#7~力の始動~
行間を少し付けました。
金山家を見下ろす者が居た。その者は家の敷地に侵入しようとしている。
途中、妨害を予想されるが思惑通りに家に入る者の後をつけ、見事に侵入する。それがおぼろげに見るのはお肉を食べる勝也。
勝也は音を聞く。『ガチャン……』
「あ!秋穂お姉さんが帰って来ましたね。お客さんですか?あれって……」
その場の全員が見ると丁度秋穂が帰宅し、後から続いた人物に向き合っている。
その人物は門の陰になって勝也達には見えない。
「帰ってきたわね……ん?風間さん、見てきてくれるかしら?」
四期奥様は門の所で何かを言い合っている秋穂に不審を覚え、風間に言う。
「はい。」
勝也達はその成り行きを見ている。
風間が向かい、秋穂に帰宅の挨拶を交わすと風間が一緒になって何かを言っている。
程なくして秋穂がこちらを向き、BBQをしている倉庫前に来るかと思えば、後に続く人物を見て、勝也兄妹は驚いた。風間は門を後ろ手に閉める。
「母さん!」「…………お母さん……」
秋穂が連れて来たのは雨田澄玲、勝也達の仕事中のハズである母だった。
澄玲はどういう顔をすればいいのか解らず、にやけ顔だ。
「勝ちゃん、厘ちゃん、来ちゃった……、金山さん、今日は親子でご馳走を頂いて、ありがとうございます。代役の医師まで呼んで下さって……」
澄玲は四期奥様に向かい合い、お礼を述べる。
「いえ、急にお呼びしてごめんなさいね、大さんはさすがに呼べなかったけど……今日は久しぶりに親子三人で遊んでいって下さいな。」
地方で仕事をしている父親の名前までだされ、閉口して笑うしか無い雨田親子。いや、厘だけは別の所を見ていた。
「鳥さん……どこ行ったんだろう?」「っ!!厘様!その話、詳しく教えて頂けますか?」
風間は厘の他愛無い言葉に狼狽えながらも、問い詰める。
「おねぇさんがドアを閉める前に透明な鳥さんが入って来たの。」
「透明って……なんだそりゃ?……そんなのいないだろ。」
勝也が疑う様に言うと厘は怒ってしまう。
「居たの!!透明な鳥さん!!」
「解りました。私は信じてますので、どこに飛んで行ったか解りますか?」
風間は深刻な顔をして厘に聞く。
「風間おねぇさん、厘の嘘を真面目に聞く事無いですよ?」
勝也は本気になって嘘に乗ってあげている風間に言う。
「嘘じゃないもん!……ふんっ!!」
そっぽ向き、手が付けられなくなってしまう。風間は咎める様に勝也に言う。
「勝也様、私は本気で聞いています。茶化さないで下さい!」
いつもの感じではない風間に勝也を始め、その場の誰も声を挟めない。『はぁ……すいません……』と不承不承謝る勝也。
「厘ちゃん、お母さんは信じるから風間さんに教えてあげて?春香お姉ちゃんみたいに厘ちゃんも着物姿が可愛いから、ね?そんな怒ってちゃ春香ちゃんと一緒に居ても可愛く無くなっちゃうよ?」
澄玲が優しく、導く様に言うと機嫌を少し直して家を指さす。
「おうちのあっちに行ったと思う……」『ーードンッ!!ガラガラパラパラ……』
と言い終わった所で派手な衝撃音がした。続いて破砕音。
「くっ、しまった!!聞く前に確認するべき……みなさんはこの場に……」
と言い残し、神速の速さで走り出すと家の反対側に向かい、その目で確認する。
と四期奥様の目の前に戻り、頭を下げながら報告する。
「家の壁に穴を開けられました。場所的に警報装置が壊された可能性があります。ご指示を!」
金山家のセキュリティが一時的に麻痺している状態である。
今この時侵入者が現れれば、すぐに警備会社に通知されず、警報装置の破損を警備会社に連絡するか、別の方法で自衛するかの選択が必要だ。四期奥様が判断する前に変化が起こる。
『ドコッ!ドコッ!バァン!』
門が外から破壊されてしまった。門の外に居たのは…
すみません…続きますが…次作は…気分が乗れば…早めに頑張ります。