大学生二人である。男子大学生が言葉を返す。

「したなべ?ふぅん?俺は、山岡白樹(やまおかしろき)って言うんだけど…その入れ物は”リアサイドバック”ってやつだよ。結構高いし…ガキンチョのチャリにはサイズが合わなくて付けらんない。商店街の自転車屋にあるよ。ほら、もうさっさと帰っとけ!もう危なく走んなよ!雨に濡らしたりしてると、すぐギーギーなるからなー!」

そんな感じに自転車小学生、改め、クラスではトラブルメーカーな男子児童、下村に向かって『しっしっ!』っと手を振る男子大学生、改め、山岡白樹である。秋保は山岡のした事に納得し、慌てて向き合った。

「ご、ごめんなさい!!…勘違いして…小学生相手に"カツアゲ"でもするんじゃないかと思って…自転車の修理…異常を直そうとしてたのに…別に、怒ってる訳じゃなかったんですよね…」

秋穂は茹でダコの様に顔を赤くさせ、必死に頭を下げて謝った。『穴があったら入りたい!!』と思っている。

そんな秋穂の声を聞いた山岡は『え?なんで?』と言った感じで反応した。

……

「いや…『殴られた事を許した』って訳では……無いと思ってたんだけど……」

………

秋穂は土下座した。

勿論そんな事をされた山岡は、ただ迷惑なだけだった。

不(ry

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