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力の使い方  作者: やす
三年の春
87/474

#86~力の弱点~

ブクマ・評価ありがとうございます。

すみません。教育実習は三年次でしたね……

秋穂が帰宅すると、玄関から扉一つ隔てる居間から話し声が聞こえる。

声は母親の四期奥様だが、相手の声が聞こえない事を考え、そのまま廊下を通って部屋に向かわず、居間へのドアを『ガチャ…』っと開ける。


見れば、携帯電話を片手に四期奥様は話し込んでいる。

秋穂は声を出さずに『ただいま帰りました。』と口を動かせば、四期奥様は反応する。

「今、秋穂が帰りました。ええ、……では、お願いしますね。……はい、失礼します。」

四期奥様は、秋穂が帰った口実に電話を終わらせ、秋穂に向き直ると返事をする。

「お帰りなさい、秋穂。賢人(けんと)さんからの電話だったけど、昨日、清敬大学第二校舎近くのビルで、殺人があったんですって、秋穂を心配して電話なんて、ねぇ?秋穂は第二校舎には行かないのでしょう?賢人さんは心配性ね。」

秋穂は『電話はお父様でしたか。』と頷くと笑いながら応える。

「お父様はお母様に電話を掛けたかったのですね、私が心配なら私の携帯電話に……あっ!…」

話してる最中、秋穂が懐から携帯電話を取り出して画面を見る。と、失敗顔を覗かせた。携帯電話には、父親からの不在着信が一つ。

どうやら清敬高校の剣道場で着信していたらしい…。


四期奥様がそれを見届けると秋穂に声をかける。

「秋穂の考え、私に電話を掛ける口実なのは当たってるわよ。私と電話した後で秋穂に電話を掛けてたみたいだから。その後また私に電話してた」『カチャ…』

四期奥様の言葉じりに被せて居間のドアが開く。

そこには、大学から帰り、雨田家に向かう準備を整え、出発する前の風間が立っていた。

「お話中、申し訳ありません。四期奥様。秋穂お嬢様はおかえりなさいませ、お夕飯の準備を終わらせましたので、これから勝也君の家に伺います。一つ、申し訳ありませんが、食材の備蓄がそろそろ底をついてしまいます。春香お嬢様の誕生会用に買い出しが必要かと…今晩のお食事が終わりましたら…ご自分でお皿をお下げ下さい。お皿は私が帰り次第……」「風間さん、お皿洗いぐらいは私がやっておくし、食材の買い出しは私が今度、スーパーに車で行くよ。」

風間の、雑事を背負い込む言葉の途中、秋穂から言葉が入り込む。


続けて秋穂は、風間に頼んでいた事を聞き始める。

「それより、吉川君の電話番号は聞いているかい?もしまだなら、風間さんを使っている様で悪いから…じ、自分で、吉川君に聞きに行くよ。」

秋穂は何気なく風間に男子の電話番号を聞いた。

「そ、そうですか?……で、では……いっ、いや、でっ、でも…」

何とも煮え切らない風間である。


そんな一幕を見ていた四期奥様は微苦笑交じりに声をかける。

「ふふっ、秋穂()男の子と遊ぶのは良いけど、夜遅くに、一人で出歩くのは駄目よ?そろそろ清敬高校へ、教育実習しに行くんでしょう?私は良く知らないけど…清田先生の学校で、気を抜かさせれないわ。勿論、他の高校でも遊んではいられないと思うけど…」

四期奥様は秋穂の目指す職業、『高校教師』を言い、そろそろ遊べない事実を述べる。


が、秋穂は母親が想像している事を思い、顔を赤くしながら否定し始めた。

「お、お母様!ち、違います!!吉川君は…高校の剣道部仲間で……あ、”遊び”ではありません!!」


『………』

と三人が静まる居間では面白い事に、三者三様の気持ちだった。

「いっ、いや、”遊び”と、言っても、男女の仲とは、っ!…ちっ、違い!こ、こう!た、頼ると言いますか…これを契機に大学の人と親密なつながりを…って、…いっ、いや、それもまた違って…」

秋穂はらしくも無く、慌て始める。

四期奥様は”全てを”理解し、『はぁ…』と嘆息する。ちなみに風間は『あぁ…』と隠してた物がバレた顔だ。

「秋穂、分かっています。貴女に”浮ついた関係”が”無い”ぐらいはね…まぁ、それはそれで困るけど…それに、そんな(・・・)相手なら、電話番号を聞くのが遅いでしょう?もう少し、余裕を持ちなさい?貴女の性格を思えば…剣道がらみなのでしょう?風間さんも、過保護は…ね?有事の(・・・)時に、これじゃ…私が恥ずかしいわ。相手の男の人に。」

母親の言葉の意味が解らず、『有事の時』に見当が付けられない。風間の『は、はい…』という返事を聞いた秋穂はそのまま話を切り上げに向かう。

「で、では、食糧庫を見て、買い物の予定を決めます。その後は…部屋で大学の勉強してます…じ、じゃあ、風間さん、勝也君達によろしく…」

秋穂は重い足取りで調理場へ向う。ちなみに秋穂はまだ男子と手をつないだ事も無い。竹刀では鬼の如く触れ合っているが、相手は恐らく、目も合わせていないだろう。

残る風間は所在なさげに四期奥様に話し出す。

「申し訳ありません…四期奥様、秋穂お嬢様の為を思って男子を遠ざけていたのですが…すこし、いえ、大分…やりすぎて…」

そんな懺悔を聞いた、四期奥様は『はぁ』とため息の後、風間に言う。

「…貴女は知恵さん…いえ、知恵おねぇさんの子供でしょう?なら、凪乃さん、あなたは私の娘も同然、下の娘の影響で、上の娘に弱点があるなんて普通の事なんだから。…春香は勝也君が居るけど、秋穂はなんでこうも男っ気が無いのかしらね?」

そんな事を言う四期奥様の前で、『……』と黙る風間は『私が寄って来る男性を排除しているんです。』とも言えず、代わりに他の事を聞く。

「知恵お母さんは何時から金山家で働きだしたのですか?四期奥様とは姉妹の様に仲が良いと記憶していますが?」

『あら?知らなかった?』という顔の四期奥様は言う。

「私の父が知り合いの施設から預かってからだから…多分、十六歳ぐらいね、私が小学生になった時だったから、間違いないわ。知恵さんに会いたくなったの?」

風間は”施設”が何処なのか気になったが、四期奥様が言わない所を見ると、多分知らないのだろう。

特に理由があって聞いた訳ではないので、

「いえ、気になっただけです。深い理由はありません。」

とうやむやに流したのだった。その後、いつもの様にして、ロールで雨田家に向かって行った。

不(ry

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