#71~力の手伝い~
勝也達は学校で、清虹公園に関しての作業も大詰めに向かっている。科目の授業は大幅に削られ、時間割は『総合』・『自然公園の季節を見る(春)』ばかりである。
七川はマナー・春香・朱音の女子三人が他の作業をに掛かり切りな事を良い事に、手よりも口を動かして勝也に話かけている。
「なぁ…金山の言ってた秘策って…何か聞いてる?雨田先生、それってまだ間に合うの?」
春香の無策の真相を知っている勝也は、それを装って『い、いやぁ…知らないけど……まだ時間があるから……』と無難に返す。
「んー……金山に男子で普通に話しかけてるのは勝也ぐらいだろ?……まぁ…別に良いんだけど…」
と、言葉を切り上げて黙り、そんな会話を聞いていたのかも疑わしい純一と作業を始めてしまう。
春香は家柄が災いしてか、積極的に仲良くしようとする児童は少ない。
別にいじめられている訳ではなく、ほとんどが悪気無く気後れしてしまう形だ。
特に七川の態度は”稀”である。
その反面、集団登校で家に向かったりと、七川は春香と深く関わらない程度に関係はあるだろう。
それは好き嫌いでは無く、雰囲気ありきで、である。
無論、七川個人としては、恐らく”一クラスメイト”としか思っていないハズだ。
そんなこんなで、一通りこの日の授業が終わり、児童達は下校し始める。
勝也は妹の厘と学校の玄関で合流して帰るが、その厘は春香を『一緒に帰りましょ~春香姉さまーん!』と誘う。
ちなみに今は集団登下校をしていないが、家が近くの者同士・一緒に住む兄妹が居ればその兄弟同士・家の者が運転する乗り物での送り迎え・での登下校が推奨されている。
強制ではないが、昨今の情勢不安による、スズメの涙な対抗措置だ。
一応は大判がそれを規準しており、今見える範囲で独り歩いている者はいない。
道路にある物を早く気付いた春香は勝也に『あれ?…あの車って…』と話しかける。
『あれ?って…確か…前に見た…』と勝也も一緒になり、道路に見慣れた車が停車されているのを注視する。
車に人は乗っておらず、路上駐車されている状態だ。
春香は周りを見回し、誰も居ない事を確認すると、制服のポケットから携帯電話を取り出して電源を入れる。
それを見てすかさず『学校に持って来たの?』と勝也が驚くと、『春香姉様!恰好良い!』と、もはや何でも良く受け取り、さらに懐く厘である。
『学校の中じゃ使ってないよ?』と春香は何処となく自慢げである。
前にも使っていたが、改めて見ると電話・シンプルメールぐらいの機能しかない、旧世代の携帯電話端末だ。
恐らく家族間でしか使わず、前の黄昏公園の教訓から、いつも持ち歩く事にしたのだろう。
携帯電話の電源が入ると即座に『ブゥーン、ブゥーン…』と振動し、何らかの着信を知らせる。
勝也はそれを覗き見る事も出来ずに春香のアクションを待ち、春香は携帯電話の画面を見つめる。
「車に乗って、何処か行くみたい…勝也はどうする?」
『えっ…』とどうしようか咄嗟に答えられずに困る勝也である。
…と、いつの間にか厘が車の持ち主を連れて来る。
学校前の公園にある、公衆トイレを使っていたらしい。
「やぁ、春香、今メールを見たのかい?まぁ…そういう約束だしね、買い物に付き合ってくれないか?荷物が多い買い物をお母様に頼まれてしまって…物のついでだ。勝也君達も良かったら、買い物の前に家まで送ろう、良ければ乗ってくれ。」
と声をかけながら、厘に手を引っ張っているのは春香の姉、秋穂である。
「はい、ありがとうございます。……でも、買い物も手伝うので、そのまま買い物に連れて行って貰えませんか?スーパーならそっちの方が手を煩わせなくて良いですよね?」
と手伝いを申し出る勝也である。
不(ry




