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力の使い方  作者: やす
三年の春
83/474

#82~力の遠足、終了~

川の上流方向を東→西と改稿を入れました…

単なる東西のミスでして…お許しください…

「清虹公園を横に横断する川は、清虹市を象徴する清虹川です。清虹公園は意外にも、釣りスポットとして昔はコイやフナ等が釣れていました。」

五班、班長を務める郡山(こおりやま)は日本人形の様な顔で、淡々と言葉を並べている。

勝也を始め、一組の皆は『ふぅん…そうなんだ』と曖昧ながらも驚いた。郡山は日本人形の様な髪を振るうと続ける。

「でも、今回の遠足では、一匹も魚を釣れず、川に入って目を凝らして見ても、魚の影も形も見えませんでした……」


釣果0と言う事らしく、『自然公園の季節を見る(春)』の発表的には残念な結果であろう。

『おふざけが過ぎた五班…』として、ある意味で期待は裏切っていない。

『総合』時間では一番作業をして、忙しそうに動き回ってたと思ったが、遊びまわっていたのかも知れない。


五班の人選は…はっきり言えば、遊びを重視している。後から『発表』を付け足された事が運の尽きだったのだ。

勝也は、五班の発表は終わった。と見切りをつける。

自分の班・壱班で行う『投票』用の写真を準備するべく、椅子に掛けたランドセルから写真を取ろうと動き出す。と…

「…そこで私たち五班は、”三十年前には釣れた。”と言う魚とこの三十年で何が起こったのかを調べました。」『えっ!』

郡山は勝也の思惑を外れ、気になる事を話していた。


勝也の驚き声を聞いた郡山は勝也に話しかける。

「えっ?雨田君、何?」「あ、ごめん!『三十年前には釣れた』の前に何を言ったか…ちょっと聞き洩らしちゃって…」

勝也の言いぐさに『聞き取りづらかったかな?』と言った表情を浮かべると、律儀に言い直してくれる郡山である。

「神田先生が、昔、『子供の頃に清虹公園で魚を釣った』と聞いたので、神田先生にどんな魚が釣れたのか聞きました。そこで私たち五班は”三十年前には釣れた”と言う魚とこの三十年で何が起こったのかを調べました。これで良い?雨田君?」

「あ、ああ!神田先生に聞いて…わざわざ言い直してくれてありがとう。郡山、ごめん。」

勝也のそんな言葉に続き、他の児童達も『神田先生!釣り趣味って子供の頃からかよ!』と言った感想が漏れ聞こえてくる。

どうやら勝也と同じ様にしていた者が多かったみたいだ。


郡山は勝也に中断された発表を再開する。

「まず、コイとフナと言っても正確に言うと、オイカワや、クチボソ等で………って、時間が足りないので省略しますが、大体、大きさは五~十三cm程で、大きい物では十五cmになるそうです。」

喋るスピードや、四班のヤモリ脱走、勝也の中断があり、五班の発表時間は短くなっている。

「魚がいなくなってしまった理由ですが、一つは川の汚染です。

公園よりも西側の上流でゴミ投棄などが多いらしく、川の水は昔と比べると汚れているみたいでした。二つ目の理由は、外来種のオオクチバスや、コクチバスと言った通称・ブラックバス、かなり前から居る、ニジマス、ブルーギル等の強い種が繁殖する為、日本の川魚の種類が減っている為です。」

釣れるはずだった魚や、その魚が消えた理由を、手元のメモを見ながら言っていく。


…少し趣きが異なってきたが、…言葉を続ける郡山である。

「公園で”魚が釣れない”と困っていた私たちは、清虹川の水質調査をしに公園へ訪れていた、清敬大学のお兄さんと会いました。」

勝也は郡山の声を聴くと、『日中に公園って…どんな事情で公園に居たんだろう?』と思い浮かべる。

郡山は言う。

「清敬大学のお兄さんは法力の水系を研究しているお兄さんで、他にも色々な事を教わりました。」

勝也の母親、雨田澄玲は”清法敬郷大学 水系統法学研究所”に顔を出しているらしい。

だが、自然公園にある、『川の水質調査』等は他の人・他のグループがやっているのだろう。

澄玲のやっている事は、医学にちなんだ事であろうから…

郡山は大分話がそれているが、壮大な事を言いだした。


「私たちが”魚が釣れない”と、お兄さんに言うと、『春に定例で行う、川の清掃ボランティアに参加したら良い』と言ってくれました。私たちは放課後に清瀬小学校の南にある、河川敷となっている清虹川へ行き、ボランティアに参加していたお爺さん、お婆さんに、『清虹川の魚釣り話』を聞いて、次の日から模造紙を埋めていきました。二十年前に川の主を釣り上げたと言う、ボランティアに参加していた、金田さんのお話なんか面白いと思います。廊下に張り出されたら見て下さい。五班の発表を終わります。質問はありませんか?」

五班の発表を聞き、実際は真剣に色々と取り掛かっていた五班に驚くクラスメイト達である。勝也は慌てて席を立つと神田先生が喋り出す前に投票用の写真を発表した。

発表の時間が終わったタイミングで投票の写真を見せる事で、写真のインパクトを鮮明にしようとしたのだ。春香の案である…


勝也・公園名の入った、公園入り口の看板を写した写真(看板の横に桜)

七川・黒模様の羽を広げた蝶々(ピンボケ)(アゲハチョウ科・ギフチョウ)

純一・休眠中のクワガタ(倒れた朽木を剥いた様子)(コウチュウ目・クワガタムシ科・ノコギリクワガタの幼虫で細部は不明)

春香・杏を中心に据えた写真(バラ科サクラ属の落葉小高木)

マナー・飯吹を中心とした、遊具での集合写真(飯吹・斉木・春香・山郷兄妹・七川・勝也が遊具をバック)

朱音・公園の中心・広場を写した写真(人物無し地形のみ)

互いに特に打ち合わせは無いが、被らずに写真をそろえられたのは僥倖だった。


投票を『清虹公園遠足・写真展』と、名付ける勝也。

『清虹公園の季節を見る(春)』遠足で残す工程は、月末の全校集会に神田先生による発表で、その前に今の写真での集計・全学年向け投票の写真選定である。

不(ry

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