#87~力の学校~
秋穂は講義受講の為、清敬大学の本校舎に到着し、同学年で高校からの顔見知り男子・吉川恭輔を昼休憩の合間に探していた。
学年が違うも、吉川と同じ学部の一年生、風間凪乃と連れ立って動いている。
やっとの思いで目的の人物が居るであろう部屋・図書室前の廊下に秋穂と風間は居た。
「はぁ…図書室で講義をするとは、学部が変わると、こうも違うのか…いや、私の学部でも似た様な事するけどね」
秋穂は、吉川と風間が通う学部が自分の専攻する学部と違う事に驚いている。
秋穂は教育学部に在籍し、風間と探し人の吉川は文系学部に在籍している。清敬大学本校舎は大きく、文系とそれ以外では顔を合わせない程棲み分けられている。
清敬大学は
理系の理学部・工学部・農学部・医学部・薬学部とあり、
文系の文学部・社会学部・外国学部・経済学部等をカバーし、
文理に囚われない、総合学部・生活科学部・芸術部・教育学部等を有している。
理系は専門の機材・設備が特に多く必要で、それらは第二校舎に集めらており、清敬大学本校舎から西へ、少し離れた場所に所在している。
ちなみに第二校舎の近くには『清法敬郷敬大学 風系統法学研究所』を備えている。
法力について研究する、”法力学部”を備えている大学は、この時代でもそれほど数は無い。
しかし、『法学部』と一息に行ってしまうと、少し複雑だ。
弁護士や、検事と言った者を志す、法律関係と、昔は無かった法力は共存出来ない仕組みで、
『法力分野と、法律分野は、一つの教育機関に設置出来ず。』
と、法律で決まっている。世界的に生活水準の高い国で見られる傾向だ。
”法律”と”法力”は相いれず、その例外は王政国家でしかありえない。
秋穂が図書室に入ると、図書室の一角で準備を進めるのは文系の学生で、本人にはその意思は無いのかも知れないが、秋穂は疎外感を感じてしまう。
『文系じゃないのに、文系テリトリーに入って来て申し訳ありません…』と。
勿論、清敬学校の者で、全学生の顔と専攻学部を暗記している者は、多分…居ないが…
それを察知したのかは解らないが、風間が先に手持ち無沙汰の男子学生を捕まえ、話をかける。
「突然すみません、社会学部一年の、風間凪乃と申します。吉川先輩、いえ、吉川恭輔先輩は、どちらにいらっしゃるか解りませんか?よろしければ教えて頂けると助かるのですか…私は吉川先輩と同じ、清敬高校出身の者でして…」
名も知らない男子学生は風間のスーツ姿にたじろむも、秋穂の美貌に見とれてから反応する。
「…吉川?……あー!恭輔の!アイツ先週、『土系統法学研究所のバイトが忙しくなって来たわーやべぇ事になって来た…』って言っててさ、その頃からメールも、遊びに誘っても、なしのつぶてでさー、悪いけど…力は貸せそうにないかな?…あ!それより!良かったら連絡先交換しない?文系であまり見ないけど……ミは…山さんでしょ?…今度暇だったら……あれ?スーツの一年…風間ちゃん?…君は良いけ……顔…怖………」
秋穂に向かい、声をかけていた、名も知らぬ男子学生は風間が身体を割り込ませる様にして話を持って行く。
何故か知らないが、声が遠くなる様にしてフェイドアウトするので、申し訳ないが、風間に対応は任せる事にした。
次の行先は、高校近くの土系統法学研究所に向かう事にした秋穂である。
今はまだ自分の講義が控えているので行けず、これ以上一年生の風間を連れまわせない。
不(ry




