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力の使い方  作者: やす
三年の春
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#66~力の集団~

飯吹金子警部補は休日明け、出勤して清虹警察署の待機所で装備を整えている。と、同署の作戦室に設置された『清虹市法力組織連続暴動事件』対策本部に呼び出される。

対策本部は清虹公園で起きた”魔人乱闘事件”から本腰を入れて行動を始め、飯吹はその手足としても働いている。


飯吹警部補は休日とは打って変わり、恰好が違う。

私服姿は体のラインが解る程薄着だが、勤務中は擦り傷の絶えない肉体労働が主である為、体格が解らないほど厚着だ。

ズボンは一般的な警察の機動隊とさほど変わらず、目立たない様に全身的に暗めの色である。これについては特筆する事は無いが、腰より上は大分違う。

首より上は個人情報保護の為に仮面で素顔を隠し、短髪は特徴的なヘルメットで覆われている。

胴体はフライヤーロール付・防護プロテクターですっぽり覆い隠している。

体はプロテクターに締め付けられ、プロテクターを装備し始めの頃は汗が蒸れて大変な思いをしたたが、中堅の勤務年歴らしく克服している。

不快な汗蒸れへの僅かな抵抗として、首元は緩め、公序良俗に反しない程度に胸元を開けて空気を取り込んでいる。

…本人は未だ知らない事だが、飯吹と同じ部隊の隊員は『忘れた頃にムラムラくる…隊長の性別を忘れた時な…』と言うそうだ…

作戦室の外からでも室内の慌ただしさが漏れ聞こえている。

飯吹は「う、う゛んっ!」と咳払いをすると、ノックしてからドアを開けて部屋に入る。


「失礼します!実戦隊、前線隊長の伊吹金子警部補です!課長は何処でしょうか?先日の報告と、今後の指示をお願いします……」

対策本部に訪れた飯吹は休日の朗らかな態度をどこかにやり、肩肘ばって動いている。

部屋の中は数人の法力警察官がそれぞれ作業に掛かり切り、飯吹への対応を取ろうとしない。

首元の白い肌は普段着ている下着で覆い隠されているからだが、顔を隠している勤務中は顔を隠す事で少しだけ大胆になっているのだ。


そんな飯吹の来訪に対応するのは、対策本部の椅子に座る40過ぎの男性法力警察官。名を小田中孝輔(おだなかこうすけ)と言う。

役職は課長補佐菅で階級は警視である。顔は飯吹と違い、素顔で管理職特有の空気を孕んでいる。

「はぁ…飯吹君………いや、前線隊長の01(エース)!仮面装備の個人情報保護活動中は隊員名を名乗る様に…隊長がそれでは駄目だろう?」

小田中課長補佐はいつもの様に飯吹に活を入れる。飯吹も慣れた様に『はい、申し訳ございません!小田中課長補佐!』と応え、堪えた様子は無い。

法力警察は実力主義で、飯吹の態度はまだ良い方であるが故だ。

セクハラになるかもしれないが、容姿、持ち前の明るさで飯吹は『へこたれない・憎めない、マスコット』的扱いである…


「課長は今、警察庁の会議に出席しているので報告・作戦会議・活動指示は私が代行して行います。皆、手を止めて聞くように!……01(エース)?金山さんの所の具合は?」

小田中課長補佐は対策本部に詰めている者に向かって声を響かせる。それを聞く面子は作業を再開させながら話は聞くようだ。

「はい、長女の金山秋穂は金山家襲撃の一件が尾を引いているのか、”黒土仮面”達は接触を避けている様子です。本心は手を付けたいのでしょうけど…清敬高校での不審者騒動以来、後を嗅ぎまわる黒土仮面の影は見当たりません。」

飯吹は自信満々な態度を幾分か崩して続ける。

「次女の金山春香については…法力の発現を確認していませんので……目を付けられてはないと思われます。…ですが、姉の力を見て、青田買いする可能性もあり、マークは続けた方が良いでしょうね……」

小田中課長補佐は『うむ…それで?』と目玉情報を促す。周りで作業する者も手を止めて言葉を待っている。

金山姉妹の報告が終わり、飯吹は困った様に『電話でもお話しましたが…』と前置きを挟んで本題を続ける。

「……問題は金山家が保護し、同家に勤務する形で生活・衣食住が保護されている風間凪乃です。大学の法力測定時は風の(ウィンド)種までしか観測していなかったそうですが、二週間足らずで風系(ウィンド)上位種の嵐の(ストーム)種の技を発現した成長率は…こういっては問題ですが、異常です…次女の金山春香と親交が深い、雨田勝也の自宅に居る際、法力警察の装備をした黒土仮面と交戦したそうです。本人の証言だけでは…確証を得られませんが…信じる価値はあります。」


「小田中課長補佐、昨晩の廃ビル地下駐車場の遺体ですが…」「……うむ。」

小田中課長補佐は飯吹からの口頭報告と、作業をしていた男性法力警察の持って来た報告書を受け止め、諦観する様にして指示を出す。

「ふむ…一度情報を確認する。知ってる者も聞いてくれ。」

小田中課長補佐は遅れて参加した飯吹に説明する意味合いも込めて事件の報告を行う。

「…明朝起きた事件だ。昨晩、清虹市郊外の廃ビルで法力使用の致死傷害事件発生、被害者は『この手』のリーダー・サブリーダーの宮西渉・国近麻美の両名と思われてたが、焼死体の為に判断が付かない遺体だった。検死の結果が今来た。男の遺体は宮西渉だが、女性の遺体は国近よりも若い女性と判明。宮西渉殺害の容疑で国近を指名手配で引っ張るぞ!」


『はい!』と返事を返す面々に続いて小田中は言い辛そうにして言葉をつづける

「……あとは警察内部に目か……全署の法力警察官の装備を洗うように、何も無ければ板金工場・裁縫工場まで捜査を伸ばす…不在の斉木課長にはこちらから報告をしておく。以上。取り掛かってくれ。今夜は永いぞ!」


小田中課長補佐の号令に、対策本部の作戦室に詰めている全員の『『『『『はい!』』』』』と言う声が響き渡る。

不(ry

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