#88~力の不審者~
秋穂は教育学部の三年生と言う、忙しいのか暇なのか微妙な学年にいる。
嵐の前の静けさ…とも言えるが、大学内の他の専攻学部に比べれば、幾分か時間を取れるだろう。将来進む道が違うのだから、比べるのもおかしい噺だが…
秋穂はその日に選択していた講義をすべて終わらせ、清敬大学本校舎に併設された駅から電車に乗る。
自宅の最寄りの駅、清虹市北にある、土旗駅に到着する。
家の方角にある、清敬高校や、雨田家・金山家等の住宅地は全て清虹市土旗○○ー○○(○の○)が住所だ。比較的に出来たばかりの土地で区画整理が完璧で、碁盤の目で住宅が広がっている。
中でも金山家は住宅地の一番はずれに位置し、駅からも歩く。
その方角に帰る者は駅から続く商店街・土旗商店街、サイクリングロード、住宅地。と歩くのが一般的だ。
バスも無くは無いが、少しはずれに停まるので、歩く時間と少しも変わらない。
時刻は夕暮れ時少し前。帰り道を歩く。
ちなみに、住宅街の時間別性犯罪(強姦、強制わいせつ等)の発生率は、朝の通勤・通学頃の7時から9時ごろに一時的に増え、その後収まり、上がったり下がったりの横ばいで昼を過ぎるが、17時ごろからまた徐々に増え始め、夜中の一時をピークに減少する。
秋穂は自分の見てくれに自信を持たないが、”もし自分に不埒な行いをする輩がいれば、自分の手で成敗してやる!”と思う、漢勝りな気概を持つ。
二十歳の女性にしては少々無謀な考えだが、それをやりきれる技と力をそろえている。確かな女傑だ。
勿論、”色目を使って誘惑する囮”等という、バカな事はしない。
秋穂は商店街を進み、さびれつつある店舗を曲がる。と、そこは徒歩も可能なサイクリングロードが伸びている。
空模様や空気については、風は微風で、雲が多い空の下、徐々に暗くなる頃合いである。
点々と続くサイクリングロードの外灯に目が慣れた頃、秋穂は『カツン…』足を止めた。
視線は前に向けている。
……
「…どちら様ですか?暗い所で息を顰めるのは間違われる元となります。何をされているのか解りませんが、退いて頂けますか?」
秋穂は街灯の近くに立ち、そんな事言った。
街灯の合間・比較的暗い場所には、四つん這いの、顔を歩行者通路脇の茂みに突っ込んでいる男向かって。
言ってしまえば不審者一歩手前だ。
若干とげのある秋穂の声を、お尻を向けた男性が『っちょ!』と喚きながらも立ち上がる。
「す、すみません!!ここの土は栄養源が無いのに、微生物がいたものでっ…」
男は身体に付いた土を払い、顔を上げて見せる。服は黒っぽい。
『っ!』
男の顔を確認した秋穂は咄嗟に身構えた。
……
「あっ、あぁ!すみません!大学の研究所で売ってる、『土壌観察キット』の装備品でして、ルーペに、防塵マスク、ちょっとの対ガス性能が付いた、優れものなんですよ。」
男はドーム型マスクの上端に単眼拡大鏡が付いた物を外す。
そこには目鼻立ちがしっかりした顔である、目立つのは若干太目な眉毛が整っている事だ。
俗に言う、好青年なイケメソがいた。
不(ry
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