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力の使い方  作者: やす
三年の春
75/474

#74~力の頼み~

厘が背負っているぬいぐるみは本来四つん這いのぬいぐるみで、全長は1mほど、胴体の幅は10cmはある、なんらかの四足歩行動物をモチーフにした物だ。

スタフラのマスコットキャラで、名前は”スタン!フラァ”外国語での『土地』を意味したり、他の国の言葉では『気絶』をもじっているという噂だ。非公式的でだが…

ぬいぐるみの顔は、昇天しそうな安らかな表情で、女性を中心とする、熱烈な愛好家は海外でも存在する。


春香は勝也の飲んでいるアイスドリンクを見て『いいなぁ…』と言うと、秋穂に預けていた荷物を両手に持ち、胸で顔ぐらいのぬいぐるみ・”子スタン、フラッ…”を持つ。

厘は取って来た巨大ぬいぐるみだけでも『んぅ…』と大変持ちづらそうにしている、

今は誰も手伝う余裕が無い。

遊んでいる間は勝也がテーブルに置き、厘が持っていた荷物を持ち運べない。


「そんな大物を取って来れるなんて…厘ちゃんは本当にゲームが得意なんだね…それ、クレーンゲームの目玉景品だろう………」

秋穂は厘の捕って来た大物を見て驚くと、流石に児童の手伝いが居るにしても、買い物を欲張りすぎた事を悔やむ。

「私と春香が荷物を車に置いて来るから、……二人はそこで待っていてくれ、もう帰るから、そのつもりで頼んだよ。」


秋穂は歩き出そうと椅子から立ち上がる。

と、そのタイミングで従業員入り口から出て来た男性が声をかける

「お客様!いつもお買い上げして頂き、誠にありがとうございます。少しお時間を頂きたいのですが、よろしいですか?」


健康的な色黒肌・筋肉質な体をスタフラ従業員作業服に包み、恰幅の良い体を前に折る体制の男性店員が現れる。

見事な営業スマイルは男前な三十頃を思わせる。


秋穂と春香・勝也も、突然の呼びかけを少し遅れて『…はい?』と対応する。

男性店員は厘に向け、営業スマイルを柔和な笑みに変えて話しかける。

「お嬢さん!良く、スタン!フラァを救出できましたね、ここでそれを一日でやった人は、これまで居なかったのですが、見事な手際です。」

「うん…タグもピンも無いから、ナイアガラ落としで………」

『あれで!』と店員が驚きの声をあげ、厘と二三言葉を繋げる。


クレーンゲームで”救出する”とはぬいぐるみを景品口の穴に落とす事を指す。

クレーンゲームを檻に見立て、”その檻から出してあげる”と言う、一種の業界語である。


空いた一息にその店員は秋穂に向き直ると話し出す。

「車でお越しの場合は、車までカートをお使い下さい。駐車場にもカート置き場がありますので、そちらに戻して頂ければ助かります。」

男性店員は秋穂の『あぁ、そうですね、助かります』の言葉を聞くと、さらに言葉を続ける。

「よろしければクレーンゲーム景品救出のお祝いに記念撮影してもよろしいですか?ゲームコーナーの壁に記念として残ります。プライベートの観点から写真を残したくない場合はぬいぐるみだけの写真だけでも残して頂ければ幸いです。また、アンケート・感想等も添えて頂くとうれしいのですが…」

勝也達はあまり聞かない事柄に躊躇する。それを見る店員はさらにとどめの言葉をもたらす。

「勿論、ご協力いただければ、この場でドリンクを一つ、無料のサービスとして御提供致します。」


普通のゲームセンターでは行わない余興だが、厘が救出したぬいぐるみはそれだけスペシャルな物なのだろう。

『こういった人形があった。』『こんなに取れにくそうな物を取れた!』と写真で残るので店にも、ぬいぐるみを欲しい客の琴線に触れる手法だ。

何と言っても、スタフラ限定商品で非売品。さらにぬいぐるみの造形は他にはない、ユニークな愛らしさがある。


そんな事を思い描く勝也と違い、春香は即決で返事をする

「はい!アンケートを書くので、アイスドリンクを一杯下さい!!」

不(ry

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