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力の使い方  作者: やす
三年の春
78/474

#77~力の心残り~

厘は立花店長が持って来たアンケート用紙に、ぬいぐるみについて・クレーンゲームの難しさについて・クレーンゲームの楽しい所、を書き始める。

その引き換えに春香、厘はアイスドリンクを渡される。

本当は一つだけの提供だったみたいだが、そこは店長権限で春香と勝也にもサービスしてくれるそうだ。勝也は慌てて言い繕う。

「い、いや、厘だけでもありがたいですから…俺の分は良いですよ!さっきアイスドリンクを飲んでたんで…これ以上体を冷やすのも良くないですし…」


子供らしくない勝也の言い分に『そんな遠慮しなくても』と言いたげにする立花店長である。勝也に軽い調子で声をかける。

「ふふ、実は私にも君たちぐらいの娘が居るんだけど、君はしっかりしているね。ウチの娘たちは欲しい物は進んで言うんだけどな…ほら、サービスして、『今後とも御贔屓に…』じゃなくて…『代わりに今度また買い物に来てくれればなー』って言う思惑があるからいいんだよ?」

立花店長はお客様向けの言葉遣いを潜め、本心からの言葉をしゃべり始める。勝也は『遠慮し過ぎも良くないのかな?』と思い、言葉を選んで話し始める。

「じゃあ…本当にアイスドリンクを飲んで、体が冷えちゃった気もするので…何か暖かい飲み物を貰えませんか?一番安いのでお願いしたいんですけど…」

勝也の子供心丸出しの遠慮に『ふふふ…』と微笑みを漏らし、提案する。

「では、スタフラ直営カフェの、”法力増強ドリンク”でも良いですか?裏メニューでホットも出せますよ?」

勝也は秋穂が飲んでいた事を思い出し、むしろそれが良い!と『それでお願いします!』と声を出す。


厘がアンケート用紙を書き終えると、写真は適当に人形だけにして貰い、インスタントカメラでぬいぐるみを撮るとゲームコーナーの掲示板に持っていく立花店長だ。

勝也はこういった事で不特定多数が見れる写真が残る事を良しと思っていない、厘の判断に『写真、写らなくてもいいの?』と軽く聞くだけだ。

春香はそれらを情景に、全体を見ている。


掲示板を見ると、前に同じ様にして大物ぬいぐるみをゲットしたお客さんが居た様で、掲示板に飾ってある写真には、おばさん・中学生ぐらいの集団・大学生らしい集団と、いろいろなぬいぐるみの一枚がある。

写真の周りには『↑これ欲しい!もう一個出して!店員さん!』『←こいつかっこ悪い』『←( ´∀`)< オマエモナー』

と言った様に書き込まれた文字がたくさんある。

立花店長は笑いながら話す。

「自由書き込みスペースになってしまってるので、お嬢さんみたいにぬいぐるみだけのお客様も沢山います。

実はもっとあったんですが、『記念に欲しい』と思われた物は御本人が来て頂ければこの写真をプレゼントする事にしていますので、覚えておいてください。こちらとしてはせめて一年ぐらいは飾っておきたいのですが、一週間後からお渡しします。現物支給ですので、保存状態はご容赦ください。防水カバーは付けるので滅多な事では汚れません。」

そんな言葉に勝也は、厘の兄として『はい、ありがとうございます。ごちそうさまでした』と代わって礼を述べた。



ゲームコーナーのクレーンゲームで行っている余興を終えた立花店長は店の裏手に戻る。

見ると、勝也達に対応する直前に繋ぎ止めていた、サングラス男達は忽然と姿がいなかった。

別の者が立花店長が居ない間に訪れた様で、土で出来た刺又と地面は見事に砕かれている。

『むぅ…』とため息をもらした立花店長は砕かれた地面に手を置き、『土操作(ソイルオペレーション)』と発言し、地面をならす。

スタフラが契約して常駐している警備員にその旨を報告すると、スタフラ業務に戻って行く…大手スーパーでは時々ある事であった。


秋穂の運転する車の中では、ぬいぐるみをこよなく愛でる春香、厘。

秋穂は小さく『可愛いい、なぁ…』とこぼし、その声は聴かなかった事にする勝也である。もしかしたら秋穂もぬいぐるみが欲しかったのかもしれない…

春香は一人、『んー…アンケートか…』と考えを巡らせていた。


不(ry

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