表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力の使い方  作者: やす
三年の春
69/474

#68~力は咄嗟に~

すみませんすみませんすいませんすみませんすみません……

勝也は一人、自宅の居間でテレビを見て時間を過ごしている。

夜の8時を過ぎたあたりで、夕飯は7時ごろに済ませてある。


今は凪乃と厘が一緒に入浴中だ。

勝也は一番風呂を強要され、カラスの行水を行った次第である。

一人なのを良い事に独り言をこぼす。

「ふぅ……流石にカレーの連続はキツイ…てか…春()レーライスってなんだよ…明日の朝も同じだと……さすがにカレーも飽きる…」

勝也は自分の夕飯レパートリーが少ない事も忘れ、カレーの匂いが染み込んできた家を心配する。カレーなどの煮込む物は大きい鍋で大量に煮込む事で食材のだしや、風味がマイルドになる。そういう事でカレーなどは多く作り置きして沢山煮込んだ方がおいしくなるのだ。…と、ソファから立ち上がって動き出す。

「き、キッチンの鍋を見て来るか…」

勝也は居間から台所に向かう………


『バサッ!』「…明日の献立を探りに来ましたーー…」

台所・食卓部屋の暖簾を、意味無く音を立ててまくる。

誰に言うでもなく、独り言で自分の行動を実況する勝也は、柄にもなくそわそわしているのだ。

普段使っている自宅の風呂を、家族以外の女性が使っている事に、無意識的に意識している。

勿論ラッキースケベを期待している訳では無い。断じてない!


『カポン……』と、コンロにある、鍋の蓋を取り、中を覗く勝也。

「あぁ…もうほとんどカレーは無いのか…母さんの夜食分だな…良かった……『ガー…ドンッ!!』…ん!?」


勝也がキッチンで一人調べ物をしていると、風呂場の引き戸が開く音である。

続いて『トットット…』と軽快な足音を鳴らす。

「んー……凪ノン!……裏口には無いよー……タオルー……いつもの所に無ーい!……」

「そうですか、では私は他の部屋を探します。厘ちゃんは二階を探して下さい。」

『なっ!?』と勝也は狼狽える。どうやら脱衣所に置いてあるバスタオルが無く、家の中を探し回っているらしい…


厘は居間とは反対の裏口から遠くに聞こえる声を響かせ、凪乃は勝也の近くにいる様なハッキリ(・・・・)した声を返す。


お風呂上がり→タオルを探して急いでいる→着替えの服はタンス部屋→体を隠すタオル()→桃源郷!


勝也は『うっ!』と桜色の妄想を膨らませて固まった。

勝也は食卓・台所部屋の暖簾をくぐれず、『えぇ…あ、あの…』と喘ぐ。

発生源は近くからとしか思えない、はっきりとした声が聞こえる。

『勝也君?居間ですか?……脱衣所にあった、バスタオルがどこかに行ってしまったみたいなんです。どこにあるか知りません……よね…では、タオルを探してもらえませんか?朝に脱衣所へ私が置いたので…居間か、タンス部屋にあるハズです。』

「えっ!い、いやぁ、”居間”に”今”は居ないのでちょっと解りません!…”今”からそっちに出ても大丈夫ですか?俺がタンス部屋から”今”すぐ何かタオルを取って来ますから!」

勝也は図らずも”イマ”と連呼し、意味は解るがすぐには腑に落ちない言葉を出してしまう。

それに応える凪乃の声はやはり近くから聞こえてくる。

「えーっと?……いえ、勝也君…今私は裸ですが…サッと走ってタオルを取って来ますので、出来れば動かずに居てくれると助かります。私がお風呂に入る前に準備しておくべきでした…」『ガチャ…』


凪乃の声の後、二階から、ドアが開く音がする。

『ん?』と勝也はその音に意識を囚われる。

「凪ノン!二階に…『ツルゥ…』『ガゴッ!』…あっ!『ガタ!ガタタタ!……』」

「っ!厘!」「えっ…厘ちゃん?…」

勝也はたまらず、その身を廊下に露し、階段から落ちて来るであろう厘に手を広げる。勝也はすぐに自分の失態を悟るが、厘の安否の前では些細(・・)な事だ。


………

……

そこには洗濯物を入れる洗濯籠が一つ、階段から転がり落ちている。

見ると階段上には真新しいタオルに身を包んだ厘。

では、廊下の近くには?…

そこには誰も居なかった……

いや、脱衣所ドアの隙間から目だけ見えている。凪乃が視線と口を動かす。

「だ、大丈夫ですか?厘ちゃん………勝也君は……助平さんなんですね…」

不(ry

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ